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35 桐花様

暇だから今日も投稿しました。(柾雅の首はロープで締められている状態)

いやー、他人からされるのは嫌なのにどうして自分がするのは許してしまうのでしょうかねw





頑張ってストックを貯めておかねば…………

 神は我が子(信者)(利用)している。


  故に(信者)は、神の御心のままに動く。

















 キリカには悪い事をしてしまった。しかし、欲しい罪悪感が全く湧いてこなかった。


「ハァ……昔からそうだ。何かと罪悪感というものが湧かない…………」


 今日の授業が終了し、放課後。図書館に向かうべく、長い廊下で独り言をこぼす。


「それは神への信仰が足りないのでは?」


 背後(・・)から声がした。しかし、会話は自然と続く。


「信仰……ねぇ………一応信じていたらしい神はいたけど今はもういないんだよなぁ……………」


 彼女以外の神を、俺は信じる気はなかった。だからティーナって言う武具の女神とかも知らない。お供え?ナニソレオイシイノ?

 それに、神は信用出来ない。神性を持っているアトラが教会の前を通った時に怯えていた。故に、現段階でこの国で信仰される神々(一柱除く)はグレー。まぁ、その一柱は……ね?その内お供え物をする約束したやt(ゲフンゲフン 神様だから白だ。


「なら、私たちの神イーナク様を―――」

「宗教勧誘はお断りだ! ってイツノマニ!?」


 宗教勧誘されてやっと気が付いた。聖女がいた。しかも真横(・・)に。さらに聖女は俺の前に周り出た。


「え? 今気が付いたのですか? 私はてっきり気付いていたのかと……」


 いや、本気で気が付きませんでした……はい。てか何で俺は普通に会話していたんだ?普通なら違和感を感じて直ぐに気が付くのに……やはり、キリカのことがまだ消化不良を起こしているのだろうか?


「………………」


「えっと……本当に気が付かなかったのですか?」


「………………」


「沈黙ですか……(ドヤァ)」


 聞いていて何故かウザったく思えてきた……


「か…し…(ぼそり)」


 イラついて思わず口に出た。その言葉を発した時、聖女に反応があった。多分聞かれた。ま、わざと聞こえるように言ったのだけど。あ、顔を赤くして震えている。これは黄金の右ストレート確定だ……よし、覚悟を決めて蛇足しながら白状しよう。


「今……何と?」


「官能小説『◯されても諦めない聖女と聖女の身体を弄ぶ魔族達』グフッ」


 無言の右ストレートがちょうど腰辺りの骨にヒットした。その振動が、酸素を補給するために肺に送られた空気中の気体が少し吐き出させられる。せめて狙うのは鳩尾だろ?何故に骨なんだ……あ、身長差か。


「イテテテテ………」


「きゃっ、何!? 何この白いのは!!」


 おそらく素の口調なのだろう。落ち着きのない声が廊下に響く。彼女の顔面には白い大きなワタのようなものがひっついており、今にも彼女に噛み付きそうだ。

 俺はそのワタをすぐに取り上げ、大切に抱える。


「アトラ、俺は大丈夫だよ。だからその牙を仕舞おうか」


 怒りを小刻みに身体を揺らしながら表現するアトラを優しく撫でる。それだけでアトラは大人しくなってくれるので、こちらとしても可愛がり甲斐がある。


「そう、従順な子は好きだよ……で、何で貴女はそんなにお預けをくらって寂しそうな雌豚の様な顔をしているんだ?」


「ハッ……そ、そんな訳で無いじゃないですか………そ、それは、私が、い、いい痛ぶられて嬉しいと思ってしまう残念な人みたいじゃないですか!」


 そこまでは言ってないのだが……

 すると鐘が鳴り響く。すっかり陽が傾きかけている時間だった。何故だろう。さっきまで歩いていたはずなのだが、歩き始めたところからそれほど距離が離れていない。それに、歩みをこまめに止めたわけでもないのに、疲れが無い。違和感が無いほど疲れが無い。


「もうこんな時間でしたか……仕方がありません、私はこれで失礼します。また明日……ですね」


「あ、ああ……」


 聖女は違和感を感じず、さらに違和感無くその場から去って行ってしまった。


「………………さて、俺たちもそろそろ部屋に帰ろっか」


 俺はアトラを抱えながら、与えられた寮の個室に向かった。








 寮は寮でも、俺が与えられた部屋は平民の生徒と同じような部屋だった。ただ、学園にいる間はその部屋が固定で使われることはないらしい。その為、落ちて来た貴族の生徒もちらほらと見える。だが、俺には関係ない。鼻から真面目に成績を上げる為に勉強するのはつまらないし、学園公認の裏技の様なものを使って部屋のランクをあげようと思う。まぁ、その方法は後程。

 部屋に入ると、寮母さんが掃除をしてくださったらしく、部屋は綺麗なままだった。朝から日暮れまで部屋を放置すれば少しは埃が溜まるはずだがそれが見えないのが証拠だ。


「さて、もう遅いし寝るか……」


 夕食にアキーの果実を食べ終え、暫くしてから床に就く。窓を閉め、部屋に鍵を内側から閉め、安眠できる体勢になるように仰向けでベッドに潜る。アトラは近くのカゴに蜘蛛の糸で作られたクッションの簡易ベッドに入った。蜘蛛もちゃんと睡眠をとるのか分からないが、一応作っておいて正解だった。


「さて………おや…すみ…………」









 ―カチャリ

 窓が開いた音がした。その音で目が醒める。しかし不自然だ。寝る前にちゃんと窓の鍵は掛けたはずだ。それに、俺の部屋は五階だ。

 体を起こさず、瞼を薄く開き窓に目をやる。

 すると、窓には人影があった。月光によって影になってしまっているが、外には弱い風が吹いており、月光を反射する波打った髪は白。そして以前見た彼女の寝間着のネグリジェが煽られている。影にある二つの碧色の瞳。薄っすらと浮かべる彼女の笑みには、俺に彼の女神(彼女)を思い起こさせた。華奢な白い肌の影は、俺が起きていることにはまだ気が付かないで、部屋に侵入してきた。


「嗚呼……圭人さんの匂いがする部屋……それに圭人さんの寝息が聞こえる…………ふふっ♡」


 彼女と彼の女神(彼女)らしかぬ台詞が部屋に小さく響く。影は足音を殺して俺が眠るベッドまで歩み寄った。そして、起きている俺を起こさないように、俺のお腹辺りの上に跨る。そして、俺の胸板に両手を添え、俺の心臓の音を聞こうとするように、体を預けてきた。


「やっと逢えましたね……圭人さん。この身体から貴方の匂いがしてから私………嬉しかったですよ。でも、私の意識がはっきりとし始めたのは今夜。それまでは私は貴方にことを知らない、ただ貴方の名前の響きに聞き覚えのある愚かな少女でした……」


 彼女はやはり彼の女神(彼女)だった。その声のトーン、その口調。全てが彼の女神(彼女)と一致した。


「知っていました? 貴方と初めて出会った時、この転生体の心の溝が埋まったのですよ? 昇華してそのまま消えるはずだった私が、この世界でこの子に転生した時から私は貴方を欲していたのです。あ、でも、貴方の匂いだけが私の意識を呼び覚ましたわけでは無いのですよ? 授業中に窓から見た時、私、シャヌアちゃんと話している貴方を見て嫉妬してしまったのです」


 どうやら彼の女神(彼女)は、あのまま昇華して消えたくはなかったらしい。原因は不明だが、転生してしまった彼の女神(彼女)は喪失感と共に育った。そして俺がトリガーとなって意識がやっと戻った………そして今、その喪失感を埋めようとして俺の部屋に侵入してきたというわけか。


「嗚呼、なんでしょうか? この感情は……貴方が愛おしくて…とても愛おしくてたまりません………誰にも渡したくはない………貴方と話している他の女性がいた時を想像すると、その女性を殺したくてたまらなくなってしまいます。貴方が何処かに行こうとしてしまった時、私はその前に鎖で繋いでおきたくなってしまいます………ですが、それと同時に私は貴方に束縛されたい。愛されたいのです。私が貴方を束縛して愛し、貴方が私を束縛して愛す。そんな愛の永久機関な関係が欲しい…………!!」


 体を起こし、俺の顔を覗くように彼の女神(彼女)は言った。


「私……狂おしいほど貴方が愛おしいのです………」


 この時思った。これが俗に言う『病んデレ属性』なのかと。メンヘラとはちょっと違う、愛によって病んでしまった存在。好きな相手が自分以外の異性との会話をしていた時、その異性を相手から遠ざけるようにしたり、愛する相手のために自分の手を汚す事を躊躇わなかったり、必要以上に愛する相手に執着し、自分がその相手を傷つけてしまった時にネガティブな思考になってしまう。あの属性。まだ色々と挙げられるが、兎に角メンヘラ属性の次に面倒臭いその属性に違いない。

 委員長には、病んデレに用心しておけとは言われたが、俺が原因で彼の女神(彼女)はこうなってしまったようだ。だから回避できない。それに、俺はこんな愛の形でも悪くはないと思った。


「嗚呼……圭人さん…圭人さん圭人さん圭人さん! ………んっ」


 彼の女神(彼女)は寝ているふりをしている俺の唇に、自分の唇を当てて、軽めのキスをした。一回……もう一回……さらにもう一回。繰り返す様に彼の女神(彼女)は俺の名前を呟いては唇と唇を合わせ俺を求める。


「ふふっ♡……まだ深いのは勇気が出ませんが、念願のキスが出来ました♡」


 悪戯が成功した子供ような喜びの笑みを彼の女神(彼女)は浮かべる。そして再び、唇と唇を合わせようと体を倒してくる。

 俺はそこで一つ、悪戯を思いついた。彼の女神(彼女)の唇が俺の唇に触れそうになった時、俺は彼の女神(彼女)を抱くように寝返りを打つ。勿論彼女は慌てる。


「んっ、ん……」


「えっ!? あ、ちょ、ちょっと……」


 寝返りを打つ時の、息を整える所も再現を忘れない。そして案の定、彼の女神(彼女)の心拍数が跳ね上がった。何故分かったかって?そりゃあねぇ、彼女の華奢な腕越しに胸部と胸部が密着しているからねぇ。


「け、圭人さんのか、かか顔が、ここここんなち近くに………!」


 俺の寝返りに驚いた様子を俺は薄く開いた瞼から見ていたが、突然襲いかかって来た睡魔に自然と意識が手放された。


































 [称号〈異性を病んデレ化させる男〉を贈呈されました]

ブクマ・感想・評価感謝です!(柾雅はこう言うのに弱いので困らせたかったらどうぞー)


今回の病んデレは、私、柾雅にとっての病んデレの感覚なので、多少違うところがあると思います。



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