星屑カスタネット
星屑カスタネット
深夜の深い闇の中 右手と左手を繋いだ 二人が空を見上げる
「今日は綺麗な星空だね」と彼女は星より キラキラした目で彼を見る
手作りした自慢のプラネタリウム 彼女に見せびらかせて鼻を高くしたけど
何光年の歴史が作った 夜空に広がるプラネタリウムには適う筈もない
一緒に見上げた星は 二人を照らすような
舞台照明にも劣らない 綺麗な光だった
「この星は忘れない」と彼女は優しく笑った
忘れる訳が無い 忘れやしない
例えこの星を忘れても 二人はその時を忘れない
突然降り出した雨の中 二人は同じ足音立てて 走り去っていく
「天気予報で言ってたよね?」と彼女は雨宿りの木の下 溜め息混じりに言う
繋いだ手が教えてくれた 震える左手を
試行錯誤する暇も無く 二人は抱き合った
「私は貴方が好き」と彼女は照れて呟いた
答える事が出来ない 答えたいけど
君の目元に雨ではない 雫が確かに光ったから
返事を返すよ 彼もずっと ずっと
返事を返そう 彼はずっと ずっと
見詰めた瞳がキラキラ光って 星よりの眩しいさを
何光年も離れていても 近くにある想い
「僕は君を忘れない」と彼が小さく呟いた
忘れる事は無い 忘れやしない
だから思い出じゃなくてこの時を 「イマ」を二人は過ごした
雨も止んだ新しい朝 繋いだ右手と左手 離れようとしない
二つで一つのモノの様に 最初っから繋いであるのが 当たり前のよう