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俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?  作者: まさみゃ〜(柾雅)
三章 神を冒涜する腐敗都市
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67 悪徳を求める異形の神

やっっっっっっと続きが書けた_( _´ω`)_ペショ

 ゆっくりとモルディギアンはこちらに向かって足を引きずりながら歩いて来る。もう、倒れていてもおかしくない程にボロボロで、それでも信念に支えられながらこちらに向かって歩いている。

 俺は骸鬼の見た目から、元の姿に戻した。


「やはり貴様は骸鬼でもニンゲンでも無かったのか」


「ああ……と言ってもさっき生まれ変わったばかりみたいだけれどね」


 俺の種族はこの世界に来てから元々人ではない。人の姿を象った道具だった。けれど、無意識の中で自分がまだ人間であるとこの現実を認めようとしていなかったらしい。


「最期に……何か言いたいことは無いか?」


 俺の前で跪く様に体勢をを崩したモルディギアンに、俺は問いかける。


「少し……少しだけで良い……俺の話を聞いてくれ……」


「……いいよ」


 生殺与奪権は俺にある。せめての情けとして、俺は許可を与えた。

 一呼吸置いて、彼は昔話を始めた。






 俺はもともと王の器など無かった。ただそこに降り立って、ただそこに居て、ただ理由も分からず崇められていた。

 けれどある日、俺は一人の食屍鬼に知識を与えてしまった。しかし俺にとって与えた知識は、供物の礼のつもりだった。

 やがて、知識を持った食屍鬼はその知識を広める。そこで食屍鬼達は、俺を「我らの神が賢王として降臨なされた」と謳い神ではなく王と彼を崇め始めた。

 ここで俺は己の失敗に気が付いた。知識を与えると同時に、知識を与えた食屍鬼を王にすれば良かったのだ。しかし、もう後悔しても遅い。俺はもう、玉座から離れることができなくなった。


 やがて、此処、|《腐敗都市:ゴモラ》は生者の国の様に発展していった。使用される言語は生者たちが失った言語である『ダアト語』。気にする必要の無かったボロボロな衣類に対する羞恥。しかし、法はいつたっても生まれなかった。

 食屍鬼(グール)達の食事は基本死肉、故に畜産業は不要だった。死んだ同胞を食えばいいのだから。それに、定期的にここには武装した人間が来る。そこで殺せた人間を食えばいいし。来なくても王である俺が眷属召喚で増やしたやつを殺して食えばいい。

 ただ、あまりにも冒涜的だったのか、いちどこの国に天使が殲滅しに来た。だが、俺はその天使に勝ってしまった。

 ここからはもう面白いことはない。変わらない退屈な日々。ただ玉座に座って眺めるのみの背景となった。

 神の座から堕ち、今や俺の神性は擦り減り無いにも等しい。

 だから殺してくれ。もう、俺は疲れた。






「……そっか。じゃあ、さようなら」


 俺は(モルディギアン)の首を切り落とした。

 不思議と抵抗感も罪悪感もわかない。ただ、するべきことが終わったという感覚と、キリカの心配だけしか無かった。


「ゔ、」


 後ろで倒れていたシャヌアが突然苦しみだす。彼女はさきほどまで快楽の余韻に浸っていたはずなのだが……。

 やがて彼女はうつ伏せの状態になり、口から何かを吐き出そうとしている。いや、吐き出そうほしている表現は正しくないか。()()()()()()()()()()|()()()()()()()()()()()()()()

 彼女の喉に小さな手形が浮き上がり、それは徐々に口へ近づいていく。

 そしてそれは姿を見せた。


 小さい白い手。赤子のような手だが口がついており、その口からは長い舌が垂れている。

 それには見覚えがある。まだ、終わっていなかったのだ。

 苦しさがそろそろ限界まで達したのだろう。シャヌアの背中から大きな翼が生える。そしてそれはバタつき始めた。やがて彼女はそれを唾液混じりに吐き出す。やっと吐き出すことが出来きた解放感からか、彼女はその場で倒れた。


「モルディギアンが喰われたか」


 白い、首の無い赤子が立ち上がって言う。

 全身の毛が逆立つような不快感。今すぐにソレを斬らねばならないと本能が騒ぐが、身体はなぜか硬直して言うこと聞かない。


「……さて、分霊だが……流石天使の身体だな。落ちても天使、乗っ取ることは叶わなかったが神性は以前……いや、本体よりも増えたようだ」


 そしてそれは俺の方を向いた。顔がないのに笑っているように見える。


「……『悪』だな、貴様。実に良質な『悪』だ」


「な、何を言って……」


「覚えていないのか? 己が何をしたのかを。それも、幼き日の事を……」


 ――幼いころ……?

 覚えていない。というか何のことかわからない。


「何を言って――」

「未だキムラヌートには至っていないのか。だがまぁ……」


 その言葉の続きは無かった。代わりにヤツの両手の舌が伸びてくる。

 動かなかった身体は、かすりはしたがその舌を避けることに成功した。いわゆる火事場の馬鹿力という奴だろう。しかし、それよりもヤツの口ずさんだ言葉に気になる単語があった。


「き、キムラヌートってなんだ!?」


「避けたか。だがまぁ……いいか」


 問いかけに答えは返ってこなかった。


「いや、そもそもあれをやっても未だ、バチカルを得ていないのか。アディシェスやアィーアツブスの素養はあるようだが……まぁ、そのうちなるようにはなるか」


 ヤツが何を言っているのかわからない。しかしヤツが言う、身の覚えのない俺のした事が気になる。俺の記憶が正しければ、小・中学生以前の記憶にヤツの司っているものを行ったことはない。ただ、あの時、ヤツがいた教会から脱出した時に見えた鮮血色の血溜まりの記憶をふと思い出した。

暫く投稿のペースが落ちますが、徐々にペースを上げようと思っています(´;ω;`)

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