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45 悪行神

はじめに一言。


投稿遅れてすみませんでした!m(_ _)m

 何も起こらない。天使も、肥えた首無しの大男も起きて攻撃してこない。


「………そう簡単に壊れて欲しくないんだけどなぁ」


 やっと土煙が収まると、そこには白い影がうつ伏せに倒れていた。肥えた首なしの大男はと言うと、壁にめり込んでいる。

 あ、重さで前に倒れた。


「ぷっ……ククックククククッ………笑、笑いが、笑い、が、止ま、らないっ……」


 笑っていると、白い影がピクリと動いた。どうやら死んでいなかったらしい。いやぁ、嬉しいな〜♪


「人間、よくも私に傷を負わせたな」


「あ? 喋れたんだ。攻撃を受けても悲鳴をあげなかったからてっきり喋れないかと思ったよ」


 駄目だ。どうやっても口の両端が釣り上がる。背後の大男が滑稽で仕方がない。それにこんな高揚感、そんなに感じたことがないから新鮮だ。体が熱い。けれど意識は鮮明だ。


「そんなに死にたいのならよかろう。特別に私の力の全てを以ってして相手しよう」


 天使がそう言うと、彼女の身体が大きな光の球体に包まれた。神々しく平伏したくなるが、それに対抗するように俺の興奮が戦旗を右手で強く握る。

 神々しい光球の表面はやがて、翼の表面と同じ質感ような質感に変わり、その後は完全に六つの翼だと分かるようになっていた。

 翼は展開され、片手剣を携えた天使が露わになる。


「無駄に綺麗な演出しやがって……」


 威圧感が半端無い。一方的なのも良いけど、強そうな奴を屈服させるのも楽しいから…ね。


「さて、再戦としましょう」


 巨大な翼を広げ、目にも留まらぬ速さで彼女は俺の目の前に横薙ぎの構えで立っていた。けれど想定の範囲内。


「はい〈死の影剣〉」


「無駄だ」


 天使の一振りで影の剣が全て折られる。けれど、この技の面白いのはここからだ。

 俺は戦旗を握っていない左手で空間に文字を重ねるように書き動かす。すると、折れて砕けた影の剣が天使に目掛けて一直線に飛んで行った。


「クウッ」


 弾丸の雨のように飛んできた破片の攻撃は想定外だったらしく、結構天使の身体に刺さった。でもさ、なんで天使は攻撃を受けた時とかで嬉しそうな表情になっているの?そう言う性癖?


「おのれぇぇぇぇガフッ!?」


 言葉では悔しそうだったが、表情は嬉しい感じだった彼女。吐血した瞬間、本当に怒り出した。


「天使も血は真っ赤……か」


「人間……武器…に毒を………盛っ…たな…………」


 やっと蓄積されていた毒が一定量溜まって効果が出たらしい。でも、遅いなぁ……まぁ仕方ないか。


「あいにく俺は正々堂々と言った単語類は連帯責任の次に嫌いでね」


 とびっきりの笑顔のつもりで俺は答える。けれどまぁ……その笑みをすぐに崩して俺は言った。


「もう飽きた。さっさとお前を片付けて後ろの奴を殺す」


 プツリと俺の興味、興奮と言った感情が途切れた。もう、どうでも良くなってきた。

 所々肌が黒く変色し始めた天使は、辛うじて片手剣で身体を支えるように跪かせている。俺は彼女に近づき、その額に唇を当てた。死なれたら困るからついでにペストの効果を切っておいてね。

 〈禁忌の接吻〉の効果で、少しの間寝てもらおう。


「ああ、もう起きてたのか」


 瓦礫に埋まっていた白肌の肥えた大男、イゴールナクを睨む。

 信者を悪徳の道に落とし、己の次の身体を選ぶ下種。お前の所為で不幸になった人間がいる。不愉快だ。全く綺麗じゃない。人の不幸の原因は人のものでなければならない。人間によっての不幸で無ければ……ん?なんで俺はそんな事を思った?


「“よ……くも………”」


「誰が喋って良いと行った!」


 戦旗は俺の意思通りに形を変え、片手剣型の《魔剣:メラン=サナトス》となる。それを横薙ぎ一振り。横薙ぎで生まれた風は真っ直ぐイゴールナクの下へ真っ直ぐ飛び、大気中に舞っていた砂塵を巻き込む。イゴールナクまで風が達した時、砂塵を巻き込んだ風は奴の腹を大きく抉った。


「簡単には…………死なせないよ?」


 視界が狭いけれど広い。興奮しているけれど意識は鮮明で冷めている。

 何に対して怒りの感情を俺が感じているかは分からない。いや、分かる。今分かったかも知れない。だって、奴は俺が忌むべき存在なのだから!

 右足を前に出し、力一杯踏み込む。そしてその右足で地を蹴り、イゴールナクに接近する。


「〈強撃不殺〉」


 強いダメージを与えても死にまでは至らない素晴らしいスキルだと思う。けれど、奴にはあまり効いていないようだ。それで良い。


「顔が無い分、もっと痛がってもらわないと……あっ」


 そこである植物を思い出した。

 その植物は木で、細かい尖った毛が枝や葉に満遍なく生えている。その毛には毒が含まれており、毛が刺さった生物は最短で二、三日、最長で二年もの時間も毒の痛みで苦しむ。

 ある男はそういう植物とは知らず、その葉に触れてしまった。その後、全身に響くように毛が刺さった部分から痛みを感じ始めた。その痛みは男を自殺まで追い込むほど酷かったらしい。


「あの木の毒なら……」


 抉られた腹にさらにもう一発の〈強撃不殺〉を打ち込んだ後、氷を生成し、それに毒属性を付与して奴の再生し始めた腹に突き刺す。

 俺が少し後方へ退いた後には、奴の腹は元どおりに戻っていた。


「さぁ……俺の前でもがき苦しんでくれ………」


 思わず笑みを浮かべてしまう。こんな楽しさはあの場所では味わえない。ここの世界に来れて本当に良かったよ……

 己を腹を掻き毟りながら苦しむ大男が滑稽だ。石の玉座は壊され、手駒の天使は寝ている。そして玉座に鎮座していた主は地を這い蹲り、もがき苦しんでいる。


「あーあ、もう飽きてきた。んじゃ、もう死んで」


 魔剣を縦に軽く振り下ろした。大理石でもないただの石の床を魔剣が叩く。甲高い金属音が空間を走り、しばらくして静まった。

 あっという間にイゴールナクの身体は細かく斬り刻まれ、護られていた心臓を地面に落として壊してしまった。

 生命活動が終了した為、肉片は再生しない。


「さて、そろそろこのスキルを解くか」


 〈死神の眷属〉を終了させる。一気に脱力感が襲いかかって来るが、まだ耐えられる程度だ。おそらく、力が増えたからその反動だろう。

 流石に遊びすぎたが、反省はしていない。だって、何故か分からないけど許せなかったのだから仕方がない。うん、仕方がない仕方がない。

ストックがないのでちゃちゃっと書かねば……(⌒-⌒; )

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