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Levelモルフ  作者: 太陽
最終章 『終末の七日間』
171/237

Phase2 第二十三話 『死力を尽くせ』

 オモチャはすぐに壊れる。

 初めてオモチャに触ったのは、まだ物心もついていない、●●が三歳に満たなかった頃だ。

 電池を入れて、スイッチを押すと動く蜘蛛のオモチャ。実際、それは子ども用というよりは場を盛り上げる時に使うようなパーティーグッズのようなものだった。

 不思議と、気持ち悪ささえ感じられる六本足のそのオモチャを、興味津々によく触っていた。

 生きている、そう思って楽しそうにしていた●●は、遊び方なんて知る由もなかった。


 ●●は、蜘蛛のオモチャの六本足を全て引きちぎり、壊れて動かなくなっても無邪気な笑みを浮かべていた。


 その次に●●の手に渡ったのは、犬のオモチャだった。

 子どもから大人まで、幅広い年代に好かれるであろう柴犬のオモチャ。喋ったり散歩したりと、割とハイクオリティなオモチャであるそれを、●●は最初はジッと観察していた。

 四足歩行でありながら、実物とは大きく違えど、それでも愛着が湧くオモチャだった。


 その柴犬のオモチャを手にしてから数時間後には、柴犬のオモチャは腹の綿を全て取り除かれ、頭の部分が切り離されていた。


 どれもこれも、簡単に壊れていった。

 実際に本物の蜘蛛を見た時、オモチャと同じように足を引きちぎったこともある。

 実際に本物の犬を見た時、首を絞めて殺してみたこともある。


 同じだ。本物も偽物も、オモチャに変わりなんてない。

 ●●の目には、動く生物は全てオモチャにしか見えなかった。

 ●●は、オモチャを壊すのが得意だ。中でも、壊す手段として一番簡単なのはナイフを使うことだ。

 あれはいい。軽いし、簡単に細い部分は切り取ることもできる。

 色んなものを切り刻み、切り刻み、切り刻み、そうして一番印象的だったのは人間だった。

 彼らは少し切り刻まれただけで、この世の終わりかと言わんばかりに泣き叫ぶ。

 その泣き叫ぶ様子は、●●にはとても刺激的だった。

 感情のないオモチャにはなかったものだ。

 ●●にとって、これ以上遊び甲斐のあるオモチャは他になかった。


 殺し、殺し、殺し続けてきた。

 楽しい、楽しい、楽しかった。

 もっと、もっと、切り刻みたい。


 そうして、ライは善悪のモラルが区別もつくことがなく、クリサリダの一員として暗躍することとなった。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 そこでは、銃声音なんてものは一切聞こえてこなかった。

 聞こえてくるのは、刃と刃がぶつかり合う鋼の音。そしてそれは、ただの殺し合いとは程遠い、異次元な戦いとなっている。


「ヒャハハハッッ! モウオワリッッ!? マダコワレナイヨネ!? ネェッッ!?」


「――っ!」


 異形の姿となり、体の全部位を刃に変異させたライの猛攻がシャオへと襲いかかる。

 幾重にも重なる無数の刃をぶつけてくるライに、シャオは当然ながら全てを防ぐことはできない。

 致命傷だけは避けようと動き続けて、それでも腕や足に切り傷だけが生まれていく。


「サッキマデノイセイハドコニイッタノカナ!? ボクノジャクテンガワカッタンデショ!?」


「ちぃっ!」


 反撃の糸口がまるで見つからない。

 これが『レベル5モルフ』。シャオが知らない、モルフの力ということだ。

 小細工を弄した手段は幾つも持っていた。しかし、そのどれもが今ぶつけたところで意味のないものとなっている。

 そのせいで、シャオは攻撃に転じることさえできず、ただ防戦一方となっていたのだ。


「はっ!」


 このまま受け身になってはダメだ。そう判断したシャオは持てる全力で青龍刀を振り抜く。

 防御の姿勢も取らず、全身の刃でシャオの青龍刀の刃を受け止めるライ。しかし、その勢いに押されて、ライは後方へと吹き飛んだ。


 その間、自由となったことでシャオは立て直そうとしたのだが、


「アハハハッッ! マダマダッッ!」


 地面に着地したライは、足がついたと同時に一気にシャオへと迫り寄ろうとする。

 考える隙も与えはしないという強固な意志さえ感じられる。

 反撃の一手も繰り出させないよう、ライはシャオへと猛攻を仕掛けようとする。


「一秒……稼ぐ為でも十分です」


 迫り来るライの全身刃に対して、シャオは最低限の身のこなしで避けた。


「ソレデヨケタツモリッッ!?」


「そう思うなら勝手にどうぞ。僕の狙いは変わっていない!」


 刃が届かないと分かっていながら、シャオはライの右肩へと青龍刀を振り抜いた。

 当然、その部位も刃に形状変異していたことで防がれる。

 だが、そこで終わりはしなかった。


「ふっ!」


「ッッ!」


 いつのまにか、シャオの左手に握られていたもう一本の青龍刀。それを勢いよく振り抜き、右手に持っていた青龍刀の峰打ち部分へと打ち込む。

 その瞬間、ライの右肩にあった刃が、肉体の奥へと食い込む。


「イッテェェェェッッ!!!」


「はぁぁぁぁっっ!」


 刃が肉体へと食い込んだことで、強烈な痛みがライへと襲いかかる。

 生まれた隙を見逃さず、シャオは同じようにして腹部や腕部分へと、まるで杭を打ち込むようにして二本の青龍刀を振り抜いていく。


 シャオが狙っていたのは、まさしくこの状況だった。

 ライの全身を変異させている刃は外側にある皮膚を使っている。

 しかし、体内にある内臓までは変異させているわけではない。そんなことをすれば、動く度に内臓はズタズタになるだろうし、あくまで彼がやっているのは体の外側部分を変異させているだけ。そうであるならば、外側にある刃を体の内側に追いやるだけで、ライはダメージを受けることになる。


「ギャァァァァッッ!!?」


「ふっ、はっ!!」


 連続で打ち込まれたことで、ライは絶叫し、反撃をすることができない。

 シャオの狙いは間違っていなかった。間違っていたとうよりかは知らなかったというのが適切だろう。

 シャオはモルフに対する知識が多くあるわけではない。

 だから知らなかったのだ。首を狙っていれば、ライを殺すことが出来たということに――。


「――っ!?」


「チョウシニ……ノルナァァァォッッ!!」


 その時、ライは地面に転がっていたアメリカ軍の兵士の背中へと勢いよく足を踏み込む。

 刃状に変異していたことで、串刺しになる勢いで死体へと刺さる死体だった。だが、ライの狙いはシャオに読み切ることが出来なかった。

 その瞬間、アメリカ軍の兵士であるその死体が爆散し、肉片や血がシャオへと飛んできたのだ。


「くっ!」


 たまらず後退したシャオだが、千載一遇のチャンスを棒に振ってしまった。

 今の瞬間が、シャオにとってライを仕留める為の唯一のチャンスでもあったのだ。

 血に濡れ、顔を拭こうともせずにライの足元を見るシャオ。先ほどのライが仕掛けた小癪な手段について、ある一つの可能性を思い浮かべた。


「……なるほど、一番最初にもあなたはそれを使っていた。体内に自身の部位を刺しこみ、そこで刃を外側へと押し出したということですね」


「アー……イタカッタ。イマノハイタカッタナァ……」


 ゆっくりと立ち上がり、体の調子を確かめるライ。見るも耐えないグチャグチャとなった死体から足を引き抜いたライは、憎々しげな目でシャオを睨みつける。


「モウオニイサンニハナニモサセナイ。ツギノイッテデコロスヨ」


 そう言って、強烈な殺意を向けながらライはシャオへとゆっくりと歩み寄っていく。

 もう、シャオには抵抗する手段はないと判断した上なのだろう。

 そうして、ライはゆっくりと歩み寄り、一気に急加速してシャオへと迫ってくる。


「――っ!」


 このままやられるわけにはいかない。そう考えて、手に持つ青龍刀で抵抗しようと仕掛けたのだが、


「ムダダヨ。オニイサンノウゴキハモウミキッテル」


 振り抜いた青龍刀はライに掠ることもなく、簡単に避けられてしまう。

 そして、ライは刃と化した腕を振り上げ、そして――。


 シャオの胸元をピンポイントでぶつけて、血飛沫が舞う。


「――――」


「オワリ、オワッタ。オワッタオワッタ! キャハハッッ!! コワレタコワレタッッ! ヤットコワレタネッ!!」


 とんでもない量の血がシャオの体内から噴き出たことで、ライはシャオがもうじきに死ぬことを悟る。

 愉悦さえ込み上げて、ライは笑い死ぬほどに腹から声を上げていたが、当のシャオは――。


「――ン?」


 シャオは倒れなかった。

 誰がどう見ても、シャオは致命傷以上のダメージをその身に受けている筈だ。

 なのに倒れない。なぜ、どうしてなのか、ライは一瞬、訝しむのだが、その時であった。


 シャオの目はライを射抜いており、手に持つ青龍刀をさらに握り締めて、ライの首筋へと勢いよく振り抜いた。


「ナッッ!?」


「お……おおおおおおおおっっ!!」


 叫び、似つかわしくもない叫び声を上げて、シャオはもう一本の青龍刀でライの首筋に残る青龍刀へとぶつけようとした。

 そして、首の刃部分に残った青龍刀がライの首へと切り込みを入れることとなる。


「ガッッ!? ド、ドウシテ……ッッ!?」


「これが僕の血だと、いつから錯覚していましたかね?」


「ナッ!?」


 何を言ってるのかと、ライはシャオの胸元をもう一度見上げた。

 そこには、傷なんてものは一つもなく、代わりにあったのは血溜まりだけだった。

 つまり、


「血糊、こんなものに簡単に騙されてくれるとは思いもしませんでしたよ」


「ウ……ァァァァァァアアッッ!!」


 シャオの胸元には、予め用意していた血糊があり、それをライが勝手に破裂させただけだった。

 そうすることで、シャオの血が撒き散らせられたと勘違いして、ライは隙を生み出してしまったのだ。

 ライは首に刺さった青龍刀に焦り、声を張り上げてシャオへと全身武器と化した刃で抵抗しようとした。


 そして、その攻撃を避けようと、シャオはライの首に刺さった青龍刀から手を離し、距離を空けた。


「この瞬間が勝負です!!」


 シャオにとっては、これが最後のチャンスだと考えていた。

 今もライの首に残った青龍刀、それを抜かれてしまえば、ライの首は時間と共に再生されてしまう。

 抜かれる前に猛攻を仕掛けて、完全に首ごと切断しようというのが、シャオの考えでもあった。


「ナメルナァァァッッ!!」


 当然、やられっぱなしで終わるライではない。

 抜く暇もないのであれば、シャオに殺される前に殺してやると、全身の刃で持ってシャオへと襲い掛かろうとする。


 ――その時だった。


「ガッ!?」


 一発の銃声音が聞こえ、ライの体がよろめく。

 ダメージがあったわけではない。全身刃となったライに、銃弾なんてものは効かない。

 大事だったのは、シャオではない誰かによって意識外から攻撃を受けたことで、反応が遅れてしまったことだ。


「シャオッ、いまだ!!」


 声の主が誰かなんて、シャオにはとうに分かっていた。

 だから返事なんてしなかった。

 このチャンスを作ってくれたことに感謝しながら、シャオはライへと走り向かい、左手に持つ青龍刀を振り抜く。


「――ッッ!!」


 一瞬の隙を生んだということ。それがライの敗因でもあったのかもしれない。

 シャオはライの首に刺さる青龍刀の峰部分を狙って、勢いよくそれを振り抜き――、そして、


 ライの首に刺さった青龍刀がさらに中へと食い込んで、そのままライの首が胴体から離れる。


「――ァ」


 体全体に意識が向けられなくなったことに、ライは呆然とするのみだ。

 そして、首を切断されたライは死に、完全に動かなくなる。


「はぁっ……。いやぁ、疲れましたね。出水さん、助かりましたよ」


 戦いが終結し、敵がいなくなった主戦場でシャオは離れた場所に身を潜めていた人物、出水へと声を掛けた。

 彼は笑顔でシャオを見ており、その手には小銃が握られていた。


「あなたが撃ってくれなければ、多分僕は死んでいました。感謝しますよ」


「いいってことよ。にしてもビックリしたな、なんだこいつ? 本当にあの白髪の少年なのか?」


「ええ、さすがにまだ上があるとは予測していなかったですが、ギリギリで倒すことができました」


 ライの変貌した姿に驚きを禁じえなかった出水だが、それと渡り合ってきたシャオは淡々とした様子だった。


「ちょっと、あんた血だらけじゃないの!? 大丈夫!?」


「琴音さん、あなたも来てくれたんですね。安心して下さい、これ血糊ですから」


「いや、肩とかはどう見てもお前の傷だろそれ」


「ははっ、これぐらいどうってことないですよ」


 シャオの血だらけの姿に心配していた琴音だったが、シャオは平然としていた。

 血糊だとしても、肩の傷は明らかにライに斬られたものによる自分の血だと誤魔化すこともできず、シャオはただ笑っていた。


 その様子に少し引き気味だった出水だが、とにもかくにもどうにかなった状況だ。


 そうして、出水はシャオへと手を差し出す。


「ん? どうしましたか?」


「分かんねえか? ハイタッチだよ。俺の親友がよくやるやつ」


「――――」


 ハイタッチ。その言葉はなんとなくだが知っている。

 今日、会ったばかりのシャオに対して、出水は信じてここまで来てくれた。

 だから、シャオは少し戸惑いながらもいたのだが、その後、薄く笑って、


「僕達の勝ち取った勝利ですね」


 出水の差し出した手を、シャオは同じように手を合わせてハイタッチした。

 この戦い、シャオの言う通り、本当にギリギリの勝利でもあった。

 出水が来てくれなければ、シャオにはライを出し抜く手段はもう持ち合わせていなかったのだ。

 だからこそ、感謝の意味も込めてのハイタッチだった。


「おい、お前ら!」


 そうして和んでいた一同に向けて、別方向から声を投げかけられる。

 その主は、出水達と共にこの場を離れた人物であるポークセンだった。


「ポークセンさん、戻ってきてくれたんですね」


「お前達がバカな真似をするから釣れ帰ろうとしただけだ。……倒したのか?」


「はい、あなたの仲間の仇は討ちましたよ」


 シャオからそう告げられ、ライの動かぬ死体を見やるポークセン。その胸中は複雑なものだろう。

 たった一人の少年に部隊は壊滅させられ、挙句には関係のない一般人に事態を収集させられたのだ。

 本当ならば、これはポークセンの役目でもあった。しかし、それができなかったから逃げるという選択を選んだのだ。

 だから、倒せたという事実を信じられないでいた。


「――ありがとう。情けない話だ、俺がやらなくてはいけないことだったのだがな」


「気にしないで下さい。対人間ならまだしも、怪物相手は軍人も専門外でしょう」


「……キミは何者なんだ?」


 何者かと問いかけるポークセンに、シャオは答えに窮した。

 隣で聞いていた出水も、その返答にはなんと答えるのが正解かが難しい。なにせ、シャオは中国人であり、そんな人間が物騒な凶器を持ってアメリカ国内にいるのだ。

 その表面上の事実だけでも、スパイを疑われてもおかしくないものだったのだ。


「あー、ポークセンさん。それについては俺が答えてもいいかな?」


「出水さん」


「いいって、シャオ。こいつはある人物を追ってここまで来たらしくて、その人物がこの少年、ライの仲間になっている可能性があるから、探しにきたそうなんすよ」


「ある人物?」


「血の繋がった姉、だそうです」


 シャオの了承も得ないままに、出水はシャオの目的について打ち明ける。

 下手に嘘を吐いて、後々面倒になることを避ける為のものでもあった。

 それを聞いたポークセンは少し考える素振りをしていたが、


「何はともあれ、戦ってくれたという事実は消えない。キミ達も俺と一緒についてくるんだ。避難所まで誘導する」


「……避難所、出水、やったじゃない! やっと落ち着けるわよ!」


 安全な場所まで送ってくれることを約束してくれたポークセンに、琴音がまず初めに喜んでいた。

 出水にとっても、それは喜ばしい事実だ。

 元は、アメリカ軍の力を借りてこの地獄から逃れるために動こうとしていた出水達だったが、結果的にはそれが上手くいった形だった。


「や……本当に、ようやくだな」


「気の抜ける返事だな。それだけ辛い思いをしてきたということだろう。キミ達は日本人だろうが、これから行く先にも仲間がいるかもしれないな」


「え?」


 ポークセンからの言葉を受けて、キョトンとしていた出水。その言葉の意味を理解するには、心のキャパシティが埋まりきってしまって数秒の間、固まってしまう。


「巨大要塞ミスリル。そこにはキミと同じ日本人が匿っているとのことだ。よかったな、家族にも会えるかもしれないぞ」


「ま、マジか」


 嬉しささえ込み上げて、出水は自身の目的の全てを達成させられるということに喜びを示した。

 こんな簡単に上手くいくものなのかと、とてもじゃないが信じられなかったのだが、ポークセンが言うからにはそれが真実なのだろう。


「よかった……やっと帰れるんだな……」


「どうやら出水さんの目的は達成できそうな雰囲気ですね」


「シャオ……お前はどうするんだ?」


 横合いから話しかけられて、シャオのことを思い出した出水はシャオがこれからどうするかについて問い正した。

 正直、シャオにとっては面白くない展開かもしれない。

 モルフに襲われない安全地帯に身を置いたとしても、敵側の動向を知れるわけではないのだ。

 とすれば、ここでお別れになることもありうる話ではあったのだが、


「僕も一緒に行きますよ。ついでにお聞きしたいこともありますしね。いいですよね?」


「あ、ああ。お前がいてくれるなら百人力だよ。是非ともだ」


 ここまで一緒についてきてくれたシャオだ。こんなところでサヨナラなんていうのは、出水からすれば少し悲しい部分もあるので、ついてきてくれるのは嬉しいことでもある。


「じゃあ行こう。少し先にヘリが待っている。そこでキミ達を回収して、ミスリルへ向かうぞ」


 そして、ポークセン達は出水達を連れて、巨大要塞ミスリルと呼ばれる避難所へと連れて行かれることとなる。

 かくして、二日目に差し掛かるまだ午前の段階、常闇の中における激戦は幕を閉じることとなった。


 そして同時刻、巨大要塞ミスリルではある連絡を受けることとなった。

 それは、この事態を引き起こしたとされる人物。国際指名手配にも挙げられるリアムという男が、アメリカ軍が誇る特殊部隊を壊滅させたという連絡を――。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 二日目は淡々としていた。各地で起きたモルフによる暴動は、終結に向かうかと思われればそうはならなかった。

 頭数はかなり減らした方だろう。それだけ、アメリカ軍の力は侮れないものだ。

 しかし、それ以上に感染率が高く、数を減らしても増えるという堂々巡りな状況が続くことになってしまっていた。

 そして、二日目が終わり三日目に差し掛かる午前四時。一人の男が隊員達を連れて動き出した。


「弓親さん、それでは行ってくる」


「ああ、気をつけて下さいね」


 敬礼をし、日本にいた時から先輩でもある弓親へと挨拶を済ませたその男は、後ろで待機していた同じ日本人の隊員達へと顔を向けた。


「よし、行くぞ」


「「「「了解!」」」」


 そうして、次なる戦いが幕を開ける。

 軍人には似合わない黒髪の長髪を後ろで結んだ男、神田慶次はミスリルを後にする。


 


投稿ペースがどんどんと落ちていることに危機感を覚えています(笑)

ちなみに三日前に投稿予定だったのですが、胃腸炎にて寝たきり状態だったのでパソコンに触れられなかったです。体調が悪くなるとこの倦怠感が辛くて本当に嫌になります。


次回からPhase3へ移行します。

ライが『レベル5モルフ』である理由はもうすぐ分かることになります。

ちなみに出水や琴音がミスリルへ向かうことになりましたが、神田とは合流がは出来ていないです。

Phase3導入部分でハッキリとしますが入れ違いになります。

お次は神田慶次視点での物語が展開します。余裕のない展開を書いていけたらなぁと考えていますね。

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