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俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?  作者: まさみゃ〜(柾雅)
三章 神を冒涜する腐敗都市
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55 アトラ、ユクエシレズ

 目が醒める。不思議と疲れがない。


「あれ……?確か俺は…………」


 両腕は鎖で繋がれ、もと入れられていた牢屋に戻されたらしい。勇者(笑)は相変わらず呑気に寝ている。


「結局……死ななかったみたいだな…………」


 本体がここにないことから推測した。それに、あの玉座の間にいた時と同じくサナの声が全く聞こえない。あの剣は、俺の本体であると同時に、殺めた生命の魂も喰らって貯蔵する倉庫でもある。離れて死んでしまったら、もうそこまでという可能性があった。


「んんっ……くっ、はぁぁ…………」


 少し伸びをする。ずっと同じ体勢だったらしく、関節がパキリパキリと音を立てる。


「それにしても、よく寝た……」







 意識が落ちる前、俺は紫色の霧に包まれた。その紫色の霧は、生物のように胎動しながら肌にまとわりつく。それに、生暖かかった。

 そして、徐々に霧の濃度が増した時、耳元で何かが聞こえてきた。


『――! ――! ――!』


 言葉として認識できない。俺の知る言語でないように聞こえるし、知っている言語にも聞こえる。ただ、聴いていて分かるのは、この声は聞き覚えのある声ということ。悲鳴のような、嘲笑いのような声。

 脳にこびり付いてくる気を狂わせるような名状し難い旋律は、疲れ果てたこの身体には子守唄の代わりになる。







「まだ……地味に耳に残ってる……」


 子守唄は小さくだが、まだ俺の耳の中で渦巻いている。しかし、その歌は衰弱していた。


「さてと……おーい、起きろー」


 ゲシゲシと足で勇者(笑)を蹴る。


「……んあ?」


「あ、起きた。てか、よくそんな状態で眠れたなぁ……」


 勇者(笑)は起きたばかりだからなのか、少しボーッとしている。そして今、自分の居る状況を少しづつ理解し始め、同時に意識が安定し始めたらしい。


「……なっ! おまっ、ってハァア⁈」


「おーい、よく眠れたかー?」


 勇者(笑)は、自分の今の状態に驚く。


「何でお前は枷なのに俺は縄なんだよ!」


「ここの敵曰く、お前は“特に”心配する“必要のない”まだまだ“未熟な勇者(雑魚)”らしいよ」


 悔しそうな目で俺を見てくる。まぁそりゃそうか。


「何もせずにスキルや名誉に頼るからお前は強くなれないしウザい。そんな使い方をするなら勇者をやめろ」


「なっ!」


「スキルや称号はただあるんじゃない、それらは使い方によっては強くなる。何も考えずに使っているうちはここの敵には勝てない」


 イゴールナクを倒した事によって獲得したスキル〈威圧〉を同時に発動する。

 緊迫した空気が場を制し、勇者(笑)の目に恐怖の色が映る。


「ま、俺には関係ない事だけどね〜」


「……っ、はぁ…はぁ……な、ならっ――⁉︎」


「ただし、俺のキリカには手を出すなよ?」


 一旦〈威圧〉を解除するが、勇者(笑)が何か言い返しそうだったから再び威圧する。今度は殺気込みだ。


「言葉と行動は気をつけようね?」


 俺はそう言って彼を見下す。悔しそうにしているが、少しいつもと様子が違う。これでいい方向へと変化していけばいいのだが……あ、別にそう言う感情はないよ?ただ単に今の状況だと邪魔だったからだよ?本当だよ?











「んっ……はっ! ケイトさん⁉︎」


 私は勢いよく起き上がり、辺りを見渡しました。私は猛獣などが入れられるような檻に、シャヌアちゃんと一緒に入れられてしまったようです。檻の外は古びたお城のような所で、隣には玉座に誰かが座っていました。

 ところで……アトラちゃんは?


「起きたか小娘」


「っ⁉︎」


 真横から声が聞こえて私は身構えます。が、腰に下げていた剣がありませんでした。


「剣は預からせてもらった。今は大人しくしてろ」


「貴方は…………何者ですか?」


 私は冷静を保ちながら問いかけます。


「俺か?俺の姿を直視するのはあまり勧めないが……」


「それは何故です?」


「俺たちは畏れられるモノ。かつて一つの星を支配していたモノ。その星の生命らは俺たちの姿を見て必ず発狂する。そしてこの星も同じだ。ま、それでも一人だけ平然としていた奴はいたな」


 私は男の台詞に恐怖した。まさか存在するとは思ってもいなかったのだから。彼らは一人の文豪が生み出した架空の神話体系だったはず。それが今、ここに実在するのだ。


「……分かりました。貴方のことは直視しません。ところで……今までに貴方達で死んだモノはいるのですか?」


「小娘が何故それを訊く?ま、教えてやっても良いか。結論から言えば居ない。ただ、それではお前の持つ疑問は解消されぬだろう。俺たちは物体を持たない。故に死なぬ。俺ら旧支配者(オールド・ワンズ)は決して滅びぬ。たとえ、永きに渡りルルイエの館にて生ながら死んでも。だ」


「そう……ですか…………(私にまだ神性があれば……)」


 私は何故か転生してしまった。そのおかげで神性を持たないただの小娘となってしまいました。

 ケイトさんはおそらくこの男にとっては害になる存在でしょう。けれど、話して思いましたが、この男は彼を殺すつもりはないような優しさが見えました。


「なに、心配するようなことではない。どうせ俺はもう、今後殺される事は決まっておる」


「最後に一つ……いえ二つ、良いですか?」


「許そう」


「まず一つですが、私たちと一緒にいた白い仔蜘蛛は見ませんでした?」


「白い仔蜘蛛?何だそれは?」


 どうやら別行動のようですね。あの子は確かに賢いですけど……少し心配です。


「いえ、知らないのなら良いです。それで二つ目なのですが……」


 私は本当に訊いても良いのか少し不安になりましたが、覚悟を決めます!


「貴方はどうして……そんなに優しいのでしょうか?」

次回、「アトラの大冒険!」

٩( ᐛ )وお楽しみに!












作者の諸事情により、12月中は投稿することができませんごめんなさいm(_ _)m

その代わり、必ず元旦に最新話を投稿します!

(°言°)決して聖なる夜に爆破テロを起こすわけではないのでご安心を……

(๑>◡<๑)まあ、ツイッターではいつも通り活動しますw









(´-`).。oO(冬眠……したいなぁ……)

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