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30 やられたら殺り返せばいい

今回は短いです。

「それで、結果はどうでしたか?ケイト様」


「余裕で筆記は合格、実技もついでに合格。だからこれからも宜しく」


 来る途中、宿屋の女将さんの夫と思われる肉人形を見かけたが、問題なくキリカの部屋まで辿り着けた。

 ついでに小さい祭壇みたいな物を拾った。


「よ、余裕……って………」


「あれ? キリカ忘れたの? 俺は魔剣だよ、今までの常識とかちゃんと定期的に入手してたらからね」


 勿論嘘だ。ボロを出さない様に理由を説明するとしたら、これが良いと思った。

 すると、キリカが可哀想な仔犬の様な雰囲気で言った。


「じゃあ、私との時間は何の為だったのですか……」


 その表情でその台詞は反則……ヤバイ、可愛い…………

 だが俺はこう言おう。


「それは勿論、キリカと一緒に居(現代人と知識が同)たかったからだよ(じかの再確認だよ)


 それをキリカが聞いた途端、彼女は顔を紅潮させていた。おっと、言おうとした事が入れ替わってた。まぁ、ワザトダケド。


「け、ケイト様……それはどう言う………」


「あ、もうこんな時間。俺はちょっと学長のところ行って来る。少しだけアトラの面倒を見ておいてくれ。それじゃっ」


 俺はそう言って、キリカの部屋から出て行った。

 そうそう、着ている服は義父さんから頂いたものにしている。やはりこの世界はまだ国の教育機関は貴族が中心で通っているらしい。因みに女神が用意したものは境界スキマに仕舞っている。

 寮母に預けたペットを引き取るためにまた後で来ると伝えて俺は寮を出た。













「さて、ここが学長先生の居る部屋か……今更だけど緊張して来た………」


 だが、ここで立ってても何も変わら無い。だから、意を決して扉を三回ノックする。


「ケイトです。入っても宜しいでしょうか?」


「ああ、入り給え」


 直ぐに返事が返って来た。しかし、声のトーンが老人では無い気がする程の高さだ。

 入って見ると、その部屋には少年一人だけが居た。その少年は小さく、見た目で言うと10歳ぐらいで、体格には合わない大きな椅子に腰を下ろして居た。あれ?学園長は子持ちではアリマセンデシタッケ?


「やあ、僕はオープス・プラーグマ。この学園の長だよ。宜しく《魔剣:メラン=サナトス》」


 正体がバレた?いや、流石にそれはあり得ない。そもそも、俺はこの人と会った事があったのか?だが、会ったとしてもこの姿は知らないはず…………


「何故、分かった。俺は会った記憶はないが?」


「フフッ。だって、僕の眼は特別だもん」


「それは魔眼の類なのか?」


「ううん、違うよ。僕自身が生ける古代の遺物リビング・アーティファクトだからだよ」


 生ける古代の遺物リビング・アーティファクト?そんな情報は持っていない。そもそも、それは存在するのか?だとしたら少し警戒をしておいた方がいいか。


「それで本題はその事ではないんだろ? この話はまた今度にしよう」


「うん、そうだね。キミにはコッチの方が重要なことになるからね」


「そうですか。で、何故俺が呼ばれたのですか?」


 何事も無く、本題に入る。序でに学生証みたいな物も貰って。


「口調は変えるんだね……ま、いいや。キミさ、編入試験合格しちゃったじゃない。それでよからぬ事を考えた貴族の生徒たちがいるらしんだ」


「つまり、良いクラスに入ってしまったらイジメが始まる……と?」


「そーゆー事。で、どうする?」


 イジメか……正直そんな状態すら見た事がないな………最近だとネット内でのバレにくいイジメが主流な所だったし……でも、物理的だったらお返ししても問題ないよね?


「俺は別に気にしませんよ。其奴らには覚悟があると言う事なので……」


 いやー本当に良いよね、『やられたら殺り返せばいい』って。ん?誤字?そもそも言葉が違う?ハハッソンナマサカ。


「キミ……恐ろしいこと考えるね…………………ん?」


 突然、プラーグマ学園長?が険しい顔で考え始めた。


「あの、何か問題が?」


「いや、ごめん。何でもないよ……(1年後…ねぇ………」


 1年後……?1年後には何かあるのだろうか?


「そうですか。では、話が終わりましたし俺はもう行っていいですか?」


「あ、うん。良いよ。それと、僕の事は他言しないでね〜一応表向きは別の人だからー」


「分かりました。では、失礼します」


「それと部屋は明日までに用意しておくから普通に指定されたクラスに行ってて大丈夫だからー」


 俺は一礼して退室した。










「生ける古代の遺物……ね………明日、図書室で調べるか」


 俺はキリカの居る寮に入る。


「今朝言った通り、預けていたペットを引き取りに来ました」


「あいよ。(それにしても、キリカちゃんの部屋に毎回来てるけど彼氏かしら?………」


 寮母さん、聞こえていますよ。

 それにしても彼氏、か………誰かと結ばれたいと思った事がなかったからな?少し他人事のように思える言葉だ。……キリカの彼氏…そもそも俺が人に恋しても良いのだろうか?そもそも、好きって何だ?愛って何だ?あれ……?何で俺はキリカと一緒に居たいと思うのだろうか?分からない…………だから怖い……
















「着いちゃったな……」


 キリカの部屋の前に着いてしまった。寮母さんのあの言葉で、少し自分が分からなくなってしまった。

 扉越しに、キリカの楽しそうな声が聞こえる。それを聞いて少し落ち着いた。

 少し戸惑ってしまったが、俺は意を決して扉をノックする。暫く慌てた声がしていたが、直ぐに落ち着いたようだ。


「ど、どちら様でしょうか?」


「ケイトだ。アトラを迎えに来た。ついでにお菓子も持って来た」


「い、今開けます!」


 そして扉が開かれる。部屋からは僅かだが、石鹸の匂いがする。おそらく、アトラの体を洗ってくれたのだろう。でも、蜘蛛って水は大丈夫だっけ?

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