所詮、私もガラクタなもんで
ごろん、ごろん、必要最低限の物しかない部屋は、酷く殺風景で広く感じる。
ぼへー、とアホみたいな顔をして天井を見上げている私は、別段、何かをするわけでもなく、ただただ時間を食い潰しているだけ。
ごろん、右に転がる。
ごろんごろん、左に転がる。
暇で暇で仕方ないような気がするけれど、何かしたいとも思えない。
そもそも、何かをしようという気にすらなれない。
軽い溜息を吐き出して視線を自分の腕に向ければ、ジワリと滲んだ赤色。
躊躇の跡は消える気配を見せずに、薄まることを知らずに留まり続ける。
忘れるな、忘れるな。
塞がりかけのそれに舌を這わせて犬歯を立てる。
ぶつり、口内に広がった鉄を舌の上で転がした。
不味い不味い、生きている証。
忘れられない、忘れられない。
ジュルジュル音を立ててそれを飲みながら、部屋の隅に押しやられたゴミ袋を見た。
ぎゅうぎゅうに詰め込まれたガラクタ達が、ゴミの日を待っている。
それがなくなれば、この部屋はもっともっと殺風景で広く感じられるようになるだろう。
二重三重にされたゴミ袋の中、セピア色の四角い紙の中、幼い私が笑っている。
置いてきた全てのもの。
何も残ってないや――赤く染まった唇で言葉を吐き出して、零れた塩っぱい液体を飲み干した。