表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Levelモルフ  作者: 太陽
第四章 『人類の希望』
128/237

第四章 第二十一話 『生き残る為に』

「リックさん、どないや? もう動かせるんか?」


 滑走路の中央にある自家用ジェット機のコックピット内でリックに話しかけるは関西弁の男、清水だった。

 彼は月島と同じ隊服を着ており、武装を解かないまま、現状をリックへと確認した。


「あと五分以内でどうにかなるだろう。自分で運転するのは久しぶりだったからね。少し時間をかけ過ぎてしまった」


「まあ、今のところは何も起きてないから大丈夫やろうな。でも、一応急いだ方がええで。何が起こるか分からへんからな」


「ああ、分かっているさ」


 最後の命綱であるこの自家用ジェット機にモルフが襲い掛かるなんてことがあれば、もうリック達は国外へ飛び立つ手段を完全に失ってしまう。

 だからこそ、少しでも急がせるようリックに促した清水であったが、それは当人も理解していたことだろう。

 かといって、準備不足で飛び立った時に不時着なんてことは絶対に避けたいというのもリックの考えだ。

 だからこそ、確実に飛ばせる為に入念に確認をしていたのだった。


「お前達のお陰で、どうにかなりそうだよ。多々良さんにも礼を言っておいてくれ。国境線を超えることの許可を得てくれていたのだからね」


「せやな。まあ……そこまでできるのも凄いとは俺も思ったけど」


 自家用ジェット機で最短距離でアメリカへ行くには、どうあっても通りかがる他国への国境線の侵入は避けられない。

 それを手配してくれたのは、あの多々良平蔵という男だ。

 どんな手段を使ったのかは知らないが、彼はリック達が真っ直ぐにアメリカへ向かうルートを提示してくれていた。


「ほな、俺は月島と合流してくるわ。出発する時はまた声掛けてくれや」


「ああ、了解した」


 後のことは任せた清水は、そのままコックピットの出口の扉を開けて、座席が多くある乗客室へと向かう。

 そこには、月島と椎名がいて、目が覚めたデインも床に座っていた。


「よう、起きとったんかいな」


「ああ、おかげさまでな。リックはどうだ?」


「あと五分で出発できるそうや。それまでは物音立てずに大人しくしとくことやな。大声出してモルフがきても敵わんし」


「――五分か」


 あと五分で出発することを聞いたデインは、変わらずの表情のままだ。

 清水自身も、なんとかして早くこの空港から抜け出したい思いではあったが、今は何を言っても始まらない。

 すぐ近くにあった座席に座った清水は、椎名の方を見ると、


「椎名ちゃん、大丈夫か? どっか怪我とかしてへんのか?」


「あっ、大丈夫です。疲れてはいますけど……傷はすぐに治りますし」


「そか、まあ何かあったら修二に顔向けできんしな。ともかく、無事で良かったで」


「――そうですね。修二は……今回の作戦については知らないですもんね」


 ここにはいないが、椎名真希の幼なじみである笠井修二はこの作戦についてはまるで知らない。

 知らされないようにとの手筈とは聞いていたが、それがなぜなのかは清水も知らなかった。

 ただ、神田や出水と同じくして、笠井修二はメキシコ国境線での作戦行動に出ていることから、人手不足という意味で呼ばれなかったのだろうと、清水はそう推測はしていた。


 こんな異国の地まで来た椎名も、修二の安否は気になる筈だろう。


「あいつのことなら心配すんなや。ああ見えて、俺ら元隠密機動特殊部隊の副隊長やった奴やで」


「うん……心配はしてないよ。ただ不安でね」


「不安?」


 心配も不安も同じことではないかと、そう思った清水であったが、その考えは椎名も話す気はなかったのだろう。

 精一杯の作り笑いをその顔に浮かべると椎名は、


「私は大丈夫。これで全部終わるんだし、帰って皆でまた集まりたいね」


「――――」


 嘘ではない。しかし、何か思うことがあるのであろう椎名の胸中を、清水は明かす気にはなれなかった。

 ただ、椎名も疲れているだろうことも含めて、これ以上は何かを追求する気にはなれなかったのだ。


 そして、そうこうしている間に、清水達のいる自家用ジェット機が揺れる。


「おっ、ついに動くか」


「――そのようだな」


 デインと月島がそう呟き、清水も窓の外へと視線をやると、僅かにだが機体が動き始めていることがわかった。

 リックが操縦を開始して、飛ぶ為のエンジンを吹かしているのだ。


「長かった一日も今日で終わる。ようやくやな」


 独り言のようにそう呟いて、清水は両手を後頭部に当てると、軽く息を吐いた。

 後はもう、清水も月島も皆、やることは何もない。

 空へと飛び立てば、後はアメリカへの到着を待つだけだ。


 自家用ジェット機がゆっくりと動き出し、真っ直ぐに滑走路を進むと、飛び立つ為の軌道を確保したのか、一気に加速して機体が小刻みに揺れる。


「すごい振動やな……こりゃ、座ってやんと危ないわ」


 飛行機には何度か乗った経験は清水にもあったが、ここまでの振動と浮遊感を味わったことはない。

 機体の大きさ然りの影響もあってのことだったのだが、ともかくは座っていないと転がりかねないほどであった。


 そして、機体は地からゆっくりと離れ、とんでもない加速でもって上空へと駆け上がる。


「――っっ!」


 自身の体重が何倍にもなったかのようなGが襲い掛かり、その場から体を動かすことができない。

 やがて、安定してきたジェット機は加速が弱まり、座席に座っていた清水も動き出せるようになってきた。


「――ようやく、飛んだんか」


「ああ、これで、俺達の任務も達成されるな」


「月島」


 最前列の座席にいた清水の隣に座るように移動してきた月島は清水と話がしたいのか、そのまま続けて、


「正直、板東と俺は分かるが、最初はお前が加わると聞いてどうかと思ってたよ。実戦経験が薄いお前がいても、足手まといになるんじゃないかってな」


「……それで、結果的にはどやったんや?」


「お前がいなかったら、お前じゃなかったらこの任務は達成出来なかった。だから、そのことを詫びたかったんだ。足手まといだと考えていた俺の早計に」


「――でも、実戦経験が薄いのは間違いないで。いくら特殊部隊上がりや言うても、俺はあん中じゃ実力不足やった」


 謙遜するようにそう話す清水だったが、本音でもあった。

 隠密機動特殊部隊だった清水だが、他の三人と比べて実力が劣っていることは言うまでも無い。

 実際、何の為に自分はあの部隊にいたのかでさえ、疑うほどに悩んでいた時期もあったほどだ。


「そう思うなら、うちの隊に入ってほしいもんだよ。お前なら大歓迎だ」


「嬉しい勧誘やけど、お断りさせてもらうわ。嫌とかじゃないんやが、俺にも帰りを待ってる仲間がおるからな」


「それは残念だな」


 勧誘を断られ、「ふっ」と、少しだけ笑う月島だったが、彼なりに本気だったのだろう。

 清水も清水で、自分なりに実力が劣っているとは言うが、客観的に見ればそう言うほどでも無い。

 彼は月島や板東よりかは不器用ではあったが、ライフル銃の扱いにも手慣れてはおり、多種多様の武器に心得がある。

 場面に応じた使い分けができるからこそ、ネパール国内の中でも上手く立ち回ることが出来たのだ。

 それは、他の誰かが簡単に出来るようなものではない。


「あんたも、帰りを待ってる人はおるんか?」


「なんだ急に? ……まあ、いないと言えば嘘にはなるが」


「ハッキリせえへん奴やな。素直におる言えばええのに」


「長く待たせてしまったが、婚約者がいてな」


「女かい……」


 聞いて損したと、清水は頭を掻いた。

 何も悪い話でも何でもないのだが、清水の周りはとにかく女絡みの繋がりが多い仲間ばかりである。


「何だ? 嫉妬か? いい歳してみっともない奴だな」


「うっさいわ。こっちは惚気話ばっか聞かされて飽き飽きしとんねん」


「はっ、面白い奴だなぁお前は」


 友達感覚のようにそう絡んでくる月島に、清水も口を曲げてそっぽを向いていたのだが、何分、このやり取りは嫌ではなかった。

 思えば、月島とここまでプライベートな会話をしたことはなかった。

 普段は厳しい口調でいた月島は、任務の最中でもとにかく口うるさい性格であったのだ。

 彼なりに責任を持って行動していたのだが、清水もそれに応えようと全力で任務に集中していた。

 だから、彼のことは嫌いにはなれなかったのだ。


「――アメリカへ戻ったら、女房さんと上手くやれや」


「そのつもりだよ。ありがとうな」


「へっ」


 何気ない会話も、このジェット機にいる間までだろう。

 アメリカへ着けば、元々所属が違う月島と清水は当分の間、顔を合わす機会は訪れない。

 だからこそ、最後は締まった会話で終わらしたかったのだ。


 事態は収束し、安心したのは束の間だった。

 その時、突如としてジェット機が安定を崩したのか、グラりと機体が揺れた。


「な、なんや!?」


「――っ!」


 リックが操縦を誤ったのか、いきなりの揺れに動揺する清水達であったが、今のは何か妙な感じがした。

 今の揺れは、ただ機体が傾いたというよりかは、外部から何かの干渉を受けたかのような雰囲気を感じられたからだ。


「嫌な予感がするな……」


 後ろにいたデインも、その妙な感じに嫌な雰囲気を感じとったのか、真剣な表情になる。

 そして、事態をリックに確認しようと月島が立ち上がった時であった。


 更に機体が傾き、先程よりも揺れが大きくなる。


「うぁっ!?」


「おいおいおい、どうなってるんだ!?」


 只事ではない雰囲気を感じ取り、一同は焦りを表情に浮かべる。

 そしてその時、リックから通信機での連絡が飛んできた。


『バードストライクじゃない。何かが機体の後ろにいる! 誰か見に行ってくれ!』


「――何か?」


 リックが操縦を誤ったわけでも、空を飛ぶ鳥が機体のエンジンにぶつかる現象であるバードストライクでもないとそう言ったリックに対し、清水は機体の後ろにいるとされる何かと呼ばれる存在に着目した。


 モルフがこの機体にへばりついていることはありえなかった。

 そもそも、とんでもない加速でもって飛び立ったこのジェット機にしがみつけるなど、到底考えられるものではないのだ。


 ならば、一体何が機体の後ろにいるとされるのか。

 リックの伝令を聞いて、一番初めに動き出したのはデインだった。


「おい、この後ろは貨物庫だったな。見に行くぞ」


「わ、私も行く」


 デインの後ろに続くようにして、椎名も共についていき、その後ろに月島と清水も同様にして事態の確認をしようと急ごうとした。

 そして、プライベート座席なとがある今の部屋から後ろの貨物庫への扉を開けたデインは、その中を見て狼狽える。


「おい……冗談だろ?」


「なんや、何がおったんや!?」


 立ち止まるデインに対し、何事かと尋ねた清水だったが、月島とデインは即座に銃をその手に持つ。

 異様な気配を感じた清水も、それに対して不安に駆られたが、実際に目で見て理解した。


 貨物庫は機体の底を開くことで荷物の運搬が出来る仕様となっている。

 そこからは人の出入りも出来るとされているのだが、その入り口となる箇所が大きく凹んでいたのだ。

 それは、外部から強い衝撃を受けて凹んでいたかのようにも見受けられた。


 安息の時はすぐに絶望へと移り変わる。

 その瞬間、大きな衝撃で持って機体の底の部分が大きく剥がれ落ち、外の風が一気に内部へと流れ入っていく。


「うわぁっっ!」


「何かに掴まれ! 外に放り出されたら終わりだぞ!」


 気圧の関係もあって、とんでもない引力が一同へと襲いかかり、その場で立っていられることも出来ない。

 そして、何がそうさせたのか、デインも椎名も、月島も清水も既に気づいていた。


「ヴェノム……この野郎、どこまでついてきやがるんだ!!」


 空を飛ぶジェット機にしがみついてきていたのは、あのヴェノムだったのだ。

 奴はデイン達のことを諦めていなかったのか、血走った目で持ってこちらを見つめてきている。


「ちくしょうっ! 落ちやがれ!」


 デインはなりふり構わず、拳銃をぶっ放してヴェノムを振り落とそうとするが、まるで効果はなかった。

 そもそも、桁外れの風力で持って荒れ狂う機体の中で照準なんてへったくれもなかったのだ。

 結果、あらぬ方向へと銃弾は飛んで行き、ヴェノムには掠ることすらなかった。


 そうこうしている間に、ヴェノムは機体の中へと登ろうとしてきている。


「ヤバいぞっ! このままじゃあっ!」


「くっ!」


 ヴェノムの機体の中への侵入を許してしまえば、もうデイン達にはヴェノムを倒す術はなくなる。

 機体ごと落とされて、全滅するのがオチだということは、その場にいた全員が理解していたことであった。


「――清水」


「な、なんや!? こんな時に!」


 その時、月島は清水にある物を渡そうとした。

 それは、彼がずっと身につけていたロケットペンダントであった。

 写真付きのそれは、先ほどまで話をしていた女房らしき写真が写し出されており、それを見た清水は、


「おい……お前」


 差し出されたペンダントを受け取ってしまったことを、清水は後悔した。

 受け取った時に理解してしまったのだ。

 月島が何をしようとしているのかを――。


「後は頼む。――女房には、済まないと伝えておいてくれ」


「は? おい、ふざけんな! 何を言って――」


 月島の手を取ろうと、清水が動き出そうとしたその時であった。

 月島は掴んでいた手すりを離し、勢いに任せてヴェノムへと突撃をしようとしたのだ。


「うおおおおおおおっっ!!」


「月島さん!」


 ヴェノムへと突撃し、そのまま道連れにして落とそうとした月島であったが、そうはならなかった。

 ヴェノムへ体当たりをし、両手を機体の一部へと掴んでいたヴェノムは、その片方の手が外れて、あと一歩のところで落下しそうになる。

 しかし、まだ諦めていないのか、片方の手だけで機体にしがみつくその執念は凄まじささえある。


「月島っ!!」


「――っ!」


 対する月島は、ヴェノムへと体当たりをしてから真っ逆さまに落ちようとする寸前、偶然にもヴェノムの足にしがみつくことで落下を防ぐことは叶っていた。

 しかし、それでも月島が助かる見込みはほとんどなく――、


「月島っ! そこで待ってろ! 必ず助けたる!」


「――っ、やめろ! 清水、ヴェノムを撃て!」


「っ! な、なにを……っ!?」


「もう……俺は助からない! だから、お前の手で俺ごとヴェノムを落とすんだ! 今しかない!」


 精一杯の懇願を聞いて、清水は卒倒しそうになるほどに息を荒げる。

 そんなこと、出来るはずがない。

 ここでヴェノムを撃てば、間違いなく月島は地上へと落下して死ぬ。

 ヴェノムを倒すことは叶うが、そんな犠牲を汲めるほど清水は非情になりきれなかった。


 手に持つサブマシンガンを震えながらに構える清水に対し、同じく拳銃を持ったデインは何も言わない。

 彼はもう弾丸を完全に使い切り、弾切れの状態だったのだ。

 つまりは、この場の運命は清水に託されてしまっていた。


「早くしろ! 早くしないと……ヴェノムがっ!」


「――っ!」


 急がせる月島を見て、引き金を引く指が動かない清水は、これ以上の時間が無いことに気づいていた。

 ヴェノムは離れたもう片方の手をもう一度、機体へと近づけようとして、再び清水達のいるジェット機へ乗り移ろうとしている。

 風の抵抗もあってか、上手く機体にしがみつけてはいないのだが、それも時間の問題だ。

 このまま、清水が撃つことを躊躇すれば、ここにいる全員が死んでしまう。


 分かっていても、どうしようもない時というのは、誰しもが起こりうることだ。

 だからこそ、今の清水を責められる者はここにはいない。いないが……決断すべき時が迫っていることも事実ではある。

 そうして、彼は月島の顔だけに視線を向けて気づいた。


 ――月島の表情は、既に覚悟が決まっていたことに。



「――っあああああああああああっっっ!!!!」


 空っぽになった頭の中で、清水はサブマシンガンの引き金を引き続けた。

 無数に飛び交う弾丸は、そのほとんどが照準が合わずに当たることはなかった。

 しかし、その中の一発がヴェノムな掴む手に当たり、そして――、


 ヴェノムの手が機体から離れた。


「――ぁ」


 ふと、小さな声を漏らした椎名。その隣にいたデインも、苦々しい表情で行く末を見守っていた。

 清水も、苦痛に歪むような表情をしながら、最後に見てしまった。


 ヴェノムと共に落ちていく月島の姿を――。


「月島ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」


 名前を呼び、声ももう届かない月島に対して、清水は叫んだ。

 落下速度と、このジェット機の加速が合わさり、月島とヴェノムの姿は一瞬にして見えなくなってしまう。


 これで――、長かった戦いの幕は終わりを迎える。

 でも……納得なんて出来るわけがなかった。


「ちくしょう……なんでや、なんで……」


「どいつもこいつも死に急ぎやがって……っ!」


「月島……さん……」


 板東に続き、月島もいなくなってしまったことで一同は悲しみに暮れる。

 なぜ、誰一人欠けることなく終わらせることができないのか、自身の無力さに嘆きたくなる。

 特に、手を下した清水はそれを大きく心に刻み込まれていた。


「……とにかく、中に戻るぞ。ここにいつまでもいるわけにはいかない」


「――――」


 デインの提言に、椎名と清水は何も言わずに従った。

 手すりに掴まらなければ、風の勢いで飛ばされる危険もあった為、致し方ないことではあったのだが、それでも動きたくない思いもあった。

 空虚になった心は、穴埋めが出来るものではない。

 清水は、月島から受け取ったロケットペンダントを握りながら、月島が落ちていった外の様子を見て、こう呟く。


「――必ず、これは届ける。お前の覚悟は無駄にせえへん」


 月島の最後の決死の覚悟を見た清水は、決心していた。

 月島の婚約者である女性に、必ずこのロケットペンダントを渡すことを――。



 かくして、デインをアメリカへ連れて行くという椎名達の任務はこれで達成されることになる。

 その道中での犠牲は、彼らからすれば少なくはないものであったことには違いがない。

 必要な犠牲であったと割り切れるものではないが、デインの存在は間違いなくこの世界情勢をひっくり返せる材料になることは間違いがなかった。


 しかし、背後に暗躍する謎の組織、『クリサリダ』の存在は間違いなく、この世界のモルフウイルスの騒動に関係する元凶であることは事実であった。

『レベル5モルフ』であるミラとの遭遇は、組織の背後関係を完全に知られたわけでもなく、ただ椎名達の脅威になっているということだけしかわかっていない。


 そして、椎名達を含めた一同がアメリカへと戻るその二十四時間前の出来事。場面はもう一人の『レベル5モルフ』の力を持つ青年。笠井修二の物語へと続く。

 ――全ての始まり。笠井修二や椎名真希の故郷である日本へと。


これにて第四章は完結となります。

なぜだか今までの章の中で一番長く感じた章となりました。元々、この作品は主人公である笠井修二を視点にするよりかは、周りの仲間達の視点を多くすることの方が多いという傾向がありますが、それ故にキャラの性格や思考基準を元にして物語を作るというのが凄く難しかったです。

今回の第四章はまさにそれを痛感しており、一話一話を作るのがかなり時間が掛かってしまった次第でもありました。

デイン・ウォーカーは『Levelモルフ』の作品としては第二の主人公の立ち位置でもあります。

笠井修二は自己よりも他者を優先するタイプの人間ですが、デインはその逆であり、他人よりも自己を優先するというタイプの人間であります。

そういったこともあって、第四章の中では椎名と意見が合わないこともしばしばあったりしましたが、これはこの作品のテーマに関わる部分を少しだけ表してもいます。

そして、遂に登場した新たな『レベル5モルフ』、ミラについてですが、性別は女です。一人称が俺になっていますが、あれは一応背後関係は全く関係がないのですが、ある意味を持たせています。

色々と匂わせては後々でって形が多いですが、その全ては次章で全て回収される予定です。

第五章の視点はもちろん、主人公である笠井修二です。

もう一人、別のキャラの視点も含めた話もありますが、内容はかなり濃密になります。

第五章自体はそこまで長くはなりません。理由としては、第五章は最終章の序幕という立ち位置でもあるからです。

その代わり、第一章からの謎は全て第五章で明かされるので、投稿ペースはハイペースにしていこうと思っています。

趣味で書き続けてきた『Levelモルフ』ですが、ようやくここまできたなぁと感慨深い次第です。

作者はダークファンタジーものが大好物でもあるので、その中でも絶望感がある作品は大好きであったりもします。

参考にするというわけではないですが、ゾンビモノはある程度のテンプレも入ってくるのは仕方なかったりするので、よく海外映画などを見ていたりもしています。

あとは第五章と最終章の二章分というところなのですが、実は終わりが見えない部分もあります。

最終章の内容がめちゃくちゃ長いので、以前のあとがきにも流していた今年中に終わらないかもというのはそこに掛かっていたりもするからです。

まあでも、ゆっくりまとめられればそれもありかなぁとは思っていたりもしますね。


第四章はこれで完結とは申しましたが、最後に一話だけ閑話を入れたいと思っています。

それを投稿してから、第五章へと繋げていこうと思います。

次話投稿予定はまだ未定です。今月中になんとか投稿して、六月に第五章という流れになるかと思われます。


最後に、少しでもこの作品を読んでいただいた方々、評価やブックマークを下さった方々。本当にありがとうございます。

評価もらったから今日本気出そうみたいな単純な人間ですが、これからも今まで通りやっていくつもりです(笑)

体調も回復してきているため、時間があればどんどん先の内容を作って投稿していければと考えています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ