ななかいのはおう
深い深海。音もなく、光も無い
「ここは...」
目の前が暗い。
ここから動こうとすると足が痛む
怪我をしているようだ。
「そうか...こんな所まで遂にあいつらが...」
いつだってあいつらはそうだ。
俺たちの都合なんて関係無しに俺たちの命を貪っていく
体が海の上に浮いていく
網に体が絡まってただただ上へ、上へと
水圧が急に変化し内臓が痛む。
オイ...これじゃ俺の身が腐っちまうじゃねえか...
光が瞼を照らす。
光に目が慣れ周りを見ると仲間達が大量に囚われている。
「人生なんてこんなもんだよな...」
俺はふとため息をついてそんな事を考えていた
そして次の瞬間視界はさらに上、海面の上へと移動する。
周りの喧騒がやけにうるさい
「今日は大漁だぁ!」
「今日はでけぇのが多いっちゃげねぇ!」
人間たちの声だ
いつだって俺たちの命を貪り尽くす奴ら
もう何も考えたく無い
もう何も見たくない
仲間が首を切られ血を抜かれる
神経を壊され生き締めされる。
もう何も考えたくなんてない
もう何も感じたくない
そして次の瞬間俺の首にも激痛が走った
「はぁ!?」
あれ、なんだろうこの感覚は
はぁ...はぁ...はぁ...
口呼吸...?
ん...?
これはなんだ?
俺は視界に映る自分の何かを見る。
これは人間の手...?
自由に動く。エラよりかは速くはないが細かく動くし使いやすい。
いや待てよ、エラがねえ。
「お兄ちゃん何しとると?」
後ろから誰かの声が聞こえる。
「は?」
後ろを振り返ると人間がいた
「うわぁ!?」
思わず驚いて後ろに尻もちをつく。