第一部 第四話 逃亡へ-。④
これで 第四話終わりなはずでしたが、追加シーンが思ってたより長かったので、もう一回続きます。すいません(;・∀・)
個人的に 第六話が一番書きたい部分なので、今年中に六話までは、書けたら良いなとか思ってます。
司は、高校に着くと教室に入り、自分の席に着いた。そんな彼の所に、一人の男がやって来た。それは、司の友達の中で遙と一樹を除いた中では唯一の魂が光り輝いている人物である、坂下優人であった。彼は天才少年で、この高校で唯一、本来は校則違反であるノートパソコンの持ち込みを許されている人物である。
「司。おはよう。久しぶりだな。」
「あぁ・・・。確かに、一か月ぶりくらいだな。何処に言ってたんだ?」
優人は、一か月もの間、高校には登校して来なかった。その理由は、少しばかり(全くもって少しばかりではないが)村を出て、日本を飛び越えて海外に仕事をしに行っているらしい。科学の天才で、他にもゲームのプログラムとかも担当していると言っていたはずである。司は全くやった事が無いが、弟の望に話してみるとかなり興奮していたので、結構有名なゲームを担当しているらしい。
「あぁ、アメリカとイギリスかなぁ。アメリカは、ちょっとゲームの開発の手伝いかな。海外版の方が不具合出たみたいで修正しに行った。後、イギリスは、知り合いが研究している分野で協力を頼まれたからそれを手伝いにかな。」
「すまん。分かったが分からん。」
「だろうな。お前ゲームもしないし、成績も体育と英語以外は2か3だもんな。数学はたまに1だし。」
「それは、余計だ!!!」
優人とは、一樹の次に仲が良く、お互いの成績とかも知っている中だ。(優人に関しては、聞くまでもなく遥と成績を競っているので、1位か2位のみだ。ちなみに、本人は適当なので凡ミスをよくする。)ゲームもこいつの研究など全く分からないので、話をする事が無いように見えるだろうが、お互いスポーツをやって見てもいるので、そこで話が合っている。一樹よりもそこは意気投合している。そんな彼に司は違和感を感じた。最近、違和感ばかりで嫌になる。
「そういえば、いつもより起源悪い気するけど。何かあったか?」
「あぁ。この村も危ないって感じたんだよねぇ。」
「危ない?」
「あぁ。危ないね。」
司は驚いた。自分と同じ考えを持つ人間がこの村にいたという事に。しかし、何故こいつはこんな考えを持つにいたったのだろうか。それを聞いてみると、優人は簡単だよと呟きながらノートパソコンを駆使してとある画像を見せた。
「この村ってさ、超がつくセキュリティ機能が実はあるんだよね。村中を監視しているみたいにさ。それでに付け加えて、この村の死亡者があまりにも多いから調べた訳だ。すると、少し怖い結果が出た。」
怖い結果・・・。その優人の言葉に司はとてつもない不安を感じた。正直、死亡者は1000人中7人でそこまで多いとは思えない事にもそれはあった。司の疑問に答えるかのように優人は次にグラフのような物を出して見せた。
「これを見たら分かるかもしれないけど、村の死亡者が、この10年間一人もいないんだよね。正式にはもうちょっと前になるか。司のご両親が亡くなったので、この村の死亡者は最後だったから。これが、どういう事かわかる?」
「どういう事だ?」
もうすでに考える事を脳が拒否していたので、司はオウム返しして聞き返した。そんな司の中を理解した優人はしょうがないとばかりに、説明を再開した。
「ようするにさ、司のご両親は死んだけど年齢的に30前後だ。若すぎる。しかも、その前に死んだのも鳴海海斗という人物と鳴海夕菜という二人が死んだけれど、これもおかしい。彼らも司のご両親を同じ年齢だ。若いのが近い時期に死ぬなんておかしいよね。それもあるけれど、それから10年以上も人が死なないなんてありえない。この村には、100歳を超える御老人が10人いるんだよ。こう言っちゃ悪いけど、一人は最悪でもね、死んでないとおかしいんだ。」
「なるほど。じゃぁ、この死亡率は逆に正常と言いたいのかお前は?今までが、異常だと。」
司は結局の所、彼の言葉を頭の中で整理して、要約した。優人は、正解と言う変わりに、指をパチンと鳴らすと、新たなpcの画面を見せた。今度は、動画のようだった。その動画の日付は3年前になっていた。画像の主は確か、中3の頃のクラスメイトの東雲春日である。途中で転校してしまった。それまでは、仲が良かった。
「これって春日だよな・・・。春日って転校しただけだろ?何があるんだ?」
「この動画は、そのセキュリティシステムからハッキングして取って来たんだけどさ。興味深いんだよね。これが、良いから黙って見ててよ。」
司は黙ってその動画を見た。しかし、特に変わった様子を感じなかった。春日はいつも挙動不審で赤面症の子だったが、彼の記憶通りの行動をしている場面しか分からなかった。これの何がおかしいのだろうか。
「お前は、これを見て気づかないかぁ。やっぱりねぇ。じゃあ、教えてあげるけど。この動画は、10分以上再生されてるけど。この動画、あまりにも一人の人物に焦点を当てすぎていると思わないかな?」
「確かに、けどそれって普通じゃないのか?」
司のその疑問に優人は信じられないというような顔にすると、呆れたようにため息を吐いた。
「あのね、教えてあげるけど。よっぽどの予算が無いとここまでの一人の人間だけに焦点当てる事は不可能だよ。しかも、実を言うと、1000人を超えるデータがあるんだ。ありえないんだよね。一介の村でこんな事が可能だなんてね。おかしいよね。」
「言われてみればそうだな・・・。」
優人の解説に、司は納得せざるを得なかった。この村はいったい、どうなっているのだろうか。御霊以前におかしい所がたくさんあるようだった。そして、司はある事に気づいた。
「そういえば、この村の人口って1000人だよな。これってありえなくないか?死んだ人間がいないとしても、産まれた人間がいるんじゃないか?それなのに、人口が変わらないなんておかしいんじゃないか???」
「その通り!まぁ、その答えは動画の続きにある。もうすぐだ。見てくれ!」
司は急いでパソコンの画面を見た。春日は、下校途中らしいが、突然後ろから誰かに羽交い絞めにされ、何処かへ連れて行かれた。場所は、研究所みたいな所であった。そして、恐怖で顔がひきつっている彼女の前に顔などは暗くて分からないが、男が現れ、彼女の頭をなでた・・・。そこで、動画の映像はプツっと途切れ、変わりに『the end』という文字が現れた。
「な!?これって・・・。何処かに連れていかれてるって事か!?」
優人は、それにただ頷いた。
「そうだな。これによって帳尻を一部あわせている。けどね、もう一つ。醤油村っていうふざけた村があるでしょ。あそこってこの村から追放された人間の集まりなんだよね。そんな事をして、この村は何とか異質な形を保っている。でも、それには最後にひとつ必要な事があるんだよね。それは、村の大半の人間がこれに協力しなければいけないって事なんだよ。」
「じゃあ、ここにいるやつらもグルって事か!?」
「そういう事になるかな。」
司は呆然となった。という事は、これから何かが起こっても全てもみ消されてしまうって事なのか?もしかして、俺の近くの奴らもそうだったのか?一樹もそうだったのか・・・。司の中で様々な感情が渦巻いた。優人は、なぐさめるかのように彼の肩をポンポンと叩いた。
「まあ、気にするな。それよりも、もっと問題がある。今までこの村に引っ越して来た人間がいなかったけど、この死人がたくさん出た丁度その時期に引っ越して来た家族。今回の転校生・・・。絶対、何かがあるね・・・。ほら、噂をすれば・・・。」
優人は、扉の方を向いた。扉の向こうから御霊が教室に入ってきた。その姿を見て、司は恐怖した。御霊の周りには、恐怖を感じるくらいに真っ暗なドロっとした物が溢れ出ていた。そして、御霊は司と優人を見つけるとニッコリと笑って、それを引き連れながらこっちにやって来た。
「おはよう。司くん。それと、君は坂下君だね?よろしく!」
御霊は優人に握手を求めた。優人はどうでも良さそうに握手を返して、それじゃと言って、自分の席に司を置いて、戻って行った。司は、キっと優人を睨みつけた。御霊は優人が去ってもまだこちらを見て、今度は不気味に下卑た笑みを見せていた。その笑みに、司は体中の神経が逆立ったのだった。
うーん。追加のシーンが思ってたより長くなってしまいました。
っていうか、結構。種明かしを追加のシーンで行っちゃいましたね。
まぁ、そんな事しちゃっても支障が無いんで良いんですが。
ただたんに、今後にちょっとだけ出てくるはずの坂下優人クンをもうちょっと存在感あるキャラにしたいと思ったんで、こういう追加シーンを入れたんですよね。
後、逃亡へ-。⑤での司の行動への整合性を出すために書いてみました。
まぁ、坂下君も今後あんまり出さない予定でしたが、ちょい出しすると思うんで、その時はよろしくしてやってください<m(__)m>