平和に見えるのなら平和何でしょう
突然ですが、私の婚約者様は、平凡です。
平民よりも少しだけ顔がいいかなとか思える顔。
平均と呼ばれる身長、少しだけいい家柄。
まあ、私にもいえる話なのでそこはいいとしましょう。
問題は、私が、彼をどれだけ愛しているかわかってもらえることなのですから。
私の婚約者様こと、ティリンス様……ティリンス様に出会ったのは何時の話になりますでしょうか。
……あれは、私とティリンス様がお互いの婚約者だよとお父様に紹介された時でしょう。そのときは、私お恥ずかしながらがっかりしたのです。夢をみていたのですわ……将来を誓うのはとてもキラキラしてお金をたくさん持っている方とか思っていたのですもの。
これは、少し黒歴史なるものに含まれるものだと認識しております。
どこまで話したのでしたっけ……ああ、始めて出会った所ですわね。
その時の私は、かなり不機嫌でしたの。
「よろしくね」
そう言って笑いかけながら伸ばしてくれた手を払いのけてしまいましたの。
その時のティリンス様の顔は、少し傷ついた顔で、でも悟られまいと無理矢理な笑顔を作っていらっしゃりました。
その時、私は暫く最低な事をしてしまったと悟れたのですわ。
その数日後に、謝りに向かったのですわ、私逹の領土は隣り合っているのです。
「先日は、すいませんでした」
斜め45度、完璧なお辞儀を決めて上げた先には、困った顔をしたティリンス様がいました。
「僕は……嫌われてなかった。いや、でも……あっ」
その時、愚かにも尋ねてしまったのです。
「貴方は、私の事を好きですか」
第一印象は、最悪。まだ何もお互いの事を何も知らなくて愛だとか恋とかないときにです。案の定、ティリンス様は固まってしまいました。
今度こそ嫌われてしまいましたかと、肩をおろしたのですわ……仮にも婚約者様、出来れば楽しく暮らしたいと思い直していたのですから……。
「僕は、君の事を何も知らない」
その言葉に何故か傷ついてしまいましたの。
「……そうですわね」
「でも、これから知っていきたいと思ういます、それから好きとか嫌いとか見極めましょう」
その言葉と笑顔に私は、救われたのですわ。そして、私はその時に恋に落ちてしまったのですわ。
それから、私たちは順調に愛を育んできたのですわ。
「順調過ぎるだろ!!くそ、なんの嫌がらせかこれ……のろけ話を聞かされてる俺……心折れそう」
ああ、私の話を聞いてくださっていたのは、ジーモ様。私よりも、位の高い残念な貴族ですわ。そして、最近婚約破棄されたカタリナ様の新たな婚約者ですわ。
「あら、あれはティリンス様ですわ」
「相変わらずなリディア嬢だな、あんな入口近くの豆粒程度しかみえない状態で見つけるなんて」
何を仰っているのですか、そんなの当たり前ですわ。
「だって、私はティリンス様が大好きなのですもの」
「あー、もうさっさと行け」
「ありがとうございます」
一人前の淑女らしく相変わらずの斜め45度を保ったお辞儀をして、ティリンス様の所に向かいにいくのです。
「ティリンス様ー、お髪が跳ねていらっしゃいますわよ」
「げっ、ほんとかいリディア……直して貰えるか」
当たり前じゃないですかティリンス様の寝癖を直していいのは、ティリンス様のお母様と、この私だけですわよ。
「ティリンス様のお母様も何れ私のお義母様に……」
「リディア……よだれ」
まあ、何てことでしょう私のよだれを拭いてもらうなんて……何て私ははしたないのでしょうか。
「リディアは、表情がよく変わって楽しいな可愛いよ……あっ、今日はハーフアップなんだね」
何気なく呟かれたのであろうその一言は、聞き流せなかった。ティリンス様が、私の事を可愛いよ何て……そして、髪型にも気づいてもらえましたわ。
何時もは、卸しているのですが暑くなってきたので、括ってみましたの。先程、一緒にいたジーモ様は、気づかれてはいなかったのに、流石は私の婚約者様であり、大好きなティリンス様ですわ。
「うん、似合っているよ。もっと近くに来てよく見せて」
勿論ですわ!!
……あら、ティリンス様ったら、いつも私に後ろから抱きつくなと仰るのに私の事を後ろから抱き締めるのですね。
「リディア可愛い」
確かにこれは、ティリンス様の顔が見えなくて、少々いえ、かなりおしいことですわ。でも、抱き締めている手を離したいなんて思うはずなんてなく……
「ティリンス様は、ずるいですわね」
「知っているよ」
ああ、もどかしいやらなんややら……でも、この時間は幸せですわね。大好きな人とくっついていられる。そんな大事な時間。ですのに……
ペチン
ああ、心が冷めてゆきますわ。
目の前で、行われたのは私の好きな人と大嫌いな人の修羅場。
何でここでするんだろう。折角ティリンス様が甘えてきてくれましたのに……ティリンス様が、こうしてくっついてきてくれることは余りない。そのために、少々の文句はありど、離すことなんてできなかったのだ。
……目の前にいるのは、ティリンス様情報によるとアージェ様おつきの騎士である、冷静沈着と唄われたアルフリード様……様何てつけたくはありませんは、本当に身分の差というのは面倒ですわね。
と、現ジーモの婚約者であり、元アルフリード様の婚約者だったカタリナ様。カタリナ様は、その凛とした美しさ、見て育ちがよいと分かる行動の美しさ、その形のよい唇から漏れ出てくる声の美しさなどたくさんの美しさを兼ねている素敵な御方なのですわ。
元々の、アルフリード様ならばカタリナ様の横に並んで移るその画は本当に美しかった。
けれど、この間まで起こっていた騒動を知って見るのとでは、その画は同じけれど不快感を覚える。
きれいなものに、汚いものを塗りつけたようなそんな感じがして嫌ですわ。
昔々憧れた王子様のような人が、こうだった何てしりたくはありませんでしたわね。
「何をするんだカタリナ」
「何を……貴方は今私に何て仰ったのかわかっているのですか」
カタリナ様は、怒っていても美しかったですわ。
「リディア……やちもち焼いていい」
「ティリンス様と、カタリナ様は違いますよ」
何て可愛いことを仰るのですか、ティリンス様は、私を幸せ死させるつもりですわね。
「とにかく、俺は婚約破棄何て「認めない?」なっ」
言わせないその姿に憧れる痺れますわ!!
「認めないも何も、もう決まりそして、終ったことですわ」
そう言って、ジーモ様を引っ張って出ていくカタリナ様……
あら、ジーモ様顔が青いですわね、男ならば堂々としていらっしゃらないと
「私、カタリナ・ボルボーニは、この方ジーモ・ブリニョーネ様と婚約いたしました」
流石ですわね、ここで婚約発表ですか。
「ジーモ・ブリニョーネ……貴様のことは覚えたぞ」
アルフリード様……
「負け犬の遠吠えだな」
「ですわね、ティリンス様」
冷めた声と声……私たちは、ここまでにくるまでに悟ったのです。
お互いが愛し合っていないと結婚しても幸せになれない。
だから、私も、ティリンス様も彼らの茶番を嫌っていたのですわ。
あんなおままごとを、愛だの恋だのと称した彼らを……
「ティリンス様は、私をこのままずっと愛してくれますか」
「勿論僕のリディア」
氷の上を歩いているようなこんな私逹の恋を、平和だと思っているのならそれはそれでいいですわ。
私たちは、私は、ティリンス様が、幸せであって私が幸せならそれでいいのですから。
他人の評価など、どうでもいいですから。
ヤンデレでは、ありません……何か、怖いよリディアさん。