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Levelモルフ  作者: 太陽
最終章 『終末の七日間』
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Phase1 第十二話 『折れぬ魂』

 振り下ろされる死の爪。ミラはもう、笠井修二が抵抗することがないことを察していた筈だった。

 椎名真希の姿を真似て、その姿自体を擬態することで笠井修二の動揺を誘い、決着の時が訪れた筈だった。

 彼にはもう手がない。そもそも、彼の全身には痛々しい傷痕があり、痛みで無理に体を動かすことも難しい状態だ。


 完全に笠井修二はもう手詰まりだ。

 このままこの男を殺して、俺は先へと進む。

 嘘の無い世界を作る為に、その為に――。


「――え?」


 超スピードで振り下ろされたその爪は、笠井修二の五体をバラバラにさせるには十分な威力だった。

 しかし、ミラのその攻撃は、笠井修二には当たることはなかった。

 存在そのものが消失したかのように、彼の姿がその場から消え去ったのだ。


「なっ!?」


 何が起きたのか、対象を見失うという過去最大の隙を見せている状況の中にいたことで、ミラは慌てた。

 だが、その千載一遇とも言うべき隙を、笠井修二は何もしなかった。

 彼はミラの数十メートル先に立っており、その顔は地面へと下げられていた。


「……なんだ?」


 その違和感に、ミラは妙な寒気を覚えた。

 椎名真希が『レベル5モルフ』の力を全開放させたあの時とは違う。そんな生温いものではない、ミラ自身の身の危険を知らせるかのような嫌な予感。


 今、笠井修二はどうやってこの場からあの場まで移動した?


 その謎が分からないまま、ミラは臨戦体勢を解かずして笠井修二から目を離さない。

 明らかに、今までの笠井修二とは何かが違う。

 椎名真希の擬態をしていたミラは、その姿のまま戦ってはダメだという本能的な直感が脳裏に宿ったことで、元の自身の姿へと擬態を解いた。

 ミラが誰かの擬態をしている間は、本来の超スピードを実現させることができない。

 そういった制約がある以上は、擬態を解くしかなく、その判断は正解でもあった。


「――――」


 下を向き、深呼吸をした笠井修二は顔を上げた。

 その目は今までよりも鋭く、落ち着いていた。

 片腕を失い、今も血が傷口からポタポタと落ちていながら、痛みで気絶してもおかしくもないその状況下でも、彼は平静を装っている。


 そして、ミラの中で謎に包まれていた笠井修二の移動速度。その理由が、次の笠井修二の一手で明らかとなる。


「なっ!?」


 笠井修二が身を前に乗り出したと同時、彼の姿は瞬間移動をしたかのようにミラの一歩手前へと迫りより、そのまま右手に持つ剣でミラの首を狙ってきたのだ。


「ちぃっ!」


 防御するよりも先に、足が先に動き出していた。

 ミラはその場から後ろへと跳躍し、自身の持てるフルスピードで距離を離そうとした。

 しかし、笠井修二の動きはそこで止まらず、ミラとの距離はまるで離されることもなく、そのままミラのフルスピードに追いつき、剣での攻撃が襲い掛かろうとする。


「な……にがっ!?」


 何が起きているのか、言葉に出す余裕すらなかった。

 ミラと全く同程度のスピードで笠井修二は動き続けているのだ。

 これは、あの桐生大我の動きじゃない。

 剣術に至っては彼の動きそのものに違いはないだろう。

 しかし、足捌きや移動速度に関しては明らかに今までの二倍近くへと膨れ上がっていたのだ。

 これは――、


「俺の……俺の動きまで模倣したのかっ!?」


 ありえないありえないありえないっ!!

 俺の……俺のスピードを完全模倣しているだとっ!?

 どうして諦めない!? 片腕を失い、胸からは致命傷ほどの傷を負ってどうして!?


 ミラには、笠井修二がここまでして諦めない理由が分からなかった。

 痛みは、人体の動きを妨げる最大の要因だ。

 なのに、この男はその痛みを感じていないかのように最大限の身のこなしをしていたのだ。


「ナメるなぁぁぁっっっ!!」


「あああぁぁぁぁっっっ!!」


 雄叫びを上げ、二人は目にも止まらぬ速さで動き続けながら剣と爪を打ち合っていく。

 最初に邂逅したあの場から既に五百メートル近くは離れており、彼らが通り過ぎた地帯は災害でも起きたかのように荒れ果てていた。


「らぁぁっっ!!」


「くっ!」


 砂煙がミラの視界を遮ったその瞬間、笠井修二は剣での振り抜きが空振った勢いのまま、蹴りをミラの腹部へと決め込む。

 ミラは縦に伸びた高層の建物へと吹き飛ばされ、壁を破壊して中へと侵入する。

 その一秒も経たずして笠井修二が建物の中へと侵入し、再び二人は激突した。


「っ!」


「はぁぁぁぁっっ!」


 互いの足は止まることはなかった。

 再び高速移動で建物の内壁を円に敷くようにして動き回りながら、彼らは攻撃を仕掛け合う。

 その建物はどういう造りなのか、どこぞのお金持ちの道楽で建てられたであろう螺旋階段が上へと続いており、博物館のような内装をしている。


 その螺旋階段を駆け上がるようにして、二人は階段を足場にしながら空中戦を繰り広げる。


「ちぃっ!」


「おらぁっっ!」


 今回は付かず離れずの状況とはならない。

 空中での鍔迫り合いの直後、重力で下に落ちないよう互いの力の向きを読み切り、吹き飛ばされた衝撃で螺旋階段の足場へと着地して、もう一度、何度と彼らはぶつかり合っていく。

 二人は互いの死角を狙いすまし、一撃一撃が殺すつもりの強烈なものだったのだが、ことこの空中戦においては互角の戦いを繰り広げていた。


「いい加減っ、倒れろよっ!!」


「てめえがなっ!」


 痛みで体力も限界を越えかけているであろう笠井修二へも向けて、ミラは怒りの限り叫ぶ。

 それは笠井修二も同じで、怒りに燃えているのはミラだけではない。

 全身が血に塗れ、血が顔を伝い、目に入りかねない状況下で笠井修二とミラは螺旋階段の上へ上へと駆け上がっていく。


 そして、膠着状態の中で先に動き出したのは笠井修二だった。


「落ちろっ!」


「ぐっ!」


 空中でぶつかり合うその一瞬で、笠井修二はミラの爪での振りかぶりを受け流し、ミラの体勢が崩れる。

 その一瞬の隙を狙い込み、回転しながら笠井修二はミラの腹部へと剣を振り下ろした。――が、ミラはこれを爪で防御し、その勢いで一気に地上へと真っ逆様に落ちていく。


「ちいっ!」


 高所からの落下は、ミラにとっては大した問題とはならなかった。

 空中で体勢を立て直し、足から地をついたミラはその場で上も見ずに横っ飛びした。

 なぜ避けたか――それは笠井修二が着地したミラの脳天目掛けて剣を振り下ろしにきていたからだ。


「逃がさないっ!」


「っ!」


 どうあってもここで殺す気だった笠井修二は、再びミラの身体能力である超スピードで駆け抜けて、ミラを追い縋る。

 対するミラは同じ速度のまま、建物外へと抜け出し、外に出たと同時に二人はまたも激突する。


 外は、二人が戦闘を繰り広げた惨禍の中とあり、至る所が火に燃え盛っていた。

 真冬であるにも関わらず、二人の全身にはとめどなく汗が流れ落ち、その中でも笠井修二の方は別の意味で汗が止まらなかった。

 左腕を失くし、再生能力に手も回せない現状では、笠井修二の容体は時間と共に悪くなる一方だったのだ。

 代謝機能が不安定になっている中、笠井修二の体温は急激に上昇し、風邪でも罹ったかのように熱がある状態となっている。気怠さも感じられる状態でも、笠井修二は無理に体を動かし続けていく。

 

「まだ……だっ!」


 完全模倣能力を使用し、ミラと同程度のスピードを体現しながら、他者の能力までもを上乗せした状態でも、ミラを超えることが出来ないのは正に今の笠井修二の容体こそがデバフとしてのしかかってしまっていたのだ。

 結果、二人は今の今まで互角の戦いを繰り広げ、どちらも優勢に立てないでいた。


 実力は互角。ここから先、優勢に立つ側は気持ちが強い方になる。


「があああっっ!」


「らぁぁぁっっ!」


 剣の軌道も、爪の軌道ももはや目では追い切れぬ程となりながら、二人は超スピードで移動しながら攻撃を仕掛けていく。


 そして、分岐点はすぐにでも起きる。

 ここから先の出来事は三秒にも満たない出来事だった。


 笠井修二の剣がミラの指を斬り飛ばし、ミラの爪が笠井修二の右耳を切断し、その隙に右足でミラの脇腹を蹴り上げ、肋骨を二本折り、ミラの爪での振り上げで笠井修二の右目が切り裂かれ、負けじとミラの顔面へと剣を振り抜くが、ギリギリで避けられて頬を掠める。


 もはや、異常と呼んでも差し支えない戦闘だった。

 再生能力を有していようと、並の精神力で立ち向かえるほど人間という生物は強くない。

 それでも彼らが戦い続けるのは、互いに持つ信念が誰よりも強固なものだったからだ。


 そして、状況は更に動き出す。


「ああああっっ!!」


 笠井修二の剣が、刺突がミラの脇腹を突き刺し、串刺しになる。


「うああああぁぁぁっっ!!」


 剣が脇腹に刺さり、剣を離せない笠井修二へと向けて、ミラも右手の爪で笠井修二の心臓目掛けて突き刺そうとする。


「――っ!」


 完全に避け切ることは出来なかった。

 身を捻ったことで、ミラの爪は笠井修二の首と胸部に刺さる形となり、二人はとんでもない速度のまま動いていた。


「がっぁぁああぁぁあっっ!!」


 痛い、痛いけど、負けられない!

 ここで必ずミラを殺す!!


 剣を串刺しにした状態のまま、笠井修二は剣を右へ振り抜く。

 そして、ミラの脇腹に刺さった剣は外側へと斬り裂かれ、ミラの臓物が一部、外へと出る。


「いぃぃぃああああぁぁぁぁっっゔゔっっ!!」


 強烈な痛みに喘ぎ苦しみながら、ミラは後ろへと飛んだ。


 なぜ、なぜだ!? なんで諦めない!?

 これだけやって、これだけ痛めつけて、もう諦めろよ!?

 そんなに死にたいのか!? 死ねばお前の望みは何も叶わないのだぞ!?

 俺が死んだところで……何も……っ!!


「おおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!」


 雄叫びを上げ、笠井修二は後退したミラへと追撃する。

 この攻撃は必ず通る。そう確信して、笠井修二はミラの首目掛けて剣を振り抜いた。


「――ッッ!!」

 

 ――が、ミラは四本となった右手の爪で防御の姿勢を取った。

 このまま受け切れば、笠井修二の攻撃はミラの爪によって弾かれるのみとなる。


 そして、この瞬間だった。


「ここだぁああぁぁっっ!!」


「――なっ!?」


 全ては狙い通りだった。

 笠井修二の腕の動きが一時停止したその時、剣の軌道が下へとズレて、ミラの上腕部へと振り下げられる。

 そして、ミラの右腕が切断され、遠くへと飛んでいく。


「がっ!?」


 自身の武器となる片方の腕を失ったことで、ここでミラは初めて心に余裕を失くす。

 腕を欠損しているのは笠井修二も同じことだが、ミラと笠井修二には決定的な気持ちの違いがある。

 笠井修二は全てを失う覚悟で攻めてきているが、ミラはそうではなかった。

 もちろん、笠井修二を殺すつもりではいたのだが、自身の命が潰えるぐらいならば、そこまで追い縋る理由はなかったのだ。


 だから、彼女が次に選んだ行動は――。


「くっ!」


「待でぇっつ!!」


 迷わず、逃げの選択肢を選んだミラ。

 しかし、笠井修二は逃がすつもりはない。口の中が血塗れで、口で言葉を発することも難しい中、彼は地を蹴る。


 ここで逃がすわけにはいかない。何があっても殺す、殺す、殺し切る!!

 痛みなんて知らない、両手両足が千切れようとも……ここであの女を殺す!!


 互いに片腕の武器で持って打ち合いながら、笠井修二は心の中で叫ぶ。


 諦めろ……諦めろよっ!! なんなんだこいつは!? もういいだろ、もう十分だろっ!? お前は十分に俺を痛めつけた! これ以上に何を求める!? これ以上足掻いたところで……二人とも死ぬだけだ!


 後ろへ後退しながら、それでも追撃してくる笠井修二に対して、ミラは心の中で叫ぶ。


 ミラの言う通り、二人には時間がなかった。

 このまま戦闘だけを続けて、再生能力に手をつけられない状態が続けば、どうあっても二人ともいずれは体力が尽きてしまうのだ。

 どちらも、致命傷といっても過言ではない重傷を負っているので、モルフの特性である再生能力を使用しなければ死んでしまう。


 だが、実際に止まらなかったのは笠井修二だ。

 彼の想いの強さ、覚悟の強さが今の状況を生み出している。

 友達を失い、共に戦った仲間を殺され、尊敬していた師が死に、まだ生きている仲間達を守る為に――。だから、笠井修二は迷わずして戦い続けられたのだ。

 それは、ミラには決して出来ることではなかった。


 その想いと覚悟の差が、二人の戦いをクライマックスへと導いた。


「がぁぁぁぁぁっっ!!」


 逃げ続けるミラに目掛けて、笠井修二はこれまで以上の集中力で彼女の動きを読み切り、桐生の剣を力強く握りしめて、強く振り抜いた。


「くっ!!」


 ミラはその攻撃をギリギリで爪で受け切る。が、勢いに吹き飛ばされ、ミラの体が宙に浮く。


「しまっ――!」


 本能的にマズイと感じたのはミラの方だった。

 たった数秒、それだけの時間、足が離れているこの瞬間は左右に動き回ることが不可能となる。

 そして、その瞬間を笠井修二は見逃さなかった。


「――ッッ!!」


 歯を食いしばり、今まで以上のスピードでミラへと走り向かい、その直前で笠井修二も飛んだ。

 そして、彼の右手に握られた桐生大我の剣を振り抜くための予備動作に入る。

 ミラは対応し切れていない。だからこの瞬間しかなかった。

 

 この一撃でもって、ミラの首を刎ね飛ばす。


 強固な意志で、笠井修二は全ての力をその手に込めてミラの首目掛けて剣を振り抜いた。


「――ッ!!」


 それでもダメだった。笠井修二の振り抜きは、またもミラの左手の爪によって妨げられ、首まであと数センチのところで防がれる。


 ――勝った。これで俺の勝ちだ! もう少しで俺は地に足がつく! 足がつけばここから逃げるだけ……お前はここで体力が尽きて死ぬ。ははっ、結局全部無駄だった! これで証明される! 嘘を吐く人間が真の悪だということにっ!!


 言葉には出さず、ミラは心の内で勝利を確信し、代わりに嘲笑うかのような表情を見せつけた。

 もう、笠井修二にはこれ以上戦い続ける体力は残されていない。実際、その通りで、彼は全ての力を今の一撃にぶつけていた。

 だから、これで無理ならばもうミラを殺すことは出来なくなる。


 だから……だから、まだ諦めない!!


「おおおおおおおおおおああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」


 力の限り叫び、全身の力を腕から手へ、手から剣へと伝えて、防がれたミラの爪へと笠井修二は構わずに剣を振り抜こうとする。

 ――勝敗を分けるのは気持ちの強さ。その言葉通りの展開が、正に起こり得た。

 ミラの爪が――変異し、長く伸びた強固な爪にひびが入る。


「なっっ!?」


 その事実に、ミラは衝撃を受けざるをえなかった。

 鉄でさえ切り裂くこの爪が、圧倒的強度を誇る自身の爪にひびが入るなど、今の今までに経験したことがなかったのだ。


 ひびが、ミラの首を守る為にあった爪が音を立ててひび割れて、徐々に剣が食い込んでいく。


 そして、笠井修二は止まらない。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっっっ!!」


 叫び、吠え、白目を剥きながらも、笠井修二は右手を強く振り抜こうとする。

 万力のような力でもって、剣は爪を打ち破らんとする。


「やめろっっ!!!!」


 もう、笠井修二にミラの言葉は届かない。

 たとえ、今から命乞いをしたとしてももう遅い。

 あと数センチ……ミラの足が地につこうとしたその瞬間――。


 ミラの左手の爪が砕け散り、その勢いのまま笠井修二の剣はミラの首を切断して振り抜いた。


「――――」


 笠井修二の剣がミラの命に届き、奪う。

 超スピードで駆け抜けていたことで、反動がそのままのしかかり、笠井修二は受け身すら取れずに地面を転がっていく。

 その跡を自身の血が埋め、やがて止まると、彼は右手の剣を離した。


 余韻に浸るまでもなく、笠井修二は再生能力を行使する。

 ただただ冷静に、失血した血の量も問題だが、それでも今はある程度の回復が必要だった。


 そして、まだ腕も完全に回復し切れていない中、彼は立てるぐらいの力があることを判断し、その場で立ち上がった。


「――――」


 戦いは終わった。ミラは死に、クリサリダの一人を確実に仕留め切ることができた。

 誰もいない摩天楼の中で、街灯だけが頼りとなる道路の真ん中で、笠井修二はミラの死体がある方を見た。


 彼女はもう動かない。首と体が切断されたことで完全に絶命し、そこにあったのはただの肉塊だ。


 彼はその惨状を見て表情を変えた。

 彼がどんな表情をしたのか、それは――。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 かくして、アメリカ全土で起こったモルフウイルスによるテロは、終息を見せないまま一日目が終わることとなる。

 クリサリダ幹部によるアメリカ陸軍との戦闘も相まって、一部の地域は未だ混乱の渦と化していたのだが、どこまでが彼らの計画か、何も知らぬ者達には何一つ分からないだろう。


 そして、舞台は変わり、二日目の夜へと差し掛かる。

 時刻にして、日付が変わるその時間帯、真っ暗な病院の中で、一人の男がベッドに横たわりながら、目覚めの時が来る。


「――ここは?」


 柔らかいベッドの上で、状況も理解していないその男は体を起こした。

 彼には、寝ている間の記憶がない。

 彼が意識を失う前までの記憶は確かにまだ残っている。

 そして、彼は誰もいない病室の中、裸足のまま地に足をつけて立ち上がると、


「生きて……生きてたのか、俺は」


 そうして、死ぬはずだった男、出水陽介は覚醒した。



ミラ・ジノヴィエフは実は世良望より強い立ち位置のキャラでした。彼女が世良のことをお姉さまと呼んでいたのは、単に『レベル5モルフ』になった順番が世良の方が早かったからという意味です。

その意味でいうと、ミラの妹的立ち位置であるあのキャラは……そういうことですね。

次話からPhase1→Phase2へと進みます。Phase2の主要キャラは作者お気に入りの彼が主役です。

今までは戦闘シーンがほとんどという中でしたが、このPhaseは戦闘が逆に少ないです。

めちゃくちゃホラー感を底上げさせた内容にしています。

次話、9月25日20時投稿予定

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