【第4閑】 私説TS論「女の子神話~憧憬を仮託された世界~」 PARTⅠ
今回はTS論です。但し内容に偏りのある超個人的なTS論となっています。
あと苦手な方はブラバして下さい。
えっ?「東洋竜編」はどうしたのかって? 気が変わって唐突にTS論を書きたくなったんです~
「東洋竜編」はまたそのうち……ま、どーせこんな底辺エッセイなんか誰も読んでいませんし、
細かい事は気にしない気にしない(自虐)
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」――フリードリヒ・ニーチェ
『TS』
――一それは好事家らに熱烈に愛される、非常に甘美で魅惑的で危険な深淵である。
『TS(或いはTSFとも)』とは、トランスセクシャル――創作上における性転換のこと。
ある日突然、肉体が異性に変わってしまった難儀な境遇の主人公の悲喜交々をメインテーマとして扱ったジャンル――それが『TS』です。
また広義の解釈では「男→女」「女→男」のどちらの意味でも適用される言葉ですが、ジャンル的には女体化が主流である為、単にTSと言う場合はこちらの意味で語られるのが一般的かと思われます。また本稿でもそちらを前提にして話を進めます。
そんな訳で今回のエッセイでは、そんな少数派が支持するTSをテーマにして書きますので、TSに嫌悪・忌避感を持っている方は今のうちにブラバして下さい。
このエッセイはTS愛好家、或いは理解ある方たちが読む事を前提に書いています。
TSにはちょっと興味あるけどよく分からない、そもそもTSとは何か? その魅力とは? といった疑問を持たれた方がおられるようであれば、個別にニコニコ大百科の「TSF」の項目をお読み頂きたい。TSと言うジャンルについて分かり易くよくまとめられているので初心者にも理解して頂けるかと思う(TSというフェティシズムを許容出来るかどうかは個々人の問題ですが)。
このジャンルは先述した通り、ネタとしては際物に近いモノである故に非常にニッチ(同じ少数派でも「百合」よりもニッチです)なジャンルである事は、TS愛好家であれば周知の事実です。
しかもTSがニッチなのは、このジャンルに対する無理解・無関心の層よりも、大多数の層の人たちに嫌悪・忌避感を抱かれている事が不人気に繋がっている訳でして…・・・さらにジャンル的にニッチなTSの世界にあってさえ、TS愛好家の間でもTSに求めるモノや度合いが異なっています。
生々しくてディープであればディープであるほど良いと考える業深き者たちもいれば…・・・
あんまりディープ過ぎてしまうのもちょっと引くわー、と言うバランス重視派……
♂→♀×♀のカップリングできゃっきゃうふふな擬似百合の世界を、一向堪能したい派……
「らんま1/2」のような可逆的変身くらいでOKと言う考えのライトな層……
極めつけは見た目の性別が変わっているだけでもう十分じゃね? 鬱々とした内面描写など不要だと言うファッションTS派…
と考え方や好み、TSのツボは千差万別です。
因みに筆者もこんなエッセイを書くくらいですからTSは大好物であり、業深き者の一人であると自認しています(笑)
なおディープな愛好家が求めるTSとは――
様々な生理的戸惑いを抱いて過ごす新たな日常、割り切れない性に対する葛藤、肉体の本能に翻弄される精神的苦悩、段々と女性寄りになっていく思考と心理、女性化への覚悟と開き直りと精神の女性的成長、そして恋愛も♂→♀×♂をガチで最後まで描いてこそホンモノだ――
……といった感じで、主人公の心の機微と振る舞いを微に入り細に入りの描写、生々しく赤裸々に描いていればいるほど良いと考えてしまう為、下手したら作者と読者の品位を疑われ、一歩間違えれば単なるゲスの極致となってしまう……これこそが業深きTS愛好家が求めてやまないTSの深き物語なのです。
などと自信満々に書きましたが、このディープ派としての見解はあくまで筆者個人の拘りとして書いただけであり、さらに先述した分類も筆者の主観で書いただけに過ぎません。なので他の重篤なTS愛好家及び、ライト派の皆さんも自分と同じ見解かどうかは分かりません……って言うか異論も大いにあると思われます(汗)
但し自分もディープな内容以外のモノは認めないと言う程には意固地ではなく、ライトなものであっても面白いと感じれば読むんですけどね……
とは言えTSジャンルにおいて、内容の濃度に関係なくハッキリしている事が一つだけあります。
ズバリ、女体化した主人公が最終的に「男の身体に戻る」と言うオチは悪手であり、「安易にやってはいけない結末」(納得出来る展開であれば話は別)であり、それをやった作者は単なる「作者の逃げ」に過ぎないし、そんなツマンない結末にするくらいなら「最初からTSを書こうなんて思うなよ!」と自分は大にして主張したい。
正しいTS物語の結末は、基本的には「女の身体を受け入れ、男と結ばれる」か、「女の身体を受け入れ、女として同性を愛する(つまり百合エンド)」の二つの選択以外の結末は有り得ない、と言っても過言ではありません。
とゆーコトで今更ではありますが、本稿ではそんな尖っていて偏った思考の筆者が書いている為、極端な方向でのTS論となっていますので悪しからず。もっとライトなTS論のエッセイをご所望の方は、他の方が書かれたエッセイを読まれる事を薦めます。
あと本稿はあくまでTS論を展開している為、「男の娘」や「女装モノ」は対象外となっていると言う事をお断りしておきます。
さて長ったらしい能書きはこれくらいにして、次回からがようやく本題となります。
いきなりですがTS愛好家の皆さんは、TSのどんなところに魅力を感じていますか? そして好きになったキッカケは覚えておられるでしょうか?
筆者は最近TS熱が再燃している事もあって、そもそも自分がTSの魅力に目覚めたキッカケってなんだったっけ? と考え込んでしまったのが今回のエッセイを書く事になったキッカケでして……原点回帰・温故知新と言いますか、自身のTS好きの原点を思い巡らす事で、何か新たな発見を見い出せるのではないか? と言う考えの元、今回は筆者の個人的な自分語りを述べさせて頂こうと思う次第なのです。
しかも自慢するような事でも無いのですが、自身のTS愛好歴も我ながら驚く程に年季が入っているんですよね……そんな訳で? 次回【PARTⅡ】からは個人史な自分語りの話となります。少々長くて退屈かも知れませんが、宜しければ引き続きお付き合い下さい。
かつて筆者は、自身のTS観に多大な影響を与えるキッカケになった一つの本に出会いました。
――それが新井素子・著「二分割幽霊綺譚」と言う小説でした……
【PARTⅡにつづく】
ふう……ここまでの時点で2600文字。当初は全2話+オマケ1話の予定でしたが、書けども書けども終わらず、次から次へと書きたい事が増えていってしまい、長くなる一方……
一応全4話になる予定ですが、この後書きを書いている時点で3話目を執筆中だったりします(汗)
PARTⅡは本日13時に予約済みです。