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Red Blue~灼碧の瞳~  作者: 麦畑葉月
始まりの刻-。
2/13

第一部 第二話 最初の惨劇―。

この小説は正直、あまりにも伏線がたくさんあります(;・∀・)・・・。

1ページに1個は絶対にあるんで、こう言ってはアレですが。

この作品、軽く考えただけで番外編も含めると30冊超える構想があります(;´Д`)・・・。

我ながら こんなによく考えたものだ(;´∀`)。


ちなみに、この作品。

魔法のアイランドで書いていた時は、最初はホラーのつもりで書いたので

ファンタジーな部分は、一切出てこなかったので・・・。

今回からは、冒頭だけでも出そうと 

この第2部を 当初の冒頭部分と混ぜて書かせていただいております。

少しでも変だと感じた所があれば、教えてほしいと思います(;・∀・)。

自分の部屋のベットの上で、すやすや眠っていた神鳴司は、夢の中で幸せでムフフな人生を送っていたのだが、それが突然、2つの大きな赤い目がコチラを覗き込んでいる夢に変わった。

その目に畏怖を感じた司は、今立っている場所から逃げるために手あたり次第に逃げ回るのだが、何処に行っても、その目は自分を覗き込むのだった。

「何なんだよ!!!お前は!!!」

司は、勇気を奮い立たせてその目に言ってみるのだが、その目は、あくまで目であって人と言う訳では無い。

勿論の事、口は無いので、司の問いに答える事は無かった。

「くそやろうっ!!!!」

司は、眼に対してそう言い捨てると、再び駆け出した。

すると、先ほどまでは目だけがこちらを覗き込んでいる夢であったのが、突然変わり、真っ白な銀世界に移り、そこの中心に椅子がありそこに、一人の女性が腰かける夢に変わった。

女性を見て司は、目を見張った。

それと同時に、嬉しさによる興奮で心臓が早鐘を打った。

女性は、真っ黒な艶のある長い黒髪に、真っ白なワンピースを着てその上に真っ黒なカーディガンを羽織っており、その姿は何ものにも変える事が出来ないくらいの美しさを見せつけていた。

その女性は、数年前に自分と弟と妹を残して、父親と共に死んだはずの司の母親であった。

母親は、司を見て微笑むと、彼を手招きした。

「おいで。私の大切な子・・・。」

司は、母親の言葉に我を忘れて駆け寄り、椅子に座る母親を思い切り抱きしめた。

「母さん!!!!会いたかった!!!」

司がそう言うと、母親は優しげな瞳を潤ませてにこやかに微笑んだ。

だが司には分かったのだが、母親の瞳には苦悩と悲しみの感情も宿っていたのだった。

その表情に司は、わずかな違和感を感じ取り、司は夢の存在である母親にその表情の理由を聞いた。

「母さんどうして、そんな悲しそうなんだ?母さんは俺の夢なんだろ?夢なら、どうして俺のなっていて欲しい表情じゃ無いんだ???」

母親は、司の頭に手を置いて撫でると、司は嫌がったが、母親はそれでもなお止めようとしなかったので、司はしょうがなくされるがままに頭をなでられた。

そして、母親になでられ続けていると、どんどん不思議と先ほど、目に追いかけられていた焦燥感も薄れていき、安らぎと幸福感が増していった。

その気持ちが司の心を満たすと、母親は彼の頭から手を放して、何かを覚悟したような表情に変わった。

その真剣な表情に、司は圧倒されて、咽喉をゴクリと鳴らした。

「司。あなたに言わないといけない事があるわ。私は数年前に死んだ。それは分かっているわね?」

「知ってるさ。当たり前だろ。それに、母さんだけじゃなくて、父さんもあの時に死んだ。二人がいなくなったかた俺は!!!!」

司がそこまで言うと、母親は彼の口に人差し指をソっと押し当てた。

それは、小さい頃から母親が司にする黙ってお話を聞きなさいという合図であった。

「分かっているわ。あなたが、私たちが今後、死んでしまう事によって、弟と妹の面倒を見ないといけなくなってしまうのよね。分かっているわ。でも、私たちには時間が無いの。あなたのあの夢の現況から、あなたをここに連れてくるので限界なのよ。だから、これだけは言わせて頂戴。この村で惨劇が起こるわ。様々な陰謀があなた達やその周りを襲う。だから、母さんが言ったこの言葉を覚えていて。」

母親はそこまで言うと、司の頬をいとおしげになでた。

「あなたを信じてる。そして、生きなさい。あなたを必要とする人達のために。」

司は、さっきの母親の仕種のために言いたい事を言わないで、何か釈然としない所が多々感じたのだが、とりあえず、その言葉を胸に秘めて頷いた。

母親は、司が頷いた事に満足したのか、彼女のいた場所自体と共に真っ白な羽に姿を変えて消えた。

「母さんーーーーーーー!!!!」

司は、大きな声で叫び、母親の手を握ろうとしたが、その手は羽となり消えた。

それと共に、司は夢から覚めた。

慌てて回りを見渡すと、ただただ自分の部屋の家具が昨日の夜と何の変哲も無く、存在しているだけであった。

大きくため息を吐くと、司は窓の外を見つめた。

小さい頃の思い出を思い出しながら、夢の母親を思い浮かべた司であったが、母親の姿が彼には、ただの夢だとは思えなかった。

なぜなら母親は、もう彼の中では死んでいるし、実際問題、死んでいるのにも関わらず、母親はまるで、自分が“これから先の未来”で死ぬと言っているように感じた。

彼の母親は、不思議な力を持っており、その力で未来の自分の夢に母親はやって来たのだと、彼は感じ取っていた。

そこまでの結論に彼は至ったが、その瞬間、眠くなかったのが突然眠くなり、再びベットに倒れこんでしまった。

そこには、何か大きな力が働いているのを司は知る由は無かった―――――。


☆★☆★☆


夢の中で司は、遥か上空から自分が住んでいる家だけでなく、家のある村の全てを見つめた。

彼はこの光景を見て、変な間隔を感じた。

体が、ふわふわと浮かぶ間隔、それだけでなく、彼はこの村の上空から見た光景を見た事は無かった。

だが彼の目には、その光景が浮かんでいた。

これが意味する事は、自分が幽体離脱をしたと言う事なのかもしれない。

初めての経験に司は、戸惑いを感じた。

自分を落ち着かせようと、彼は村を見つめた。

司の住む村の名前は、大和村と言い、人口は千人と少なく、その人口のわりには広大な土地を有していた。

この村では、全ての事がこの村でまかわれるので、外部から来る人など今まで一度もおらず、村の誰もがこの事実には気づいていなかったが、司には気づいていた。

この村は、隔離されている――――――。

こちらから、町に行く事は無いし、向こう側からこちらに来る事も無い。

その状況に司は、激しい違和感を感じるのだが、誰もそれには気づかない。

唯一気づいているのは、弟と妹であるが、その二人も異常事態とは思っていなかった。

この村のこの状況が、司達をいつか大変な目に合わせると思っていたが、それを口に出す事を彼はしなかった。

彼が思案していると、ふと村の入り口も向こう側から、車が何台かやって来るのが見えた。

その車は、村に入り、村の土地の真ん中辺りの真っ黒な屋根の家の中に入っていった。

司は驚いた。

この村に、村が出来てから500年以上“誰も入って来る事の無かった”村に、誰かがやって来たのを知った司は、驚きを隠せなかった。

司は、その家に少し近づき、車から誰かが降りるのを見た。

その車から降りたのは、二人の男女と自分と同じくらいの年齢の少年が車から出てきた。

女を見て司は驚いた。

女は、母親にうり二つの顔をしていたのだ。

強いて言うならば、目元が少し違っていて、母親の目は優しげな瞳をしているが、この女の目は冷酷な光を湛えていた。

その女が、何かに気付いたのかバっと振り返った。

そして、その視線はどんどんと上に向かっていき、ついには、司に視線を止めた。

女は、司を見てニタリと気味の悪い笑みを浮かべた。

司は、その笑みにゾっとしてその場を急いで離れた。

それと同時に、誰かが司を呼ぶ声が聞こえて、司は一気に家の自分の部屋の中のベットの上で倒れこんでいる自分の体の中に吸い込まれていった。


☆★☆★☆


7月10日―。 午前8時20分―。



「司!?司!!!!早く起きて!!!もうすぐで高校始まるよ!!!起きろ!!!」

司にとっては朝早いと感じる時間に、自分を揺さぶり起こしてくる少女の声で司は幽体離脱から戻り、目を覚ました。

自分の事をやかましい大声で起こしてくる少女を司は、ボーっと寝ぼけた眼で見つめた。

身長は156cm、体重42kg。パッチリした瞳で、ふっくらした唇と持ち合わせた司が通う大和高校で1番の恋人にしたい人NO.1の少女で、司の口やかましい幼馴染である。

名前は、睦月遥と言い、司と同じの16歳である。

司は、頭がハッキリしてきたので、言おうと思っていた文句を言ってみた。

「うるせぇよ。耳元で騒ぐな馬鹿。」

「早くしないと学校始まるよ。っていうか、@15分で学校始まるからね。」

遥は、司の文句を無視すると、困った様に苦笑しながら、司の勉強机の上にある時計を見やってから、俺の今のヤバサを端的に教えてくれた。

「はあぁ!?」

俺は驚いて、大声で叫んでベットから転がり落ちた。

勿論の事だが、すごく痛い、というよりも、死ぬほど痛かった。

こういうのはゲスな言い方なのは分かっているのだが、言わせてほしい。

ケツがいてぇ!!!!

「何やってんの!?馬鹿じゃないの!!?弟君、こまってたよ!何回おこしても起きないって言ってた!顔も泣きそうになってたよ。死んじゃったんじゃないかって!!!」

遥は、怒った風に腕を組んで、弟が俺が幽体離脱しちゃったせいで、大変な事になってしまっていた事をご丁寧にも教えてくれた。

あの野郎、よりにもよって一番チクられたくない奴にチクりやがって・・・。

司は、床に尻餅をついたせいでイライラしていたのも手伝って、少し怒った風に少しムスっとしながら、いわゆる逆切れ状態で怒鳴った。

「うるせぇ、ほっとけよ!!!!」

「そんな事より、早く急いで!」

遥は、司の怒鳴り声なんか屁へもないように「そんな事」扱いして、俺と同じ目線になるようにしゃがみこんで、俺の肩をブンブンとゆすって諭すように言った。

俺は、一応起きているから、ゆすっても無駄だと思うだぞ。馬鹿。

そう思ったが、口に出さないでおいた。

また怒ってくるのが目に見えていたからだ。

「分かってるよ・・・。うるさいなぁ・・・」

だが、司は遥がうざったく感じ、ほんの少しだけ気にくわなかったので、ちょっとした不平だけは言った。

「うるさいって何よぉ・・・。」

「もう、司何かしらない!私、先に行ってるから!」

遥は、頬をプーっと膨らまして不貞腐れると、司をベットにバンっと押すと、勢いよく彼の部屋を出て行った。

「あ!待て!由香里!」

司は、しまったと思い、慌てて彼女を呼び止めたが、そんなのは怒っていたのか、全く聞こえていなかったらしく、扉がバタンと音を立てて閉まる音が聞こえただけだった。

あー。あの野郎。俺を放って行きやがった。てか、あいつの沸点低すぎて分からねぇ!めんどくさいが、後が怖いし、高校についたら謝っとくか・・・。それより、早く学校行かないとやばいな・・・。

司は、めんどくさそうに頭をかきながら、時計を見ると、急いで制服に着替えて、食卓に弟が置いといてくれたのであろう食パンを手に取って口に咥えた。

「行ってきま~す。」

誰もいない家にそう言いながら司は、勢いよく家を飛び出し、高校へと向かう道を思いっきり全速力で走った。

遥が、司のの家を出て行ってから10分経っていた。

学校まで、走っても8分はかかる事から考えても、確実に高校の授業が始まる時間に間に合う可能性はあるが、朝礼には間に合わない事は確実であり、けれども、司は思いのたけを足に込めて走った。

その間にも、司は、遥にいつ謝るかの目算をしていた。

遥とはクラスこそは同じである(一クラスしか無いので当たり前である)が、自分が遅刻であるのは確実、しかも、宿題を絶望的なくらいにしておらず、休憩時間中に宿題を片付けないと古典的ではあるが、廊下でバケツを持って立たされないといけない事に見舞われるので、帰るに謝ろうと決意した。

そんな決意をした折、丁度、高校についたのであった。

司は、休憩とばかりに高校を見上げた。

一階建の木造校舎、しかし土地は広大で東京ドームの半分くらいの広さを誇っていた。

その校舎の下駄箱に入ってすぐの所に、教室はあったのでイソイソとしゃがみながら入ってみると、司に向かって真っ白なチョークが粉を周りにまき散らしながら飛んできた。

それが、司の首にクリーンヒットし、司の首の横の部分に激痛が走った。

「痛っ!!!」

痛みで、首を手で押さえると、先生の怒鳴り声が教室中に響き渡った。

「こらっ!神鳴!お前はそこで立っとけ!」

司は、「はいっ!!」と言って立ち上がり、教室の後ろに並んでいるロッカーの前に立った。

今、司を怒鳴りつけ、チョークをなげつけた人物は、彼の担任の名前は、松野遊星という名前の日本史の教師であった。

「はいはい。分かりました!!!」

何となく俺はむしゃくしゃしていたので、もう一回、二回言ってみた。

彼が、二回返事した途端に、いつの間には松野がやって来て、司の頭を拳骨でどついた。

「はいは、一回で十分だ!!!」

「っ!」

痛ぇ・・・。この先生本当に加減って物を知らねぇよなぁ!!!はいをもっかい言わなかったら良かった・・・。

その後、数分経ってから、朝礼が終わって司は、ため息と共に席についた。

そこに、司の肩に張り手を食らわした奴がいた。

「おい!神鳴!お前何で遅刻したんだ!?」

彼に、とてつもない破壊力をもたらす張り手をくらわした声の主を司は、振り返った。

そいつの名前は、結城一樹と言う名前で、司の親友であった。

「あ~?寝坊だよ。寝坊・・・。」

司は、適当にだが、本当の事を答えた。

一樹はギャハハと、腹を抱えて、下品な笑い声を上げながら言った。

「お前アホだろ!その歳で寝坊かよ~!」

司は、ムッとなって、侵害だとばかりに言い返した。

「うるさい。お前に言われたくねぇよ。去年、毎日寝坊してたヤツに言われたくねぇよ!」

事実、彼は毎日寝坊で遅刻していた。

本当の事を言われて、自分にそんな事を言う権利がなくなった事に気づくと、一樹は顔を真っ赤にした。

「う、うるさい!ほっとけ!」

一樹は、その後も先生が来るまでペラペラと喋っていたが、司は、遥のいる方を見ていた。

遥は、司を見ていたようで彼が自分を見ていた事に気づくと、頬を少し赤く染めて怒ったように、ソッポを向けた。

あちゃぁ・・・。これは、本当に謝らないとヤバイかもしれない・・・。


☆★☆★☆


そうこうしてるうちに、予想通りに謝る時間は無く、なあなあと時間は過ぎていき、学校は終わった。

そして、帰りに遥を見つけると、司は彼女を捕まえると、謝った。

「おぉ~い!遥!朝はごめんな!」

遥は、まだ怒ってるようで、プイと顔を司から背けて腕を組んで言った。

「ふん!司のバカ!」

「怒るなって!謝ってるんだからよ!」

彼女はまだ怒っているようで、まだこっちを見ようとはしてくれなかった。

しかし、少しだけ気を許したのか、こっちをゆっくり振り向いた。

「分かったわよ。許してあげる!」

「本当か!?良かったぁ・・・」

遥は、腕時計を見ると、慌てて笑顔を作った。

「あ、もうこんな時間じゃない!!それじゃぁ、私急いでるから!また明日ね!司!」

「おぅ!また明日な!」

遥はそう言って、手を振って、急いで何処かへ走って行った。

司は、ホっと安堵して、彼女を見送ると、家へと向かった。

この時の司は、気づいていなかった。

昨日の幽体離脱で見たものが、全ての始まりであった事に・・・・。


☆★☆★☆


遥は、司と別れた後に、ガッツポーズをした。

良かったぁ・・・。

やっと司と仲直り出来た事に、遥はホっと胸をなでおろした。

実は、司に対しておこってしまった事に、少しながら罪悪感を感じた遥であったが、自分で謝る事は違うと思えたので、司が来るのを、ずっと待っていたのだった。

帰り際にやっと謝ってきたのには、少し腹が立ったが、謝ってくれて昨日から計画していた事を実行出来る事にホっとした。

「明日は、私が司と初めて会った記念日!!!明日、告白する・・・んだもん・・・」

遥は、ウンウンと頷いて決心すると、遥か上空を見上げた。

そこには、自分の決心に似合わないカラスが飛び交っていたが、彼女は、気を取り直して両手で拳を握りしめて決意の言葉を言った。

「よし、その記念のプレゼントを作るぞっ!熊のヌイグルミ・・・。そういう柄じゃ無いのわかってるけど、少しは、喜んでくれるかな?」

彼女は、そう言ってはにかむと、家へと駆けだした。

その時、そんな遥を見て、独り言をニヤニヤしながら、呟いている者がいた。

風貌は、真っ青な色で不健康そうな表情の顔の遥と同じくらいの年齢の少年で、司と同じ制服を着ていた。

少年は、もの欲しそうな目で遥を見た。

「ふぅ~ん。あの子、おいしそう・・・。よしっ、あの子から食べてやろうっ。」

少年はそう言うと、上空へと跳躍して、遥の走っていく先に飛び降りた。その距離、まさに200mである。

「だ、誰ですかっ。あなたはっ!?」

遥は、自分の前に突然、空から降って現れた少年に驚いて、恐怖と驚嘆の声を上げた。

少年は、さっきよりも下卑た微笑みを湛えると、遥にジトリジトリと近づいた。

「まぁね、そんなのどうでも良い事だよ。僕の名前なんて、君は知る必要は無いんだよ。君は、どうせ。僕に食べられるんだから!!!アハハッ」

遥は、その少年の言った言葉に拭うことの出来ない、体中の毛を逆立たせるような恐怖を感じ、叫びながら少年のいる方向と逆の方へ逃げ出した。

「いやあああああああああああああああああああ」

遥は少年は、さらに下卑た笑いながら、彼女を愉快そうな表情を浮かべて、あえて同じくらいの速度で追いかけて行った。

「アハハッ。逃げても無駄だよ?」

そんな少年の遥を追い詰める声は、彼女には届いていなかった。

とりあえず、部屋に入れば自分は安全なんだと思いこんで、必至に無我夢中に自分の家へと走った。

そして、由香里が家の前についた・・・丁度その時。

遥を追っていた少年は、ニコやかに微笑んでいたが、その微笑みが突然消え、つまらないという風な表情に変わり、とてつもなく眠そうな欠伸をすると、遥の目の前に瞬間移動した。

「もう、飽きたよ。でも、丁度もうゴールだしさ。じゃ、ちょっと、眠ってもらうねぇっ」

少年はそう言うと、遥の懐に一瞬で移動し、遥の、みぞおちをちょっとした力で殴って気絶させた・・・。

「うっ・・・。だ、誰か助け・・・」

遥は、あまり響かない声にならない呻き声を上げた後、助けを呼びながら、その途中で、その場で倒れ込んだ。

しかし、この村は、1000人の人口なのに広いのが、徒となってしまい、彼女と少年の光景を見る者は誰もいなかった・・・。

少年は、遥を肩に担ぐと、フウっと一息ついて、彼が今いる所の一番近くに目をやった。

「さてと。作業完了。とりあえず。この子を山小屋へ連れてこっ」

遥は、深い霧の立ち込める山の中へと、へズルズルその少年に、引きずりこまれていった――――――――。


☆★☆★☆


翌日となり、司は学校へと、何も知らないままに行った。

彼が、自分の席につくと同時に、朝礼の始まるチャイムが鳴った。

先生は、ガラっと教室の扉を開けて、重々しい空気を垂れ流しながら入って来た。

そして、先生は鎮痛な面持ちで言いにくそうに、重そうな口を開いて語り始めた。

「おはよう・・・え~、今日はお前らに報告がある。あ~、睦月が・・・。行方不明になった。」

この先生の言葉でクラス中が騒然となった。

遥は、クラスの人気者であるだけでなく、この高校の生徒会長もやっているからな・・・。

その分、ショックも多い上に、皆、びっくりしているのだろう。

この村では、家出やそういう関係の事は“ありえない”事になっており、自然と遥は“失踪”した事となっている。

家出でなく、失踪という事実がさらにこの騒然とした空気を助長させていた・・・。

この時、司は以外と何故か落ち着いていた。

遥とは幼馴染である彼は、他の者よりもショックであるべきであるのだろうが、なぜだろうか?あんまりショックを感じなかった。

この時、彼は薄々感じていたのだ。彼女が、死んでしまう事を・・・。

そして、その先で・・・・・・・・・・・・。


☆★☆★☆


「それって、いつからですか?」

誰かが、その騒然とした空気を破って、先生に聞いた。

司は、その人物を探したが、見つける事は出来なかった。

先生は、悲しそうに、そして悔しそうな表情で、その問いに答えた。

「昨日、学校を出てから家に帰ってないらしい。」

「そうですか。」

誰かは分からないが、そう答えると、先生は気を落ち着かせて、全員を見まわして全員を勇気づけるように言った。

「と言う訳だから、今から全員で、睦月を探しに行くぞ!!!!」

全員は、大声で返事した。

「はい!!!」

全員で、勢いよく遥を授業もそっちのけで探しに行き、さらには、街の人達までも総動員で探した。

夜中の1時まで探したのだが、それなのに遥が見つかる事は無かった・・・。

もしかしたら、誘拐ではないだろうか?という話も上がったが、ただし、身代金の要求もない。

司は、他の人と違い、何か恐ろしい何かに巻き込まれたせいじゃないのかと考え始めていた。

そう思うのは、どうかとも普通は思うものだろうが、この村は普通でない事が多い。

神隠しにあったのかもしれないと、司は無責任に考えていた。


☆★☆★☆


翌日の7月12日―。

この暑い夏ではありえない。何でこんな事がありえるんだ・・・。

司は、道端でボーっと立ちながら辺りをキョロキョロと見回した。

やっぱり、これは、見間違いじゃないな・・・。

そう思いながら、再び周りをキョロキョロと見まわした。傍から見ていると、とても挙動不審な状態である。

しかし、司にはそう思われている事など考える術も無かった。

なぜなら司の周りには、濃霧が立ち込めていたからだった。

しかも、それだけでなく、村中に濃霧が立ち込めていた。

何処を歩いても濃霧ばかりであった。

それゆえに、司には、周りにもし、人がいても気づく術が無いのだ。

それに付け加え、この司の周りに立ち込める濃霧は周りの人には見えないのだ。

他のおばさん連中が立ち話してる所を司は聞いていたが、明らかに霧があるというのに、「今日は晴天ですねぇ。」と言う人ばかりであった。

村の人間にとって、濃霧が村中に立ち込めるという事実は、一大事件である。

事件のないこの村で、こんな一大スクープを、わざわざ天気が良いと言って、現実逃避する訳が無かった。

この村は、なぜか司にしか見えないのだ。

司には、何かが好からぬ事が起こる予感がしていた。

考えてみると、遥が消えてからおかしな事が次々と起こり始めていた――――――。


☆★☆★☆


その時、山小屋の中で遥は、すやすやと気持良さそうに眠っていた。

そして、気だるそうにムクっと起き上がると、当たりを見回した。

「うぅ~ん、ここは・・・?」

遥は、寝ぼけた様子でそう言うと、目の前に誰かの足元が見えた。

「ん?誰か、いるのかな?まぁ、それよりも、まだ眠いし寝よう。おやすみなさい。」

そう言って、遥は起きてすぐであるのに、何の危機感も感じずに、普通に二度寝をし始めた。

そこに少年が、完全に姿を表して、いつもの下卑た笑みを浮かべた。

「ウフフフフ。君が最初のご馳走だよ。おいしそうだね。いただきまぁ~す!」

少年が遥の胸の辺りに手を突っ込むと、そこから血しぶきが、勢いよく噴水のように噴き出し始めた。

そして、少年は手に臓器も何も持っていなかった。

手に持っていたのは、不思議な光を宿す彼女の地でベットリと濡れた何かであった。

それは、彼女の魂であり、少年は彼女の魂を食べようとしているのだった。

少年の正体は、悪魔であった・・・。

この悪魔によって惨劇の幕が開く―――――――。

数日後、遥は彼女の家の前に帰って来た。

冷たく、硬く、白い姿になってしまっていた。

そう彼女は、物言わない屍になってしまっていた。

そして、霧はもっと深くなってゆくのだった・・・・・・・・・。


さて そんな訳で始まりました(;・∀・)

この話は、結構ハードです。最初は、惨劇というだけあって死人たっぷりです。

その死人も結構、重要ですし、今の所 伏線がすっごい量入っています。


今後の展開で、伏線出したり回収したりの押収ですが、最後まで頑張って書いていきたいですね(;・∀・)


ちなみに次回の更新予定は 土曜日くらいです!!

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