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14 体が欲しい

今回は短め

 領主が倒れた後、俺は〈人化みたいなもの〉を使い人姿になる。それにしても、肉を切る感覚ってこうなんか楽しいものがある気がする…………


「さて、領主の無力化が出来たし次は国に報告しないとな」


 俺は〈身体強化〉を発動して領主担ぐ。


「あ、でも報告内容をどうしよう。それとキリカはお疲れ様、じゃあ領主様の家に運ぼうか」


「……は、はい。そうですね」


 ん?少し反応が遅かった気が………血に酔ったのかな?いやそれは無いか。


「てか、萎れても脂肪は落ちないのか……て事は中性脂肪?不健康だな〜」


 闇討ちだったら有り難く燃料に使えたんだけど……問題を起こした領主だし、闇討ちじゃ無いからな〜


「ハァ……」


 そんな事を考えていたら自然と溜息が出てしまった。


「えっと…もしかして私、使い方が荒かったですか?」


 俺の溜息が聞こえたのかキリカが申し訳なさそうに訊いて来た。いえ、そんなつもりで溜息をついたわけじゃ無いんでそんな悲しそうな顔しないで下さい。マジでもっと弄りたくなるから……


「いや大丈夫だよ。ちょっと考え事をしていただけだから。それよりキリカは大丈夫? 少しボーッとしてたみたいだったけど血の臭いに酔った?」


 俺はそんな衝動を抑えながら訊き返した。


「い、いえ! そんな事は吸血鬼以外ではありません!」


 吸血鬼、確か書物庫で読んだやつにあったな……今も存在しているのか。会ってみたいな〜


「そう、なら良かった。あ、そうだ。キリカは<人造人間ホムンクルス>の作り方を知っている人っているかな?」


 あえて化け物については触れないでおく。そして何故、俺が人造人間ホムンクルスの話題を持ち出したのは最近知ったことに関連がある。


「私……知り合いが少ないので多分いないと思います………お役に立てず申し訳ありません…………」


 ゔ……これは胸が痛い………聞いてて自分もちょっと…………


「いや、問題無いよ。ただ人造人間ホムンクルスみたいな人間の形をした生物みたいなのが有れば俺の存在が不安定から安定するかなって。この体は一応空気中の魔素を直接変換して作られているみたいで、魔法ダメージに弱いんだよね。毒属性は例外だけど」


「人形とかではダメなんですか?」


 キリカは質問してくる。


「質の問題なんだよね〜人形とかでも良いんだけど、それだけだと筋力が低いんだ。だから死体か人造人間ホムンクルスが1番良いかなって」



 そういう話をしているうちにキリカの案内で領主の屋敷に着いた。領主の屋敷があるのは村の近くにあった一つの町の山際だった。領主を担ぎながら町中を歩くわけにはいかないので迂回した為、少し時間がかかってしまった。

 屋敷に着いた時に、門番に領主を預け運んでもらい、俺とキリカは屋敷に上がらせてもらった。如何やら彼らも領主には呆れていたらしい。

 メイドさんに案内されながら屋敷内を観察していると、少し不審なものが目についた。不審と言ってもどちらかと言えば疑問を浮かべる程度の不思議だが、雰囲気的に不審が一番しっくりくるだろう。それは、メイド全員の首には変なデザインのチョーカーが付けられていたのである。俺は気になってキリカに訊いた。


「ねえキリカ、さっきから目に入るメイドさんの首にある物って何?男性の方は付けてないみたいだけど」


 キリカは少し悲しそうな声で答えてくれた。やっぱりこの子、優しい子……ちょっと癒される………


「あれは奴隷首輪と言う魔道具です。装着した人は登録されている人の命令には逆らえないと言う道具です。普通は犯罪奴隷の中で最も凶暴な奴隷に付けるものなのですが……やはり外道ですね………」


 如何やらこの世界では奴隷が存在する事は当たり前のことらしい。前世の世界は本当に平和だな〜


「それは一度着けたら外せないのかな?」


「外せますけど、それは無理だと思いますよ」


 お、外せるんだ。でも、難しいんだろうね。キリカの顔を見て分かる。


「出来るけど無理なんだ。如何して?」


 「それは二種類の方法があるのですが、一つは登録した人が死ぬ事で、もう一つは登録者の魔力の波長を当てる事です。今の状況ですと不可能ですね」


 確かに不可能だ。これから領主は裁かれに行かなければならない。死んだとなると、もし証拠が本人でなければ開けられない秘密の部屋などにあった場合お手上げだ。扉を壊せば良いと思うだろうが、扉にはよく鉄板ネタとして物理や魔法によるダメージを無効化させる術式が組み込まれているし、偶にだが攻撃した人にダメージが反射してくるのもあるらしい。もう一つの魔力の波長は実際に不可能の域を超えている。魔力の波長は人それぞれである為本当に諦めるしかない。


「うーん……死者蘇生系の魔法が使えれば簡単なんさけどな…………」


 って、そもそも死者蘇生系の魔法って存在するのかな?



 ―応接室―


「………」


「………」


「「………」」


 暇だ。ものすっごく暇だ。メイドさんに応接室に案内され、待機してから小一時間。俺とキリカだけが部屋に残されていたままだった。

 誰も来ない…………何をしているのだろうか……



 そこからさらに小一時間。キリカは俺の隣で寝てしまった。状態的にキリカが俺に寄り掛かっている感じ。

 それもしても遅い……アルガンスでも探しているのかな?確かアルガンスは領主の一人息子だし代理人になるだろう。普通は自室とかにいると思うけど居ないのかな?


「…………まだ来ないのか……」


 来ないのか……じゃあ暇潰しにまだ調べてなかったことを調べるか。

誕生日とかが近づいてくると歳を感じるのは自分だけなのだろうか…………

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