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江戸川を渡れ  作者: 野菜
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第一章図書委員の眞壁 2

 チャイムが鳴る少し前、眞壁は教室の中に入った。

廊下では朝読書の遅刻ぎりぎりを狙って走ってくる人が大勢いて衝突事故待ったなしだ。

鞄から本を出す。今日は宮部みゆきの『模倣犯』。よりによって単行本を図書館で借りてしまったため、重すぎて地獄を見た。

眞壁は図書委員をやっていることから察せられるよう読書が好きだった。特に好きなのはミステリーとファンタジー。読書をしている間だけは現実を手っ取り早く忘れることができた。

 「ちょっと起きなさい。本は?」

声の高い、派手なピンクの口紅をしている教師がとなりの席の男子を小声で起こしている。眉を極限まで細くしたとなりの席の男子は顔だけをわずかに持ち上げて言う。

 「忘れました〜やることないで〜す」

彼らはいつも敬語を話すときには語尾を伸ばす。暴言を吐き出すときは無駄に鋭い語尾をしていると言うのに。

眞壁はとなりの様子を素知らぬふりをする。隣の席の男子は忘れもの常習犯でしょっちゅう叱られている。以前も似たようなことで注意をされていて、こちらから視線を送っていたら教師が立ち去ったあとに忌々しげに舌打ちをされた。見てんじゃねえよ。と小声で言われたがそんなもん無理がある。もしかすると、以前本を貸せと言って眞壁に断わられたことを根にもっているのかもしれない。

 朝読書の時間が終わり、一時限目に入る。今日は歴史だ。男子の一部は椅子に座ってはいるものの体は前を向かず、ななめを向いている。女子は真面目にノートをとっているようでよくよく手元を見れば小さな手紙を書いて近くの友人とにやにや目配せをしあっている。わたしたちの半分は50分も真面目に授業を受けることはできない。教師は時おり注意するが一度直しても時間は10分も継続しない。いつからか、「他の人の迷惑になるからやめなさい。」という注意を教師たちはしなくなった。そもそも、授業を妨害するがごとくしゃべってる人ははなから他人の迷惑を考えない。どのような迷惑があるか想像ができない。

15分おきに中断される授業、ときおり大声を発する男子、それに笑う男女、ぐるぐる手紙を回す女子。表と裏。

そんな授業風景は今日も今日とて四時間続く。

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