表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/29

【第19閑】 よく分からない横文字でも「ザ」さえ付けておけば、大体は格好良く聞こえるもの(「銀魂」風)

 『惑星カレスの魔女』(原題"The Witches of Karres")という、ジェイムズ・ヘンリー・シュミッツ(James Henry Schmitz)作のSF小説がある。

 原著は1966年に発表され、国内では1987年に翻訳版が出版されたこの作品は、その筋(?)ではかなり有名だ。何故なら翻訳版のカバーイラストを手掛けたのが、当時まだ国民的知名度を得る前だったアニメ監督・宮崎駿だったからだ。

 この作品は主人公の男性が、ひょんなことから特殊能力を持つ三姉妹(一四歳・十歳・六歳)の魔女に出会い、宇宙規模のトラブルに巻き込まれる……という物語で、メインヒロインが十歳の次女で押しかけ女房になるなど、今風のライトノベルやアニメのノリを先駆けしたような作品だった訳で――ま、ぶっちゃけた話、ロリコン推薦図書である(笑)


 因みにロリと言うよりペドの、三姉妹の末っ子はとてもユニークな名前のキャラで、その名を『ザ・リーウィット("The Leewit ")』と言い、愛称ではなくこれが正式名称らしい。

 えっ!? 個人名に定冠詞? 人名にTHEを付けるっておかしくない?……と思われる方も多いと予想されますが、作中でも主人公がちゃんと突っ込んでいましたので、ご安心を。

 余談ですがこの名前は面白いので、筆者はいつか自作で使いたいと考えています。 

 

 ……ってことで、かなり強引な前振りとなりましたが、今回は定冠詞"THE"と冠詞"a/an"の話である。



 さて早速ですが、この冠詞"a/an"と定冠詞"The"の違いは前者は「特定されないもの」で、後者は「誰でも知っていて特定されているもの」で使い分けられているのだそうです。

 例えば「特定されないもの」とは即ち「不特定多数」のことで、"a Pen"や"a Ball"みたいな身近によくあるものに使われる。

 一方「特定されているもの」は、"The Sky"や"The Sea"や"The U.S.A"(これは例外)みたいな感じになります。

 などとこんな偉そうな説明をしておいてアレなのですが、筆者は学生時代の英語の成績は赤点ギリギリだった程度の英語力しかないので、"a/an"と"The"の冠詞の違いは自分でもよく分かっていません(汗)


 とは言え英語オンチなのは、筆者に限らず日本人にはまだまだ多いらしく、"a/an"と"The"の冠詞の使いどころの違いがイマイチ理解できず、冠詞論争があるのだそうな。なお英語圏の人間は、これを「無意識の内に感覚的に使い分けている」らしい。


 

 この"a/an"の使いどころの違いは、"a"は単語の冒頭の発音が子音の時に、"an"は単語の冒頭の発音が母音(AIUEO)の時に変化するという法則となっています。 

 一方、"The"の場合も"a/an"と同様に、単語の冒頭の発音が子音の時には『ザ』、単語の冒頭の発音が母音の時には『ジ』と発音が変化します。


 "THE"が『ジ』になる例――"The Animation"は「ジ・アニメーション」、"The Origin"は「ジ・オリジン」など。

 なお冒頭が母音文字であっても、「"one"(ワン)」のように「オ」と母音で発音しないケースでは、「ザ・ワン」となりまして――これはつまり、「アンパンマン」は「ジ・アンパンマン」、「ワンパンマン」は「ザ・ワンパンマン」となる訳ですね。


 ついでに"an"に該当する例――「アンインストール」は"an Uninstall"、「アンデッド」は"an Undead"となる訳で……ま、当たり前の話なのですが(笑)

 中学校で習ったと思われる初級英語ですし、現役の学生にとってはこれらの知識は常識なのでしょうけども。

 因みに"a Book"と言った場合、不特定多数の中の一冊という意味になりますが、これが"The Book"となるとジョジョの小説……じゃなくて「聖書」を意味するのだとか。



 こんな中学生の学習レベルの英語なのに、不思議なことに日本人はなんにでも『ザ』と付けるのが好きらしい。

 この説を裏付ける誤用の有名な代表例として、ウルトラシリーズのテレビアニメ「ザ☆ウルトラマン」(1979年)がある(なお先行作に、内山まもる・作「ザ・ウルトラマン」という同名のアニメ版とは全く無関係の漫画があったが、本項では説明は割愛しておく)。


 これまでした説明でもお分かりのように、本来であればこれは「ジ☆ウルトラマン」と発音するのが正しい。

 だがみんな大好きWikipediaによると、『本来、接頭語の「ザ」(英語のthe)は「ウ」などの母音の前では「ジ」と発音するが、放送当時の日本ではそのことが一般的ではなかったため、本作でも「ザ」と表記されている』などと書かれていますが……これ出典がない情報なので信用出来ませんし、しかも"The"は「接頭語」じゃなくて「定冠詞」ですし!


 『「ジ」と発音するが、放送当時の日本ではそのことが一般的ではなかった』という話は確かに分からないでもありませんが、「"The End"(ジ・エンド)」なんかは昔からメジャーだったのでは?

 そもそもの話、「ジ☆ウルトラマン」が駄目だと言うならば、最初からタイトルに"The"なんか付けなければ良かっただけなんだし。


 因みにこのアニメが放送されていた当時、筆者は幼児だったので特に疑問に感じなかった訳ですが……その当時から、一回り上の世代の間でも「これ、おかしいだろ?」と突っ込まれていたらしい。

 このような誤用例は他にもありまして――ガンプラのパチモンブランドとして名を馳せた「ザ・アニメージ」……これも正しくは「ジ・アニメージ」である。これも当時から一回り上の世代の間で(以下略)。


 逆に世間的にこういった誤用が蔓延した結果(と思われる)の悪例もありまして――かつて「ジ・アニメ」(近代映画社・刊)というアニメ雑誌がありましたが、これは正しい表記なのにも関わらず、「なんで『ザ・アニメ』じゃないの?」なんていう阿呆な声をチラホラと見聞きした記憶があります。



 これは当時まだ世間的に英語力が拙かった時代であり、今は全然そんなことない! と思いたいところだったのですが……まさかと思ってテキトーな単語で色々とググってみたところ――

 "The Attraction"、"The Ultimate"、"The Island"、"The Eleven"、"The Alice"、"The Eight"、"The Ace"……お分かりのとおり、これらの単語の"The"は全て『ジ』と発音するのが正解なのだけど、おそろしいことにここで挙げた単語に、商用含め公式名称として『ザ・〇〇』と表記しているモノがなんと多いことか……。


 一例として、韓国に「"The Ace Hotel"(디에이스 호텔)」というホテルがあるが……これはハングルではちゃんと「ジ・エースホテル」と発音しているのにも関わらず、日本語のサイトでは「ザ・エースホテル」と表記されている始末。


 他にも"Celine: Through the Eyes of the World"というドキュメント映画は、正式な読みは「スルー・ジ・アイズ・オブ・ザ・ワールド」なのだが、同時に「スルー・ザ・アイズ・オブ・ザ・ワールド」と記述されている通販サイトもあったりして……。


 最近だと「アイドルマスター(THE IDOLM@STER)」の英題を、「ザ・アイドルマスター」と発音している人がいるとかいないとか。


 いい年した大人たちでさえ未だにこんな英語オンチっぷりなのを見ると、これからの国際社会で生きて行けるのかと、日本の将来がとても心配になります(二〇世紀的思考)。

 「日本〇〇ドナルド」のように日本公式名としている"MacDonald"を、正しい発音で言えだなんて言いませんし筆者もする気はない。だけどせめてこの『ザ』と『ジ』程度の使い分けくらいは正しくしてくれよ、と思う次第なのです。



 最後に――定冠詞"THE"と冠詞"a/an"の、このどちらも付かない無冠詞とされる単語というモノもあります。

 それに該当するのが企業名や人名、"Winter"などの季節や、"Dinner"などの食事などの大きな括りで且つ、抽象的なものに対して使われるらしいけど、筆者にはイマイチ分かりません(汗)


 誰も見たことが無い特定のものである"Heaven"と"Hell"も無冠詞だそうだが、一方で"The heavens"という言い方はアリの模様。これも分からない……。

 とは言え何事にも例外はあるようで……先日「外国人を日本に招待する番組」で、アメリカ人が日本のステーキチェーン店のステーキを食べて発した言葉が――"This is a Heaven"(意訳「ここは天国です」)と言うもので。

 これは「一個人のもの」であること示す言い回しって感じなのでしょうか。



 ……以上。なんとも中途半端な感じで申し訳ありませんが、今回はこれで終わりです。

 何度も言うように筆者の英語の成績は赤点ギリギリのレベルで、学校でしか習っていない英語オンチの「ザ・アホ」なので、今回書かれたことはくれぐれも鵜呑みにしないように……っていうか、間違っている箇所があったら「お母さんのように」優しくご指摘をお願いします。



 蛇足――冒頭で述べた『惑星カレスの魔女』は、いかにもまだ続きそうなその先が気になるオチで終わったものの、本作が翻訳出版された時には、残念ながら作者は既に亡くなっていた為、続編はありません。

 ですが調べてみたところ、「風と共に去りぬ」の続編「スカーレット」のように有志たる他者の手で、近年なってから続編が書かれていたことが判明……でも残念ながら翻訳されていません。

 ハヤカワさん、創元さん……オナシャス!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ