第23話 幕間 陸儀当麻の独断と偏見による調査人評
登場人物が多いので、調査人に限定してまとめています(/・ω・)/
読んでいて「誰だっけ?」となったときに、確認する用の項目だと思っていただければ幸いです。
「んー、こんなもんかな」
陸儀当麻は書く手を停めて伸びをした。
「マイハニー、なにしてるんですかー?」
居候兼怪我人兼殺人鬼の尽サツキが背後から覗き込んだ。動作は鈍いが、立って歩ける程度には回復したらしい。
「調査人たちの情報を整理しようと思ってな。一覧にしてみた」
説明しつつ、煙草に火を点けて一服する。
「えー? そんな覗き屋みたいなことしちゃダメじゃないですかー」
殺人鬼の台詞ではない。
「誰のせいでこんな苦労してると思ってるんだよ、この疫病神」
幸いと言うには皮肉な話だが、“ザ・チェイサー!”で各自インタビューを受けている。堂々とメモを取っていたら怪しまれるかと考え、できるだけ憶えておいて、あとで控えておくようにしたりしていた。疚しいことがあると、いろいろと気苦労が絶えない。
「あくまで連中の自己申告だから本当言ってるとは限らないし、自分のことを喋りたがらないヤツもいるけどな」
無辜の一般人であっても、個人情報の流出を好む者はいない。
「見せてくださいよー」
手を伸ばしてきたので渡してやる。そもそもが、サツキと情報共有するために作成したものだった。
「チーム名は便宜上な。まずは俺がいるAチーム」
・Aチーム
①伊勢乃木貴美
K館2回生 19歳 和服を愛用時々ライダー
大園誠太が逮捕されたため、代理で参加
合気道を習得 誠実な性格
②王喜万斗果
車椅子 A高校在籍 未成年
ミステリ愛好? 相当頭が回るようだが何考えてるか分からん暗黒女
インターンシップで週3日参加 推定富裕層
③陸儀当麻
④甲斐裕次郎
69歳 病気の多重債務者 視力内臓腰等に不安
全体的に貧乏くさい 消極的
富井に突き飛ばされて腰を痛め、離脱中
かなり当麻の主観が入った人物情報だった。
「おやおや~? 女性陣だけ詳細過ぎませんかね~?」
「ナイフを起こすな。同じチームなんだから知れることが多いに決まってるだろ」
サツキの邪推ほどに太平楽ではなく、寄りにも寄って要注意人物が2人もいるチームに入ってしまった当麻である。
・Bチーム
⑤樫内洋志
30代前半 ラフな服装
自由業 軽そうな性格
菊尾レイの取り巻き 捜査に意欲的
⑥菊尾レイ
30直前 ケバイ化粧
“ザ・チェイサー!”のアシスタント 計算高そうに見えるが詰めが甘い
マネージャーやスタッフを連れていることが多いので注意
推定私撰調査人 手柄を独り占めしたい様子
⑦国塔陽区
推定20代後半
自称ユーチューバー
菊尾レイの取り巻き 捜査に意欲的
「男のひとたち雑すぎませんかー?」
「し、しかたないだろ、接点がまるでなかったんだから」
菊尾レイはともかく、男連中に限っては現時点では騒がしいだけで、特に脅威も感じていない連中だった。
「それでも菊尾の啓蒙のお蔭か、それとも賞金に釣られたか、モチベーションは高い。能力がやる気に追い付いてなさそうなのが残念だな」
言いたい放題である。
・Cチーム
⑧鍬下萌夏
20代後半~30そこそこ ミリタリールック
言動が粗野 煙草泥棒 裏表はなさそう
推定私撰調査人 推定格闘技経験者
⑨兼摩宏
30代 小太り
鍬下の手下
⑩小雨ひたぎ
40代 痩身 キツネ目 鋲打ち帽
自称芸能ジャーナリスト
目端が利く 陰で情報を握っているもよう
「もかさん? かわいい名前ですねー」
「名前だけな。中身は愚連隊だぞ」
「兼摩さんのお仕事はー?」
「滑舌の悪い人で、何言ってるかさっぱり聞き取れなかった」
脅威度が低いと判断して、当麻があまり身を入れて聞いていなかったせいもある。
「それでも、鍬下と小雨だけで総合力はピカイチかもな、このチーム」
本当のピカイチは、伊勢乃木貴美と王喜万斗果を擁するAチームであるのだろうが、当麻は補足しなかった。
・Dチーム
⑪椎田恵
50代女
⑫寺蔵升達
中年 ホームレス一歩手前の外見
無気力 厭世的
サボりで調査人から除名される 給付金詐欺を働いていた前科アリ?
⑬数寄寅江
20代後半~30代前半 ドレッドヘア
自称芸術家
「両手に花チームですね!」
「寺蔵がリタイアして、花しか残ってないけどな。椎田はほとんどだんまりで収穫なしだ」
会議でも積極的な発言はなかった。
「数寄は自分を芸術家だとか言ってた。よくスマホをいじってて、あれで創作活動してるっぽい」
その分、捜査に前向きではなかった。
・Eチーム
⑭須田卓也
30前後 陰気
自営業
富井と険悪な雰囲気
⑮富井内人
20代前半 金髪 ファッションタトゥー
強気 短絡的 暴力的
小学校時代の同級生 今後対応注意
⑯野可部花
40代
主婦
気弱そう
「須田は自営業だとか言ってたけど、ちょっと怪しいな。富井もカタギが勤まりそうには見えないから、ぼったくりバーでもやってんじゃないのか?」
勝手な憶測を口にする。
「んで、陰気な須田に富井が絡んでいるのを度々見かけた」
「野可部さんはどうですかー?」
「仲の悪い2人に挟まれて気の毒だなあ、ってぐらい。塾の送迎時間気にしてたから、学生の子どもがいるっぽいな」
さして重要そうなソースではなさそうだった。
・Fチーム
⑰兵藤勝成
50代 がっちりした身体つき
言動がやや尊大
推定私撰調査人 推定格闘技経験者
⑱塀内ゲン
推定30代後半 いつもおどおどしている
銀行員
消極的 仕事に戻りたがっている
⑲穂塚聖子
40過ぎ 三角眼鏡女 スーツ姿
教師 自己主張が激しく、ヒステリック 学歴至上主義
嫌煙女 弁当を盗み食いしようとした前科あり
「ある意味、一番近寄りたくないグループな。注意するのはリーダーの兵藤。たぶん私撰調査人だろうから、腕に覚えがある。穂塚は脅威じゃないが、精神的にひたすらウザい」
当麻がこれまでの穂塚の言動を思い起こして、げんなり顔になる。
「兵藤はナチュラルに偉そうだから、それなりの地位にいたのかもしれないな」
「ゲンちゃんはどうですかー?」
「口を開けば壊れた蓄音機みてーに“仕事に復帰したい”しか言わないから不明。銀行の中堅にしては落ち着きがないかな」
煙草をコーヒーの空き缶に放り込んでメモを畳んだ。
「ま、おいおい埋まってくだろ。持っとけ」
「はーい。サツキさんがゼッタイバレないところに隠しておきますー……んしょ、っと」
渡された紙片を胸の谷間に挟もうとするが、起伏が足りずにそのままストン、と滑り落ちてしまう。
「図々しい隠し方すんな。近年まれにみるド貧乳のクセに」
つい口をついて出そうになった本音を、意志力を総動員して呑みこんだ。
無論、当麻が調査人たちの情報をまとめ始めたのは、単なる好奇心からではない。
(捜査の手がサツキに、ひいては俺に伸びてきたときに役立って欲しいもんだがな。コイツらを始末する必要が出てきたときに)
タイトルの通り、あくまで当麻の基準なので、間違っている場合もあります。
また、もちろん今後知り得た情報が加筆されてゆくことになります。
こうやって段階を分けないと、さして登場してないキャラクターの情報を細かく記載しても読むのがめんどいだけだろうし(笑)




