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第1話:貰い手、早い者勝ち(俺イコールお買い得品だった件)

※作者は茨城県民です。


西日本には4年しか住んでないので、関西弁と言われるなかでの大阪弁とか神戸弁?とかそういうピンポイントな違いがわかりません。


ぶっちゃけ、イントネーションすら適当な地域である茨城にずっと住んでいるので、“関西っぽい言葉遣いだよね?”としか認識できない有り様!


雨と飴や、橋・箸・端の区別が判りませんから!



仕様につき、

“エセ関西弁”を許せる人は、どうぞよろしくお願いします。

我慢ならない方は…バックでお願いします。

『なーなー、ニイさん生きてるん?』



生きている。さっき意識が戻ったからな。

ダルさでまったく動けてはいないが。



『なーなー、ニイさん、生きてるん?』



口を動かすのが億劫すぎて、今は沈黙を貫きたい。

ぜひとも貫きたい。



しかし何か硬いもので、頭をゴスゴスとつつかれている現状、イライラして黙っちゃいられない。切実にそう思う。



『なーなー、ニイ…』


「生きとるわ! …動くのが億劫なだけだ」



イラッとし過ぎて思わず怒鳴ったが、血圧が急に上がったせいか、目眩に襲われた。

俺が、ガスの抜けた風船みたいにまたまたグンニョリしはじめると、ほんのりダミ声の声の主は、ちょっと慌てたようだった。



『ニイさん、急に声ェ出したらアカンわ。傷にひびくで?』

「傷?」

『ああ、傷や。背中に…せやなぁ、浅い言うたら浅いモンやけど左肩から背中までバッサリ切れとるから…、とりあえず傷治したるわ。回復魔法、わし、ごっつ下手くそやけど、一緒に歩けるくらいにはなるやろ』

「すまないな。頼めるならありがたいな」

『ええてええて。ほな、いきまっせぇー』



掛け声とともに、猛烈に熱い感覚が背中を襲う。



「あっちい! 厳しい、厳しいって!」

『自分、気張りやぁ。もうちょいや!』

「ヤバい! 焦げる!」


文句を垂れて恐縮だが、ふと思った。


そもそものところよく考えたら、“回復魔法”言ってたよな?

回復魔法、か…。

あの爆発だもんなあ。普通は死んでるよな、うん。


これがいま流行りの“異世界転生”とか“異世界転移”とかいうやつか。

なるほどなるほど。そういうことか。

そういうことなら仕方がない。



「生きてるだけでももうけもの、だよなぁ」


『せやでぇ、儲けモンや。自分、運がいいわ』



“声の主”さんの頑張りで、だいぶ背中が楽になった。途中、カチカチ山やら因幡の白兎やらの映像が頭をよぎったが、声の主さんの声にも余裕が見えてきた。山は越えたのだろう。よかったよかった。


俺はエイヤッ!…と勢いをつけてうつ伏せから仰向けに体位を変えて、気付いてから今まで訊いていなかった、声の主さんの名前を尋ねることにした。



「ところで。あなたの名前、ぜんぜん訊いてませんでしたね、俺」


『うん? わしはアカメっちゅうねん。見てみぃ? わしの眼。赤いやろ? だからアカメや。歳は…これでも23や』



ほれ、と指差した眼の色は、確かに赤い。

しかし、乱雑だが短く切られた髪の色は濃茶色だし肌も良く陽にやけた感じのきつね色だし、アルビノとかではないようだ。

しかし…

ついでに言われた年齢が…。

170センチくらいのやせ形で、高校生くらいの歳かと思った。言い澱んだあたり、やはりコンプレックスなのですね。わかります。



『わしも訊いとこ。よう見ぃひん服装やら髪色やらやけど、自分、名前は何ていうん? 何処からきたん? 黒髪、綺麗やなぁ』



やはり来たか、何処からきたクエスチョン。

明らかに違うしな、服装とか。


アカメ氏の笑顔、眼の光りで色々わかるわ…

大学でよく見たわ…

機微に鈍い俺を鍛えてくれた、“班分け・所属分け”の際に目撃した、クラスメートの心理戦で…。



よし、真実を話す。

話して駄目なら…この世界で生きてく術を教えてもらう。

駄目でも“私の責任とってよね作戦”を敢行させてもらおう。生きるためだ。仕方がないよな? …生きるためだ。




「俺は、個人名が龍一郎、家名が浅木』

『リョイーチロ…、リョーチロゥ… なんや言いにくいわ!』

「ああ、リョウでいいわ。周りからそう呼ばれてたしな。この際、家名のアサギだけでも可、ということで」

『リョウ・アサギ、っちゅうコトやな。了解や』

「そして、歳は…21だ、これでもな」


『あぁ、なんかわかるわぁ。わし、自分のことガキやないかなぁ思うてたわ』


うむ、同志ですよね。

似たり寄ったりの背丈ですもんね。


『うんうん、21な。わしが年上やねんな。わかったわ。…で、リョウ、自分どこに住んどるん?』



さぁ、カミングアウトの時間だ。心に迷いはない、いざ尋常に勝負!

呼び捨てに変わったけど、まぁいいわ!




「えー、ユーラシアって大陸の極東にある、日本って島国です!」


『知らんがな! …リョウ、わしのことおちょくっちょるんちゃうのん?!』


腰につけた剣に手がのびることはなかったが、わかりやすいくらい不機嫌になったアカメ氏。


「いやいやいや! 至って真面目!至って真面目だから!」


とりあえず街まではご一緒させてもらいたいので、必死にアピールした。


『日本? ユーラシア大陸? アカン、わし知らへんわ…。しゃあない、わしの住んどる街までは連れてっちゃるから、あとは…そんときはそんときやな! ほな、行くで?』

「了解」



こうして俺は、アカメと共に街まで連れていってもらえることになった。





◆ ◆ ◆ ◆ ◆





『…で、キミは何処から来たのかな?』


「日本です」


『本当かなぁ? もっとリラックスしていいよ?』





どうしてこうなった。…解せぬ。


憲兵さんに囲まれた部屋の中、どうしたもんか、わかりません。

だって本音トークしてるわけだし…ね?




そのうち上司とおぼしき人が現れて、よくわからない板状の不思議アイテムに手のひらをベッタリつけさせられた。


手のひら認証?

イエス、手のひら認証。



結果、異世界人認定されてスパイ容疑は晴れました。



そして【スキル鑑定】とかいうよくわからん機能で“料理”“家事”“味覚記憶”なんていうものがあることが分かると、アカメが喜んで身元を引き受けてくれた。



『とりあえず、宿賃代わりやと思やええやん! タダやで? タダ!』


「お家を拝見するまでどうだか…。でも助かった。ありがとうアカメ様」


『様て、なんや気味悪い。汚ない家やけど、堪忍な~』







夕方にアカメ宅に着いて、軽い口調の“汚ない”が控えめな表現つまり謙遜でないことを知った。



主婦心に火がついたのは、言うまでもない。

鼻息荒く、明け方まで掃除しまくった。



“何となく関西弁っぽいど”


作者にはテレビの上方芸人さんのトークがこう聴こえている訳であります。


アカメ氏にはしゃべらせます(予定)ので、懲りずにどうぞ(汗)



誤字脱字・感想等ありましたら気軽によろしくお願いします。

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