第一部 第四話 逃亡へ-。⑤
これで、絶対に第四話終わりです<m(__)m>
本当に申し訳ないです(;´∀`)
今回の話は、司は少しばかりダメだろオイ的な事をします。しかし、それには大変重要な意味があったりするんで、むかつく人いるかもしれませんが、ご了承を(;´∀`)
「御霊・・・。」
「何かな。司君?僕に何の用があるの?」
司は御霊に対して、ついつい声をかけてしまった。しかし、御霊に促されたような用事は全くもって無かった。無いに決まっていた。関わりたくないのだから。関わったらろくな目に合わない事が分かっているのだから。それなのに、何故か口から“また”言葉が溢れ出た。
「お前さ、俺の親友の一樹が死んだけど。何か知っているか?」
「え?」
司はこれを御霊に尋ねた瞬間に後悔した。何故なら、殺されるんじゃないかと思ったのだ。更には、周りの空気がその瞬間に凍りついたからだ。近くにいつの間にか戻っていた優人も身じろぎしているのが、視界の端で見えた。司の体中からブワっと冷や汗が流れ出た。その途端、御霊は面白い物でも見るかのように司の顔を覗き込んでニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると、彼の耳元に顔を近づけた。
「知ってるよ。当たり前じゃないか。だって僕が殺したんだから。君の大切な子も大切な親友もね。とても・・・・おいしかったなぁ。あはは」
司は思わず彼から、その身を離した。冷や汗が無尽蔵に流れてくる。こんなにもの恐怖を感じた事は無かった。次は自分が殺されるそんな気がしたのだ。司は、必死のその場から逃れ、教室を出て、高校から逃げ出したのだった。
その後、御霊はクスっと忍び笑いをして、優人の方を向いた。優人も御霊をジっと見ていた。お互い牽制するように見つめあっていた。しかし、そんな二人の様子を誰も気にした様子もなく自分たちのするべき事をしていた。そんな中、先に口を開いたのは御霊であった。
「いやぁ。それにしても、面白いよねぇ。この状況。だって、彼にとって味方は全くいないんだからさ。この教室の中では。」
「確かにねぇ。味方と言って良いのは、俺くらいじゃないかなぁ。だって俺は、唯一“なんでもあり”のユニットで、何をしても許される存在だからねぇ。俺だけが、彼の“味方”をしても許される存在だからね。」
御霊はその優人の言葉に、含み笑いをした。何か他に知っている様子であった。
「なるほどねぇ。君は“優しい人”だからねぇ。“味方”でいるんだね。でも、君に出来る事は限られてくると思うよ。だって、僕は今からとある事をするからねぇ。」
御霊がそう言うと、優人は一瞬だけ体中をピクっと震わせた。何か動揺した様子であった。その彼の動きに、御霊は満足そうにほほ笑んだ。
「君は何かをしようとしている事は知っているんだよ。だから、僕は先に行動させてもらうよ。それじゃ、そろそろ司君は、“予定通りの行動”をしていると思うから、僕は早退させてもらうよ。じゃぁ、先生に僕は早退します。って伝えといてね!」
「あぁ・・・。」
優人は無気力に頷くのを見とめると、御霊はその場から一瞬で姿を消した。
その御霊の消えた場所を優人は、忌々しそうにジっと眺めた。その後で、拳をギュっと握りしめた。そして、一言一言噛みしめるように言った。
「司・・・。絶対に負けちゃダメだよ。少なくても俺だけは、“あなたの味方”だから。そして、今から起きる事は君を更に打ちのめすかもしれない。君の助けになるための事を“いくつか”したから、きっと君は大丈夫・・・だよ・・・」
☆★☆★☆
司は家へと逃げていた。もうこの村が安全だと思えなかった。この村から一刻も早く逃げ出したくなったのだ。司は決心した。この村から出るのだと。兄弟や友達を置いて逃げようと決心した。そうすれば、御霊も俺を追いかけてくると感じていたからだ。そうすれば、自分はずっと御霊を追いかけっこし続けるという確信が何処かにあったのだ。
それと同時に直観的としか言いようが無いのだが、自分が御霊を事を知ってはいけないような気がしたのだ。知ってしまうと良くない事が起きる気がしたのだった。だから、逃げないといけないと司は思ったのだった。
司は家に戻ると、急いで行動を始めた。弟と妹の二人へ宛てた手紙を書いて、様々な荷物を自分のカバンの中に放り込んだ。
そして、司は家を抜け出したのだった。
その時、司が家を出ていく瞬間を楽しそうに電柱の上から見ていた男がいた。勿論というべきなのだろうが、その正体は御霊である。御霊は彼が走り去った方向を見つめた。それは、御霊の予想していた通りの場所であった。唯一、その場所がこの村と外の世界との境界線が無く、それは“村人”しか知らない事実であり、“司たち”だけはそれを知らないはずの場所である。しかし、司は何の躊躇もなく知らないはずのその場所へ走っているのを見て、御霊は嬉しくなって微笑んだ。司には何か不思議な力が眠っている事を御霊は知ったのだった。
「なるほどねぇ。君はどんどんと僕の興味を引く事をしてくれるね。それに、逃げる理由も僕が君を追いかけ続けるからと来ている。自己犠牲。僕の大好きな言葉だよ。でも、逃げてもらっては困るんだよね。君にはやってもらう事が残っているのだから。」
御霊はそう言うと、その途端に、電柱を蹴って跳躍し、空にふわりと風船のように漂いながら浮いた。そして、一瞬で司の背後の所へと間合いを詰めた。
「それに、君は僕のおもちゃだ。パパ達に頼んで君を隔離する事は出来るけれど。これは、僕の手でしないといけない気がするからね。この僕の手で、君を隔離してあげる!この混沌に包まれた村の中にね・・・。だから、ゆっくり走ってね。時間は必要だから。クスクス。」
「ストップウィンド」
御霊はそう言うと、何かを唱え始めた。その瞬間、司の周りの風が止み、司はピタっと動きを止めた。そして、すごい勢いで首を回しながら、辺りを見回した。御霊がいる丁度その辺りを司は見つめた。そこに何か気配を感じたからだ。それに、風が止んだからだ不自然に突然に。御霊がいると思ったのだが、司がいると感じた場所には御霊はすでに消えていなくなっていた。
「御霊・・・?あいつがいた気がした・・・。早く行かないとな・・・。」
司は御霊がいない事を確認すると、また走り出した。そして、村の司の思いついた唯一の抜け道に出た。しかし、そこにはありえない光景が広がっていた。なんと、その抜け道に茨がからみあって何mもの高さまで登っていた。しかも、周りを見回していると、その茨はどんどんと村を囲んでいて、ついには、村中を茨が包んだ。しかし、何故だか村中が昼の時間らしく明るかった。
「どういう事だ!?なんで、こんな事が・・・。まさか、御霊か!?俺を閉じ込めるのか?こんな場所に。あいつはいったいなんなんだ!?糞・・・!ここまでやられたら、腹をくくるしか無いのか?!」
「司くん~」
一人、御霊の行為に司が憤慨していると、彼の頭上から御霊の声がした。司はキっとその声のする方向を睨みつけた。そこには、摩訶不思議で奇天烈な服装をした御霊がいた。
「司君~。御霊だよ~っ!何処へ行くの??」
御霊は、白々しい態度でそう尋ねながら、空からクルクルゆっくりと回りながら、降りてきた・・・。そのあまりにもの白々しさに、さすがに憤慨していた司もため息を吐きたくなった。そして、何かがアホらしくなってきたのだった。
「何でもいいだろ・・・。俺の事はほっといてくれよ。御霊・・・。なんで、俺なんだ?」
司のその問いに御霊は首をかしげた。自分でも、その理由を分かりかねているようだった。すると、何かを思いついたのか、こっちが見ていても微笑ましく感じるくらい(実際は胸糞悪いの方が正しい)の笑顔を見せた。
「そうだね!!!司君は、僕の最後の獲物だからだよ!!!だから逃げられたら困るんだよ!!!うん。きっと、それだよ!!!!」
「きっと・・・なのか・・・。」
司のツッコミに御霊は、困ったように微笑んだ。
「じゃぁ、そういう訳だから、ばいばい!!!」
その困った表情は実際に困っていたのだろうか、話をすり変えるより先に逃げた方が得策と考えたのか、その場から御霊は一瞬で消え去った。司は、それを見る事しか出来なかった。自分には、何か不思議な力がある事は司にはわかったが、その力があの御霊に対抗しうる力であるとは、到底思えなかった。それに、この街は奴によって閉ざされてしまった。誰も、あいつから逃げれなくなったのだ・・・。これからどうすれば良いのか。司はその事を考えると、その先の霧の濃さに朦朧としたのであった。
そんな司の気持ちに比例してか、さらに村の霧は深まったのであった―。
「司・・・。頑張って・・・・」
その時、司に誰かが目の前から声をかけたが、司には霧が濃くてその正体を見る事が出来なかった。姿かたちは、少女のように見えた。そして、何処かで聞き覚えのある声であった。司は自分を応援してくれる味方がいる。そう思うと何故か心が少し弾むのであった。
その声の主に礼を言いたくて、その声の方向へ走ったが、もう辺りには誰もいなかったのであった。そして司のいる先の方へ、誰かが走っている足音が聞こえたのであった・・・。
第四話終わりましたε-(´∀`*)ホッ
長かったなぁ 思ってたより。さて司君はこのまま力を身につける事はしばらくありません。主人公としては、地味な存在だと思います。
その理由も今後 明かされる・・・と良いなぁという希望的観測です。
それにしても、第四話は 魔法のアイランド版からかなり設定を付け加えました。かなり前まではあえて無かった伏線もかなり入れました。
それがどうなるのか、自分自身楽しみですw
さて、第六話で 今年の更新を終わらせる予定でしたが、ちょっと忙しくなってしまったので、第四話で終わる事になりそうです(;´∀`)