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閑話的な何か 魔剣さんのバイト体験2

(*´꒳`*)フフッ、つい書いてしまった……

 私は現在、飲食店のバイトを初めて体験している。人間の作ったシステムは実に面白い。昔は食など己で賄っていたと言うのに、それを商業に運用するとはな…………


「お姉さん、注文お願いしまーす」


「はい、ただいまお伺いいたします」


 お客様と呼ばれる、店で食べにきた人間に私は呼ばれ、注文を受ける。一見、普通の飲食店に思えるが、私が現在手伝っているお店は、店員の衣装が一人一人違う。侍女服を着ている人もいれば、軍服を着ている人もいる。また、ばにーがーると呼ばれる衣装を見にまとっている人もいた。ケイトの記憶から検索して見ても、意味は分かったが画像は見あたらなかった。


「おい、そこの店員。名前は何だ?」


「私……ですか?」


 注文された品を運び終え、次の他の料理や飲み物を運ぼうとした時に王都にある学園の貴族の生徒に声をかけられた。


「そうだ。で、名は?」


「そ、それは規則違反なのでお教えできません」


 貴族の生徒が急に近付いて私の腰に手を回してきた。その生徒の身長は私より少し高い位で、茶髪のマッシュヘア。体型は痩せているが、筋肉はしっかりとしている。が、顔は自分でできなかったら金で解決させようとするような感じだ。


 ―気色悪い。


「それくらいどうでもいいだろ?」


 そう言って私の太腿を撫で上げる。


 ―そんな手つきで触るな。虫唾が走る。


「お客様? そろそろその手を下げ(その腕を切り落として)ないと出禁にしますよ(も構いませんか)?」


 私は殺気を扱えないので代わりに魔力で威圧する。だが、その生徒は止めない。どうやら魔力による干渉には耐性があるみたいだ。悔しいので私は放出した魔力を抑え成形する。そしてそれを私の本体に食わせる。すると腰に下げていた本体の形が変わった。これはケイトがまだ気が付いていない機能だ。だが私は短剣にしか出来ない。まだ色々と法則があるのだろう。

 私は短剣化した本体をその生徒の首筋に突きつける。


「それとも、こちらの方がよろしい(首の方が良かった)でしょうか?」


 そうやった事で私をナンパしようとしていた生徒は気が付いた。そして走って店から出てってしまった。まだ注文していなかったらしく、誰も追わない。その生徒は最後の最後に、「貴族の誘いを断ってタダで済むと思うなよ!」と言っていた。ま、どうせ私はこの後に外を出歩く予定もないし、気にしなくてもいいですね。


「メヌーさん。これでよろしかったでしょうか?」


「うんうん、問題ないよ! おっと、そろそろ8時間じゃん。サナちゃんはもう下がっても大丈夫だよ♡」


 もう8時間経ったのか。確かにさっき連れてこられた時より陽が昇っている。私はバイト代?と呼ばれる紙袋に入った銀貨4枚を受け取り、店を出る。


「さて、この後はどうしよう……」


 王都に行く前はとても楽しみだったのだが、着いた途端に興味が失せた私は街を徘徊する。露店が並ぶ所もあれば、住宅が並ぶ所もある。一等地には流石に行かなかったが、大きな屋敷が沢山見えた。他には図書館や学校も幾つかあり、キリカが通っていると言っていた〈学園〉もあった。最近では平民の身でも入学が出来るらしい。これならケイトも過ごし易いかな?

 更に歩いていると、一つのお店に私は惹かれた。


「バー・フェアリーズ?」


 私はその酒場に入って驚いた。店内のどこを見ても、漢乙オトメだらけだったのだ。だからなのか、お客さんも少ない。この情報はケイトに送っておこう。


「あらぁん? 珍しいお客さんねぇ、いらっしゃぁい」


「何かオススメのお酒はありますか?」


 このお店のカウンター席に私は座り、マスター?にお酒を頼む。


「そうねぇ〜最近私が作った処女オトメの純情って言うお酒もあるけどぉ〜情報って言うのもあるわねぇ〜」


 なるほど、情報屋でもあるのか。これもケイトに送信送信……


「マスターって呼べばいいのかしら? 情報は今は良いからその処女の純情って言うお酒をくれる?」


「マスターでいいわよぉ〜それじゃ、処女の純情ねぇ〜」


 マスターで良かったらしい。マスターはシェイカーにお酒を淹れ、混ぜ合わせる。作ったと言うのはこういう意味だったのか。


「はい、お待たせぇ〜」


「ありがとうマスター。それにしてもマスターの上腕筋素敵ね」


「あら、ありがとぉ〜サービスとしてぇ〜貴女の知りたそうな事を一つ教えるわぁ〜」


「フフッ、本当?」


「ええ、勿論よぉ〜その剣はねぇ〜食べた魂で自分の魂を回復させたりぃ〜武器の魂の場合はぁ〜その武器の形にできるのよぉ〜」


「な! なんでこの剣がそうだって分かったの!? ていうか、そう言う効果もあったの………」


 私はそう言ったが、黙ったマスターの雰囲気で察した。


「分かったわ、男一人。今度知り合いの中性寄りの男一人を貴女の店に独りで向かわせるわ。後は貞操を奪う以外ならなんでもしていいって言うのはどう?」


 いや〜ケイトにここの情報を送っておいて良かったわ〜


「それでいいわよぉ〜私の眼はぁ〜それが分かるのぉ〜」


「つまり魔眼ってことね……あ、これ美味しい」


「ウフフッ、そう言うことよぉ」


 お酒の味は、甘味があったがほのかにトゲがある炭酸と酸味があって美味しかった。さて、ここで時間を潰して仔蜘蛛を迎える時にケイトと交代だね。

マスターは今後、本編でも登場する予定です。

そして次回の投稿はクリスマスぐらいになると思います。その間はストックを……

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