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Red Blue~灼碧の瞳~  作者: 麦畑葉月
始まりの刻-。
12/13

第一部 第五話 黄泉返り―。③

ホラー要素の方が多いように感じるストーリーはまだ続きます。

もうちょっと頑張れば、完全にファンタジーになるはず・・・。

それまで頑張ります・・・。

7月24日。



 暗闇だ。暗闇が広がっている。その中に、一筋だけ光がほのかに光っているが、その光を見た瞬間、司の背筋は何故だか凍りついた。何かがおかしい。それ以前に、この光からは恐怖そのもののような気配を感じた。

 


「ここは一体・・・」


 司は辺りを見回しながら呟いたが、その答えは頭の中に出ていた。ここは、夢の中だ。この夢は、母さんが出てきた夢などと雰囲気がかなり似ていた。違うのは、ここにあるのは冷たい“何か”である事実だけであった。


 「違う・・・。そこに行きたくない。」


 司はどういう訳か体が勝手に動いた。声に出して、嫌がったが母さんが出てきた夢と似ているのか、自分の動きは全く止まることはなかった。それどころか、じわじわとその嫌な光のところへと近づいて行った。光の先には、地面に横たわっている男と、その男の隣で、座ってうつむいて男の首筋に自分の顔を近づけている男の子がそこにいた。

 どうやら、これが光の正体らしかった。横たわっている男の隣にいるのは、顔も見えないのにどういう訳か、すぐに分かった。“御霊”だ。奴が、あの男の人の首すじに向かって何かを呟いている。



「クスクス、おいしそう、いただきます。」


 御霊は、そう言うとその瞬間、男の首筋に唇をつけた。司の身体は更に二人に近づいて行った。行きたくない。そっちじゃない。心はそう思っているのだが、身体はどういう訳かどんどんと二人に近づいて行った。

 近づいていくと二つのことが分かった。御霊は首筋から何かを吸いこんでいる。それは、様々な色で構成されていて、虹のようなものが男の首筋から流れ出ていた。司は直観的に、それが魂であることに気付いた。いけない止めさせないと。しかし、こんな時に限って体は全く動かなかった。この見ている情景が夢であることが歯痒かった。


 「やめろ・・!!」


 試しに叫んで見たが、全くあの二人には聞こえていなかった。これは今現在、ちがうところで起きている出来事だ。本来、これは俺が見ているべきでないものなのだろう。司の頭の中は先ほどから、連続で次々と直観が頭の中に過ぎっていった。

 それに、あのされるがままに魂を吸われている男を司は知っていた。高校の近くに住んでいる瀬戸明という男だ。確か妻も子供もいて、両親とも一緒に暮らしている。子供が望と同じ歳で友達だったはずだ。そんな彼の顔は普段からあがり症なのか、真っ赤な顔をしていたが、その顔はどんどんと白に変わっていった。



「み、御霊・・・。やっぱり、お前がこれの犯人なのか・・・。どうして人の魂を・・・。どうして遥を殺した!?一樹もお前か!!!?どうして!!!!」


 司は必死に体を動かそうと躍起にながら、思いの丈を叫んだが全く彼から返事は返って来なかった。当たり前だ。返ってくる訳がなかった。でも答えを聞かなくても、こいつが犯人であることは分かった。ただ理由だけは分からなかった。御霊は最後の一吸いをしようとしている。



「やめろ!!!!!!!!!」


 しかし、その声はやはり届かない。それと引き換えに遥か上空から誰かが自分を呼んでいる声が聞こえた。



「兄貴~。兄貴~。起きろ!」



 その声の主はすぐに分かった。望だ。これは夢なんだ・・・。早く起きなければ・・・。




 どういう訳か目を覚ますのは容易に出来るようだ。一瞬で目を覚ますと、バっと勢いよく身体を起こした。起きたせいで、自分の真ん前に望の顔があった。もうすぐで男同士で初めてのチューをしそうになっていた。急いで望の顔の真ん前から自分の顔を離した。


 「ど、どうした???何かあったか???」


 どういう訳か恥ずかしくなって顔が熱くなったせいか、咄嗟にそんな質問が口からあふれ出てきた。「おはよう」という全国民の朝の定番のご挨拶がバカみたいに言えなくなっていた。俺は、弟に恋するホモ男じゃあるまいし、何でこんな反応をしているんだ。そう考えると、自然と恥ずかしい気持ちは消えていった。それと同時に、そういう訳か望はホっと胸をなでおろしていた。


「兄貴やっと起きたか!一時間も前から起こしてるのに目覚まさないんだ。めっちゃ心配したよ!!!もうすぐで救急車を呼ぶところだったよ!!!」

「俺はそんなに寝ていたのか?今、何時だ!?」


 司が聞くと、望はそのことを忘れていたのか、急いで自分の腕時計を見た。その瞬間、望の顔は「やべえ」と今にも言いそうな顔になった。


「えっと・・・。4時・・・。朝の・・・。」

「・・・は・・・?」


 そりゃぁそんな時間だと、1時間起こされても起きないやつは起きないだろうよ!!!そう言ってやりたかったが、その前に望は弁明するように口を開いた。


「ち、違うんだよ!!!え~と、言いにくいんだが隣の家の松野さんと瀬戸さんが死んだそうだ・・。死因は、ここ最近のと同じらしい。それで、今から通夜と葬式の両方をやるらしいんだ。だから、兄貴にも着いてきてほしいんだ。」



 望の表情はどんどんと沈痛な面持ちに変わっていった。そんな顔をされては、何もいうことができない。それに、司が見た夢の瀬戸さん以外にも、松野さんが御霊に殺されているらしい。もしかすると、家族全員やられているのかもしれない。瀬戸明さんは、きっと一番最後に殺されたのだろう。そんなことを考えていたせいで、返事をするのを忘れていたせいか、いつの間にか目の前にいた望は消えており、部屋の出入り口の辺りから制服が投げつけられた。



「まだ頭が寝てんのは分かるけどよ!早くそれに着替えてくれよ!それじゃ、俺は先に下に降りて玄関で呼詠観と待ってるぞ!」


「お、おう・・・」



 司はそう返事すると、先ほどまで考えていたことはいったん忘れることにして、急いで制服に着替えて二人の待っている玄関まで走って行った。





神鳴司が喰われるまでの人数―。

978人―。

喰われたのは―。

14人―。


次回は明日にでも更新します(-_-;)

遅くなってすいません<m(__)m>

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