充実した生活と殺意と
竜暦12年4月5日。
光の領土【王都ニクス】。
竜暦が始まり12回目の春。
町には桜が舞い、中心街は多くの人で賑わっていた。
「うわぁぁあ!!遅刻だぁ!!」
町に響く大きな声。
制服に身を包んだ少年、ネルから発せられたものだった
「8時19分……くそ〜使いたくなかったけど……」
その少年は鞄から水晶体を取り出し、
「転送!!セイム騎士訓練所!!」
と発すると同時に水晶体を割った。
水晶が割れると同時に光が体を包みそして消えた。
〜セイム騎士訓練所〜
キーン コーン カーン コーン
授業開始のチャイムが鳴り全員が席に着き始める
「ギリギリセーフ!!」
「どこがセーフだこのバカ!」
「イデッ」
持ってた出席簿で殴られた。
「何も殴ることないでしょ先生」
「バカにはそれぐらいがちょうどいいんだよ!」
「チェッ」
渋々俺は席に着く。
「えー今日はスキル使用許可試験の日だ!全員気を引き締めて頑張れよ!」
スキル。
それは領土ごとに守り神としてたたえられている「竜」の偉大な術といわれている。
ソードスキル、マジックスキル、ボウスキルなどなど・・・
スキルの数は発見されているもので200を超えるといわれている。
ちなみに俺が使う予定のスキルは「ソードスキル」。近接型のスキルだ。
そしてスキルの使用許可が出されるかは学校の試験で決まる。
今日のスキル使用許可試験の内容は「20体のターゲット撃破」
ソードスキルの取得には一番効果的な試験だ。
ほかにも「敵の半径100m以内に入らずにターゲット撃破」とか、
「巨大な岩を10個粉砕しろ」とか・・・
とにかく試験はめんどくさい。
でも頑張ってスキルが使えるようになりたいんだなぁ〜
すると、
「おう!ネル」
振り返るとそこには斧使いのバルガスがいた。
「バルガスじゃないか、やっぱりお前も試験受けるのか?」
「いや今回はパス。ソードスキルとか取得したら話にならんからな」
「アックススキルを取得できるのは次の試験だからな。お先にスキル使わさせていただきますわ」
「チッ。嫌味かよ」
怒るバルガスを華麗にスルーし試験会場に向かう。
〜セイム・スキル使用許可試験会場〜
「うわ〜いっぱいいるな・・・」
何処を見ても人、人、人。
しかし見たところ、ほとんどが試験初心者らしい。
「・・・・・!?」
・・・違う。
その時感じた「気配」。
いや・・・あれは・・・「殺気」
振り返るが、そこには誰もいない。
「気のせいだったのか・・・?」
首を傾げていると、
「今から試験を開始します。各自配布されていた転送水晶を使って下さい。」
俺は昨日と配られていたオレンジの水晶を取り出し、自分に「落ち着け」と 言ってから水晶を割った。
to be continue……