花火の香り
表情の違う二つの詩
あなたは何を感じるでしょうか?
あなたは何を想うのでしょうか?
その答えはあなただけが知り得るモノです。
どうぞ、あなたの心で感じて下さい―。
*花火の香り*
花びらの鳴る夜
火が風に溶けるよに
終わった 物語は
わたしの いまの
りつどう を育む...。
夜空に咲いた
想いの花
人の波に流されつつ
朱く咲き誇る。
けれど、
夏の夜に ゆき場などなく
悲シミに
枯れていきました――。
そして 朱色は
温かくも
冷たい空へと
呑みこまれて
いったのでした...。
夜空に朽ちた
想いの花
音の波に 揺蕩いつつ
余韻は割れいく。
そして、
夏の闇に 温もりをなくし
寂シサに
墜ちてゆきました――
やがて 夏の恋は
遅くも
忙しない秋に
押し流されて
いったのでした...。
わたしの鼓動と
重なった花火の響きは
いまでも、
わたしの心臓から
あの苦い香りを
流しています――。
わたし達の姿が
重なった花火の光は
いまでも、
わたしの瞼の裏で
あの蒼い香りを
映して出しているのです――。
花びらの鳴る夜
火が風に溶けるよに
終わった 物語は
わたしの いまの
りつどう を育む...。
*ゆめはな*
たねは 大地へ おとされた
さあ、 照らせ きぼうよ
さあ、 降り注げ くやしさよ
そして 新芽よ
ゆめはなて――!
うららかな日ほど
時計は すぐに まわるだろう
ひざしに 溶かされ
葉が くさる日も
あるだろう
たおやかな日など
風が やがて すさぶだろう
かわきと かげりと
霜に ふるえる日も
くるだろう
どうか、芽吹く意思よ!
そんな日々に
惑わされないで――
たねは 大地へ おとされた
さあ、 照らせ きぼうよ
さあ、降り注げ くやしさよ
そして 新芽よ
ゆめはなて――!
やがて ひらけ ゆめはなよ
そして 描け ゆめの輪廻
その大地が果てぬよに
新たな たねに
ゆめ託せ――!
願わくは……
ゆめはなよ
心をうめて
さざめきよ
まだ見ぬせかいへ
背すじを 伸ばし
ゆめはなて――!