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62 大波小波に、揺蕩【たゆた】いて

 《ストランディア王国派遣軍本陣 ルディア幕営》


 思案にくれていたマクスル・バートンは、いつまでも思案に暮れていることは出来ないと意を決すると、己の前で同じく思案に暮れるストランディア王国王女ルディア・ストランディアに現在の状況を簡略に説明していく。

 その際に人払いを願い出て、護衛の騎士は不承不承ではあるがルディアの命に従い、幕営の外に待機することになった。



「――というわけで、ルディア姫殿下の御母上たる先の王妃様は救出され、我が隠れ里にて逗留されておられます。

 殿下の進むべき道を考える際の懸念事項の一つは無くなり、取れる選択肢がほんの少し広がりました。

 また殿下が採る策を思案する際に殿下の一助と為れればと愚考し、殿下の麾下へと自分こと、このマクスル・バートンを推挙いたしたく存じます。是非にお取り立ていただきたく」


 そして証の品として懐より、王妃より託された耳飾りと指輪が包まれた手巾【しゅきん】を取り出し、ルディアの前に静かに置く。


「……」


「殿下。少々砕けた物言いをお許しください」

 ルディアは手に取った手巾と装身具を見やりながら、手振りで続きを促す。


「恐れ入ります、殿下。

 では……。

 殿下、正直……俺も手詰まりなんですよ。まぁ、お先真っ暗と言ったところでして……。

 そりゃ、殿下を窮地に追い込んでうまく仕留めれば栄誉栄達は約束されてはいますがね……。

 それだって実際のところは怪しいもんです。

 裏事情に通じた平民なんざ、それこそ嵐に翻弄される枯れ葉の如しってやつです。

 そんな枯れ葉が行きつく先は、大体が決まっています。

 いや、違いますね。どこかに行き着くことすら、出来はしないでしょう。

 おれだってそんな結末は望んじゃいない。

 殿下だって不愉快・不可解・不適切な結末は望んではおられないでしょう?

 どうです、殿下。ここは一つ手詰まり同士で手を組みませんか?」


「それは、ただの弱者の集まりだろう」

 未だ視線は手元の装身具から離さず、呟くように言う。


「ええ、弱者が集ってもそれは唯の弱者の集まり、何も無い者同士が寄り集まったとしても、所詮は烏合の衆です。

 だが集う者同士がなにかに秀でて共に補完し合うというなら、それはそれで良い策ではあるのです。

 もっとも今の状況を見るに殿下も名と兵はあれど、手詰まり。

 俺も一片の才と野心はあれど、手詰まり。

 これでは、手詰まり同士が組んだところで……先ほど仰られた弱者の集まり、烏合の衆となりましょう。

 ですが、ここで新たな要因が出てきたということです。

 この要因は大きい波紋を呼び、やがては大波【ビッグウェーブ】になりましょう。

 そして、全てを飲み込み揺り動かす。波が来るのですよ、それも大きい波が。

 そして、この大波【ビッグウェーブ】に乗るしかない道は無いのです。

 では『その大波にいつ乗るのか?』という問いもありましょうが、 それはまさに……『今でしょッ!』ということです」


「話が見えないな」


「王妃様が救出されたことで、考慮すべき事案が増えて僭王側にも綻びが出始めるでしょう。この綻びを繕う暇をあたえず、殿下が動くのです」


「具体的に話せ」


 おっと?! 少しばかりその声調に『力』が宿っている。

「まずは先の王妃様をこの幕営へとお連れします。幸いに時間も掛かりませんので」


「うむ? おかしいではないか? 其の方の生地である里に逗留しておられるのであろう?」

 ここで、ようやく視線を上げて俺に見返して応えてきた。

 そしてその眼には怜悧な光が宿っていた。


 やはりここが急所といったところか。

 まぁ、生母でもある先王妃の身柄とその安否次第で、動きようが変わるからな。

 だが言い換えれば、またもや僭王がその身柄を確保でもしたら、振り出し状態に戻ってしまう。

 それどころか、振り出しに戻ってしまったとしたら、好機は二度と巡っては来ないだろう。それでは、意味がないことになってしまう。

 狂王ではあるが、それなりに頭の回転も速いと観た。

 逆に言えば先王妃の身柄を押さえれば、ルディア殿下は自由に動けるのだろう。


「そうではあるのですが、まぁ……そこはさして時間は掛からないとしか申し様がないのです」


「そなたの里からでは、二十日はかかる旅程であろう。だがあの僭王からは、すぐにでもグランへと進発せよとのありがたいお達しだ。戦仕度【いくさじたく】を口実に引き延ばせても十日が限界だ。それ以上となると叛心を疑われかねん」


「準備ができ次第、出来得る限り速く進発しましょう。

 大波は早々幾度も来るものではありません。それと王妃様ですが、先ほど申しました通り、ここにお連れするのには時間は掛かりません。おそらくは一日も掛からないかと」


 僭王からみれば、王都から拐【かどわ】かされた先の王妃が、遥か遠方の前線に布陣するルディアの元にいるなど、想定の埒外【らちがい】だろう。

 ならば、この状況は優位に動くはずだ。そんな優位をただ漫然と浪費していてはならない。

 補給とて此度で切れているのだ。もはや猶予はない。


「一日も掛からない? どういうことだ、説明せよ」


 目付きがより一層鋭くなり、口調にも明らかな覇気が伴ってくる。

 そうでなくてはな。

 俺とて、この安くはない命を賭けるのだ。

 惰弱では、情勢は変えられない。

 ましてや、未だ我らは至弱のまま。

 

 鞍馬殿が言う『至弱をもって至強にあたる』には、情勢が動いていなければならないという。

 確かに固定化した情勢では、至弱は動くことも叶わずに至強に押し潰されるだけだろう。

 そんな情勢を動かすには、あの方々の御力と助力が必須ッ!

 口惜しいが、俺にはその情勢を動かす知恵も武勇もない。

 そんな風に悔しがっていた際に、天狗の御二方の言葉に救われた。

 ――「マクスル・バートン殿。貴殿は『無知の知』を識る者。それは軍師の才、ゆめゆめ曇らせるな」――と……。

 ふふ、まったく頭も力も及ばない……と実感したものだ。


「その前に殿下は、獣人等にどのような感覚をお持ちででしょうか? 喩えば、隔意なり忌避感をお持ちでしょうか?」


「其方の第三の目の事も含めて、特にこれと言った隔意や忌避感などは持知合わせてはいないが?」


「それを聞いて安心いたしました。獣人等を厭うお気持ちがおありならば、不肖このマクスル・バートン、殿下を早速見限る所存でございました」


「ふ、面白い奴だな。我が麾下へと取り立てを願ったその口で、早速見限る所存でしたとはな……」


「王妃様をお救い致した方々の助力を願わねば、早晩、殿下の目論見も我らの命も潰えましょう。それほどまでに今は窮地に陥っているのです。それと見限る所存でしたと公然と述べることが、逆に忠義の証とお受け取り下さい」


「まあ、いいだろう。その言を受け入れる。それで母上をお救いした義人達が獣人という事か。それほどの豪の者なのか? たとえ母を担いで走るにしても、一日も掛からないというのは、さすがに腑に落ちないがな」


「あ~……、担いで走ると言いますか……、正確には飛んでくるといいましょうか……」


「なに? 飛んでくる? ハーピーなのか、その獣人とやらは?」


「いえ、天狗……ですね」


「天狗? とは?」


「未知の獣人? といいましょうか? 鳥人といいますか、人の範疇を越えた超人といいますか……」


「人の範疇を越えた……だと? なんだそれは? 妖魔や神人の類か?」


「殿下は妖魔や神人をご存じでありましょうか?」


「いや。()にして、そのような者達との知己は得ていないが」


「御呼びしても構わないでしょうか?」


「なに? この陣営に参っているのか?!」


「いえ。ただ、ここら一帯を見て回っているとのことですので、この笛でお呼びすれば来ていただけるものかと」


「母上のこともある。是非に、お会いしたい!」


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 《ストランディア王国王都市街にある高級宿の一室》


 ゥぐ~~……。

 だ、ダメだ……。思わず嘆息してしまう。


 理解しがたい現状を整理し、何とか理解するという難題を解き明かす為に、まずは事の起こりに思いを馳せていくが、想像を巡らせる度に己の無力感に打ち拉がれて途方に暮れていた。


 た、大変な事になってしまった……。

 私は、頭を抱えて現在の状況に苦慮していた。


 ・

 ・

 ・


 私は、このストランディア王国に王妃として嫁ぐ姫様付の侍女として国元より同行し、この地での姫様の身の回りのお世話などを仰せつかっておりました。

 まぁ~……、あくまでも『表向き』には……ですが。


 それでも、あの政変があるまでは王妃様付の侍女として大過なく過ごせており、この地で伴侶候補も見つけて、……それなりに人生を謳歌していたものです。


 だが急転直下、政変後は王妃様と引き離された挙句、御役御免【おやくごめん】つまりは解任され、休職扱いとなり城内から追い出されてしまったのです。


 王妃様に連絡を取ろうにも王城内には当然ながら入ることが出来ず、安否を気遣っておりました。

 仲の良かった王城仕えの他の侍女に金子を握らせ【きんすをにぎらせる/賄賂を贈る】て頼み込み、内部の様子を聞き出せば、王妃様は政変でお心を痛められて体調が優れずに、療養中だという。


 はぁァァアア?! 療養中? 隔離・幽閉の間違いでしょうが!


 あの政変後、すぐに規定の手続きで国元に連絡を取り、一報を受けた国元が公式・非公式の手段で王妃様との接触を図ろうとしている。

 更には急遽来訪した国元の特使は、国境に派兵しての示威行為どころか開戦まで持ち出して、自国の姫の安全確認を求めていた。

 その甲斐があってか、王妃様は御存命であり、数カ月に一回ほど安否の確認が成される事で合意したらしい。

 当然ながら、私の所にも国元から諜報員が来訪し、事情聴取をされていく。


 ただ国元としては、拗れて外交問題にはしたくないようで、生命及び身体の保証を得られた現状では、此れ以上の手が打ちようがないと考えているようだった。

 あまりに強硬に押し込むと、逆に危害が加えられる恐れもある。

 またストランディア国民はいまだ状況が掴めずにいるので、強硬な対応を行う国元に対して印象が悪化し、交易等が停滞することを危惧し始めていた。


 ……手詰まりだ。たかが侍女では、もはや手の打ちようがない。



 そんな悶々とした心情を抱え、王城近くの宿に逗留していた。

(当然ながら、王城近くという好立地は高級宿泊施設の証。経費は国元に請求だ!)


 因みに連泊どころか長期逗留で、宿泊費用(五日ごとの会計)だけでも、すでに大きめの家を購入できる額には達していた。

 定期連絡で来る諜報員は渋面でいたが、『突発的に状況に変化が生まれた際に王城から離れた場所にいたら、すぐに駆け付けられないでしょう?』と説得する。


 ならば王城近くの家を買えと詰め寄られたが、そんな好立地の戸建てが、おいそれと出るはずもない。だいたいそんな好立地の戸建てなど邸宅とも言えそうな広さと間取りだ。『そんな高級住宅に魅力的な女の身一つでいること自体、相当どころか大いにおかしいでしょう?』と論駁【ろんばく】していく。

 高級宿に、女子の身一つで長逗留し続けるのも大いにおかしいが、そこには敢えて言及しない。


 そんな高級宿でぐっすりと就寝中、夜半にも関わらず突如大音響が響き渡った。

 当然ながら、私も叩き起こされたのです。


(え? なぜにぐっすりと就寝していられるのか? 何を言っているのですか? 状況変化はいつも突然にやってくるのですよ、此度の様に……。そんな突如訪れる状況変化に適切に対応するのに、睡眠不足で朦朧として判断を誤ることなど許されざる愚行というもの。当然ながら体調管理も万全なのです……が、最近お腹周りが少しばかり……。フッ、さすがは高級宿の御飯。この私がかくも容易く肥え……罠にかかってしまうとは……、クッ、なんという恐るべき罠……)


 そんな満ち足りた独り身を、寂しくも暖かく包む寝具を撥ね除けて、簡単に身支度を整えて外に跳び出ていく。

 そして王城を見やれば、城壁の高さを越えて土煙が舞っているのが見えたのです。


 ―― ウぉッ!? い、一体何がどうしてこうなった?! ――


 淑女にあるまじき声を内心で挙げてしまった。

 街衆達も同じく叩き起こされたのか、銘々に集まり始めて、それに伴い喧騒が満ちていく。

 商魂逞しい商店等は、急遽開店して軽食や飲料を提供し始めた。


 喧騒が喧騒を呼び、王城前が騒然とし始めていく。

 そんな時、満月を背に月光で包まれた者達を街衆の誰かが視線に捉え、騒ぎが大きくなり始めた。


 その騒ぎを聞きつけて私も視線を流すが、そこに映し出された光景に度肝を抜かれ、思考が停止してしまう。月光で包まれた者達の腕に抱かれているのは先の王妃様だったのです。


「……な?!(え?! ひ、姫様!?)」

「おい……。あれって王妃様……なんじゃないか?!」


 誰かが漏らした呟きが小さな波紋となって広がり、その波紋は次々と連なり大きなうねりを成していった。

 そして月光で包まれた者達の一人が、そんな鳴動を振り払うかの如くその腕を振るうや、城壁上の勇敢な兵が城壁ごと切り刻まれた。

 満月を背に月光で包まれた者達を注視していたが故に、そんな情景を見せつけられた街衆の悲鳴と絶叫がそこかしこで木霊し始めた。


 そんな騒ぎを背に受けながら悠然と飛び去って行く者達を、ただ漫然と見送るしかない自分が歯がゆい。


 一夜明けても、王城周辺は猶も騒然となっていた。

 警備の兵や衛士が混迷とした場を収めようと躍起になっていたが、逆に街衆に詰め寄られて質問攻めにあっている。


 私も嘗【かつ】ての誼【よしみ】を頼りに、来る日も来る日も文字通り王都中を歩き回り、情報収集に励みました。

 この情報収集活動で、やや弛【たる】んだ身も緩【ゆる】んだ心も、引き締まっていくのを実感します。


 そしてそんな折に、ある報せを小耳に挟んだのです。


 『元伴侶候補』が、あの日の夜に戦死したというのです。

 特段これといった感慨は湧きませんでした。

 フッ、所詮は過去の男です。

 私が御役御免で解任され休職になった際に、別れた男でした。

 どうもこの男は『私』を見ていた訳ではなく『王妃付の侍女』という職を見ていたようで休職になるや、男の方から離れていったのです。


「ふふ。これが若さゆえの……過ち……か」などと、自嘲さえしていたものです。

 接吻【せっぷん/くちづけ・キス・チュ~】までしなかったのが、不幸中の幸いでした。

 もっとも不覚にも手を繋いでしまいましたが、今にして思えば不徳の至りでありましょう。慙愧の念に絶えず【ざんきのねんにたえず/行いに恥じ入り残念に思う気持ちが続いている】、遺憾の意を表せざるを得ない。

 全くもって時間の無駄でしたね……。

 まあ、そんな事はどうでも良い報せなのです。

 ですが、どうでも良くはない、看過できない重大な報せもまた、小耳に挟んだのです。


 その内容と云えば、なんと――『天の御使いのお思し召し【おぼしめし/高位者の考え・意向】により、王妃様は召し出され【めしだされ/呼び寄せられ】た』――というものです。


 最初に聞いたときの正直な感想としては、正に――『ンん???』――と云うものでした。

 疑念や疑惑を伴った懐疑ではなく、頭が言葉の意味を受け入れないのです。


 確かに姫様が連れ去られた事象は、私も目撃しており事実でしょう。

 その事は既に国元にも報告しています。

 ですが、それが何故に『天の御使い』などという不可解かつ強力な単語と結びつくのかが、全く理解できません。


 そして次に沸き起こった考えといえば、「これは今は小さい波だが、やがては全てを飲み込む大波乱になる」というものでした。


 これは『すぐにでも、国元に報せを出さなければッ!』との思いで宿の一室に舞い戻り、どのような文面にすれば良いのかと思案に暮れていく。


 そして、文面を推敲【すいこう/文章を良くするために幾度も練り直す事】することに丸一日を費やし書き上げる。


 ――『時間をかけ過ぎなのでは?』――との御指摘もある事でしょう……。

 それは確かに認めます。


 ですが……下手な文面を書いて報告しようものなら、その趣旨を曲解されるならまだしも、あまりの重責に精神的疲労を来して幻覚・幻聴に苛【さいな】まれている、もしくは重圧から逃れようと妄想に耽溺【たんでき】していると勘繰られる恐れがあるのです。


 何せ文章を要約すれば――『天の御使いのお思し召しにより、王妃様は召し出された』――となるのですよッ!

 この文面を書いている私自身でさえ理解できないのですから、受け取った国元の担当者も理解できないでしょう。

 それどころか文面の内容と共に、やはり私の頭の中身を疑われかねません。

 自分で記した報告を読み返しても、そう思ってしまう自分がいるのです……。


 もし私が国元の担当者であり、そんな急報を受け取ったならば……、まぁ~、最初の印象は『ンん???』でしょう。

 次いで考える事と云えば、私の頭の中身を疑う事でしょう……。


 そんな報告を送ろうものなら、それこそ国元からも、御役御免で休職扱いどころか『退職扱い』にされそうなのですから……、文面の推敲に時間がかかった事は御理解いただきたいと思う次第。

 附言しますと『暗部』や『影』に属する者が『退職扱い』になるという事は、端的に言って始末される恐れがあるという事です。

 私は『始末』され、国元の担当者は『連絡員の後任者探し』で難儀する事になる。

 これでは、誰にとっても愉快で幸せな結末になる事は、まぁ~……ほぼ無いと断言できるでしょう。


 職位としての解任【クビ】と現実の首を賭けるのですから、全身全霊を傾けて漸くの事で文面を書き終えました。

 かつてないほどに『我が頭脳は汗をかいた』と言っても過言ではないでしょう。

 確か、このような状態を指して『脳汁が出る』と言うそうですよ。

 高名な学者の方が仰っておりましたが、確かに実感しましたね……。


 極度の疲労感と共に窓辺に『青い花を挿した合図の花瓶』を置いて、報告書の配送手続きを取りつつ連絡を待つ。

 束の間の一時【ひととき】で、これまでの事を振り返ったのです。


 ・

 ・

 ・


 ゥぐ~~……。

 だ、ダメだ……。思わず嘆息してしまう。


 ――理解しがたい現状を整理し、何とか理解するという難題――は、やはり難題だった。私では整理も出来ず、理解も出来ないという歴然にして非情なる解が導かれ、同時に証明されてしまった。

 ――現実は非情である――

 変わる事のない歴然たる事実が、私に圧し掛かり、同じく私を苛んでいく。


 た、大変な事になってしまった……。

 私は、頭を抱えて現在の状況に苦慮していた。

お読み頂きありがとうございました。

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