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変わり者のB君

作者: 鯣 肴

Aさんが見たのは一体なんだったのでしょうか。

 高校での午前中の出来事。美術の授業中にそれは起こった。今日は鉛筆で書く静物画の授業だった。


「えっ……。」


 A子は視界に入った風景に目を疑った。隣の席のB君。彼は変人として校内でも有名だ。そんな彼の奇行の中でもびっくりするものをA子は見たのだ。彼はなんと、書き損じた部分を、消しゴムで消すと思いきや、何かとんでもない別のものを使っていたのだ。


 それは……食パンだった。彼女の目に間違いがなければ……どうみても食パンだった。彼の手にそれは握られていた。

『これは一体……。B君は一体何を考えているのかしら。それ食パンよ、食べるものよ、消しゴムじゃないよ……』と、A子は心の中で大きく動揺していた。そんな時、美術教諭のC先生が彼の傍を通りかかった。


 C先生は、「B君、君分かっているやんか!」と、何やら感心しつつ、そうB君に話し掛け、肩を叩いた。彼はニッコリしていた。A子はその光景を見て大きく動揺しつつ、『え、なんでなんで?先生つっこまないの?お前の使っているそれは消しゴムじゃなくて食パンやんけえと…』とA子は心の中で叫んだ。


 美術の時間が終了した後、A子はすかさずB君に話しかけた。


「B君、どうして食パン握って絵描いてたの……」


 A子はそのときのことを思い出しながら少し引きつった様子でB君にそう尋ねた。そう、引き気味に控え気味に尋ねた。するとB君は、「Aさん知らないの、食パンはね、昔から美術の世界では消しゴムとして使われているんだよ。消しゴムならぬ消しパンなんつってねw。」と、すごく喜びながら両手を使った激しい身振りとともにAさんに返した。


「消しパン、っプッ。」

それは見事にAさんの笑いのツボを打ち抜いたのだった。

昔、美術の世界では、紙に描いた間違った鉛筆の線を消す時に最適なものとして、古くなった食パンのを使用していました。紙にダメージを与えることなく消すことができるようです。


今でも、絵を描くときは消しゴムではなく食パンで鉛筆の線を消す人もいるそうです。

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