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ゆく年くる年

ゆく年くる年

作者: 御荘庵(黒瀬みさが)

 子年がもうすぐ終わる。

 俺の家ではその年の干支のヤツを迎えるという風習があり、大晦日の夜は交代のために玄関を開け放っていた。

 その玄関では今年の干支だったねずねず(俺はそう呼んでいた)がグルグル走りながら、お役目終了の時を今か今かと待ちわびている。


 除夜の鐘が鳴り始めるとともに「じゃねー☆」と言い残し、ねずねずは凄い勢いで闇の中へと消えて行った。

 コラ、丑と交代するまで待つんじゃねえのかと思ったが、消えたヤツには届かない。

 仕方ないので俺は除夜の鐘を聞きながら、丑を待つ事にした。


 年が変わり、空気が冷たく張り詰めた冬の夜に最後の鐘の音が消える頃、闇から何かがゆっくりと近付いて来た。

 「どーもぉ、遅くなりましてぇー」

 おっとりした声で、今年の干支が語り掛けて来た。

 「お招きにあずかりまして、どうもですぅー。いい月夜ですねぇ、道中見惚れてしまいましたぁー」

 去年のねずねずはひたすら落ち着きがなかったが、さすが丑(何と呼ぶかは考慮中)、よく分からん安定感がある。

 「今年のお話をしますねぇー」

 丑も人の顔が付いていると、色々しゃべりたくなるんだろうか。

 今年の丑は変わってんなあと思いながら、俺はヤツを家へと招き入れた。

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