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今日で終わる物語  作者: 米俵ドッコイショ
1/1

少女がドSで辛い

よっしゃ、批判コメントだろうが「あ」の一言だろうが、なんでも来やがれってんだ!



 小説とか、アニメとか読んだり見たりしていて、身分不相応にも「これ、変だよね」とか、「ここ、こうであったら面白いのになあ」なんて、つい声に出して言ってしまう。


 化石を見た時、同じようなことが言えるだろうか。「このティラノサウルスに羽の骨格があったらいいのになあ」とか、「アンモナイトはもっと食べやすい形がいいよね」とか。こんなバカげた言葉はまず出ない。


 確かに小説と化石は大きく違う。そのもの自体も違うけれど、観客の評価もまた大きく違う。


 どうして違うのか。何が具体的に違うのか。


 僕たちは野球観戦をしていた。席はホームランが取れるような場所だった。ホームランを打ってほしいと願った。ホームランを取ることができるかもしれないからだ。


 選手に期待をしていた自分に驚いた。最初、野球に興味はあまりなかった。ルールもうろ覚えだった。なのに、選手が打たないことに落胆して、ヒットを打ったら嬉しいと思った。


 砂浜に来た。海が綺麗だ。貝殻が多く落ちていた。綺麗なモノがないかと探した。一つ綺麗なモノを発見することができた。しかし、それは完璧とはとても言えたものではなかった。けれど、どんなものより、綺麗だと思った。


 小説は生きていると思った。いや、死んでいる小説もある。それは作者が亡くなっている場合だ。いや、作品が二次創作として扱われるかもしれない。

 けど、やっぱり小説は生きていると思う。




「小説が書けないっ!」

僕は悩んでいた。苦しんでいた。小説が書けないことに。何を書いたらいいのかまるで分からない。あと、読み返したとき自分が書いたとは思えない代物ができていて焦る。

「変なことで悩んでいるんだね」

っと、そんな僕を煽ってくる言葉を投げたのは名も分からない少女だった。

「うるっさいなぁ、こっちはこんなに悩んでいるのに! 暇そうだねっ!」

「暇ではないよ。君ほどには」

「話聞いてたか? こっちは小説のアイデアが出なくて困ってんだ」

僕と話しているのは少女。名前は知らない。大学の図書館にいた。

僕と少女の出会いを聞いてくれ。

まず、僕が図書館に行きます。夏休みのど真ん中で。

陰キャの好きそうな図書館の隅っこでこそこそとパソコンに文字を打っていっていたら、少女が声をかけてきた。

「小説書いてるの?」

「え、まあそうだけど」

 今考えたら、こいつ、少女って言葉似合ってないような気がする。彼女? は変だし、女性って言い表すほどでもない。

 よくよく考えたら何なんだこいつ。

 しかし、今は適切な表現が見つからないので、少女という言葉を使う。

「その小説面白いの?」

「いや、よく分からない」

 この時、思わずよく分からないなんてバカみたいなこと言ったけど、今考えると、自信がないだけなんだよな。もしかしたら自分の作品を読んでくれて、それから面白いって言ってくれるかも、なんて心の隙間で考えていたのかもしれない。

 その後、読ませてよ。と言われ有頂天になっていた僕に心をえぐるセリフが少女の口から飛び出した。

「これ、面白くないね」

「はぁ?」

 正直、凄いやつだと思った。初対面の異性に対して、何はともあれ「おもしろくない」と言ってのけた。

 メンタルドカーンッ!! さらば淡い期待よ。寂しいがこれが現実。

「え、ええ。ちょっと待って。普通ここは嘘でもまあまあ面白いんじゃない的なことを言うんじゃないん?」

「私、嘘嫌いだから」

「ええ、じゃあどこが面白くないん?」

「それぐらい自分で考えたら?」

「はあ? ヒントぐらい教えろよ」

「じゃあ全部」

「はぁw?」

 なんだか悲しくなってきた。たぶん状況が状況なら泣いていた。面白くないだと? この僕が一生懸命考え続けて温めに温めていた小説をたった一言、「おもしろくない」で片づけやがった。まじか。

「くそっ、まあでも初めて感想もらってうれしいのやら悲しいのやら」

「嬉しんじゃない?」

「ちょっと黙って!」

 ここは図書館なのにこんなにしゃべってもいいのだろうか? 大丈夫。夏休みの大学の図書館の隅の方なんて誰もいない。あれ? じゃあなんでこの少女はここにいるのか。

「そうか、君も陰キャなんだな」

「私は陰キャではないわ」

「嘘をつくな!」

「私は嘘が嫌いだってさっき言ったじゃない? もう忘れたの?」

「じゃあなんでこんなところにいる?」

「さあ?」

 答えをはぐらかされた。なにか隠しているのだろうか?

 詮索しようとしたら、少女の方から話題を振ってきた。

「おもしろい小説書いてよ」

「いや、無理じゃない?」

「どうして?」

 そんなこと言われても、この少女にはもう理由が分かっているじゃないか。


「   僕は  所詮   この程度の    人間だから     ・・・       」

こういうの書いてるの楽しい。

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