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33 パンに練り込まれているドライフルーツて美味しいよね

(*´꒳`*)なんか投下したくなった。

「さて、今日のお祈りも済ませたし、そろそろ教室に向かわないと……」


 私は毎朝の習慣であるお祈りを済ませ、学園内に設置された堂から出る。今日も風が心地よく、気分が良い。ただ、最近は何故か寝ても疲れが取れないことが多い。これはまだ祈りが足りないのだろうか?

 そんな事を考えていると、私は自分の教室に着いた。教室に入ると、私は必ず挨拶をする。当たり前の事だろうが、行わない生徒がいる様なので私が手本にならなければならない。


「おはようございます」


 声をお腹の底から……と歌の様に言うわけでは無く、聖女らしくお淑やかに私は挨拶をする。勿論、教室に入り挨拶する前にお辞儀を忘れない。

 私の挨拶は教室に響く、しかし誰も挨拶の返事がない。寂しいと思うが、実際はまだ誰も教室にいない。

 だが私は気にせず自席に着く。噂ではこのクラスにあの私の秘密を知った男が編入して来るらしい。彼は興味が無いから誰にも言わないと言ったが、いまいち信用ならない。それに、可能性だけれどキリちゃんのことを呼び捨てで呼んでいたからキリちゃんが危ない!




 少し考え事をしていただけで、いつのまにか教室が賑わっていた。楽しく最近の流行りの装飾品の自慢をしあったり、今日の授業の内容。それと、新しくこの学園に来た生徒の話題が私の耳に入ってくる。主に話されているのはやはり転入してくる生徒の話だけれど、私は一人心当たりがあった。

 他の生徒はまだ彼の容姿など知らないはずだから、「綺麗な女性がいいな」などと言う呆れた発言も当然ある。それに、長期休み明けに学長先生の言葉とかが無いので、新入生を紹介する場がないから容姿も来る教室もわからない。

 そこで先生が教室に入って来た。


「さて、席に着きなさい。今日は色々とあるからねー」


 さすが冒険者の出なのか、貴族の子女がいる中でも堂々と女性の先生はフレンドリーに話す。まぁ、そこがこのクラスの生徒にとって好感が持てる所なのだろう。誰も悪態は付かない。


「まずは面倒臭いけどこのクラスに転入生が来たからそれの紹介ね。入って来な」


 私は先生のセリフにを聞いて耳を疑った。

 このクラスに……転入生?


「あの――」


 私が先生に質問をしようとした時、教室の扉が開かれた。開かれた扉からは例の彼が入って来た。肩に白い毛玉?で服装はこの学園の制服。腰には刀と思われる得物が二本一つの皮製の鞘に納められている。髪の毛は軽く整えられ、黒い髪に一房の不自然な緑色がある。瞳は毒を連想させるような紫色の瞳で、顔は若干整っている。

 間違いない。奴だ!キリちゃんを呼び捨てした奴だ!

 そして彼は教壇に立つと、目つきを変えて口を開く。


「ケイト=オリサカ。一応こんな見た目ですが東が出身です。貴族の子女様方々に忠告だが、俺は敬意を払うのは苦手だ。最低限は払えるが悪いけど通常はこんな感じになるから気に触っても謝らない」


 紹介がある意味最低だった。だが、そんなゴミを見る様な目で見られているのにときめいてしまった私は何!?

 勿論、他の生徒は不満を表情に表した。そして彼に対する質問をする時間もなく、授業が始まった。











「はっはっはっは! 試験の時の威勢はどうした!」


「五月蝿い! アンタの声はいちいち耳に響いてウザい! それにアンタあの時、得物を壊されて負けただろうが!!」


 ローサム先生といい勝負をしている彼を見ていると、他の生徒たちの剣技が可愛いものに見える。ちなみに私は聖職者なので魔法の訓練を授業で行なっている。その休憩時間で見た光景がそれだった。

 木剣と木刀で打ち合っているはずなのだが。火花が散ったり、たまに金属音がしたりして怖い。それに、ローサム先生の攻撃を受けて骨折しても動いている自体彼が狂ってる様に思える。ってまた骨折⁉︎




「はっはっはっは、いやぁ肉弾戦は楽しいな!」


「あ"ぁ"ぁ"、骨折した腕邪魔! そしてアンタは本当に五月蝿い!」


 一通り模擬戦?をしたローサム先生は意外といい顔をしていて、彼はその真逆で完全に苛立っていた。

 本当は彼の骨折を治したくはないけど、聖女であるからには差別は駄目ね。私はそのまま彼に近づいて声をかける。


「あの……よかったら骨折を治しましょうか?」


「…………お願いします」


 て、丁寧語……コロコロと口調が変わるわね………


「ではかけますよ」

 ―我らの(ry

    〈復元(リストレーション)〉―


 私は復元の治癒神法を彼の骨折した左の二の腕を戻す。本当は乱用できる様なものではない高位な神法なのだが、私の信仰心にかかれば朝飯前だ。


「二回目…か……ありがとう。だが、アンタは本当に聖女なのか?」


「だから言っていますでしょう? 私は聖女です」


 彼の発言の声色は正直言って、嘘に聞こえる。それは、あえて私達学園側の生徒と故意的に隔たりを作り、悪役を演じようとしている様に思えた。


「ハァ…………そもそも、貴方はなぜ骨折をしても動こうとするのですか………」


「……も、目的をた、達成…していないから………?」


 溜息交じりの私の疑問に、明らかにその場凌ぎの言い訳を彼は吐いた。

 その様子が面白く、私は思わず笑ってしまった。


「フフッフフフフフッ……」


「なっ、これでも咥えて黙ってろ」

「フhモッ!?」


 彼はそう言うと、笑っていた私の口に柔らかく香ばしい何かをどこからか取り出し、押し込んだ。

 押し込まれたそれは、認識するのに時間がかかったがパンだと分かった。しかも白パンで、仄かに甘い。所々にキューブ状に近い甘酸っぱい何かが混じっていて、その食感も面白い。唾液でシットリとした部分にはさらに甘みが増し、食感がモチモチとしている。だから、あっという間に私は詰め込まれたパンを食べきってしまった。

 そしてまた食べたいと思ったと同時に、私は餌付けされている様な感覚を感じてゾクゾクしてしまった。


「あの聖女様の口に食べ物を押し込んだ…だとっ……」


 一人の男子生徒が呟く。それは非難と言うよりは憧憬と言える様な感情が注がれていた。

 さらに、


「聖女様が思うわず食べきってしまうほどのパン……私も欲しいなぁ」


 と言う女子生徒の声も聞こえる。それらを聞いた彼は舌打ちをしてその場から離れた。周りから見れば、私に負けて逃げた悪者の様に見えるが、私は彼は違うと思った。

 彼……いえ、ケイトは必死に悪役を演じる人物で、褒められることに慣れていない。そして、無機物な優しさを隠す様に努力している。


 ―だが、私は彼を認めない!


 キリちゃんを呼び捨てで呼んだ彼は、私の中の立ち位置はまだグレーゾーン。しかも黒寄りの!この考えだけは変えたくは無い。変なプライドだけれど、聖職者にとっても悪い考えだけれど、捨てられないの!















 私は知らない。その固定概念が出来た時のきっかけを。

 そして私は知らない。自分の信仰している神を。






















































病ンデレ、マデ、アト二話クライ

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