第一部 第五話 黄泉帰り―。①
第五話始まります<m(__)m>
長い事書いてませんでしたが、書いてゆきます(;・∀・)
「深淵とは深き所―。神は深き深淵に住む者―。
深淵に住む者はそれぞれの事象を、使う事が出来る者である。
だが、深淵に住む者。神にも出来る事があると同時に出来ない事がある。
もし、出来ない事を行えば理・事象は崩れゆき・・・。
世界は崩壊するだろう。
そして、崩壊する日はいつか必ず起きる。
悪しき深淵の者により―。
それを止めるのは深淵の者には出来ない。
出来るのは・・・。
深淵の者共から産まれる。
人のみである。
人らよ-。深淵の子らよ-。
汝ら、人が希望を持てば、暗闇は包まれ光が世界を照らすであろう-。」
大和村の真夜中に、何故かある灯台の天辺に建てられた鉄の柵の上に、一人の少女が、両足を器用に乗せて立っていた。そして、この世の何処にも存在しない歌詞の歌を歌った。その歌は、ミュージカル映画にある、セリフのような歌であった。そして、彼女の歌声はとても美しく少女がとても出せるとは思えないような声であった。そんな歌を歌う少女の表情は、何処か暗い影がさしていた。少女は、歌を歌い終わると、遥か上空をまるで睨みつけるかのように眺めた。
「この見られている間隔、どうにかならないのかな。気持悪いです。それにしても、誰とは言わないけれど、余計な事をしてくれました。この場所の中に侵入するのが間にあって良かった。」
少女は、大きなため息を吐くと、灯台の柵から前へ体を傾けて、地上へとまっさかさまに落ちて行った。そして、普通の人では出来ない事をやってのけた。それは、灯台は10Mを超える高さであるが、それから落ちるだけでもすごい事であるのに、地上への着地を華麗にやってのけたのである。そして、彼女は何処へとも分からない所へと歩き始めた。その行き先は、神鳴家の家の前であった。灯台からここの家までは、歩いて150歩くらいの短い距離なのである。そして、彼女は家の前で突然歌を歌い始めた。
「ハンプティ・ダンプティ塀の上
ハンプティ・ダンプティ落っこちた
みんながどんなに騒いでも
もうもとへは戻らない」
今度、少女が歌った歌は、イギリスの民謡のマザーグースの歌であった。彼女の今度の歌声は、先ほどの綺麗な歌声とは打って変わって、悲しげな震えがあるのを少しばかり感じるが、民謡らしい明るい子供のような歌声で彼女は歌った。まるで、自分と重ね合わせているかのように、彼女の魂のすべてをさらけ出しているような切実さも感じられていた。
「ハンプティダンプティは助からなかったけど、今さっきの私は助かったわね。でも、さっきの私みたいに、次の私が助かる事はあるのかしら・・・?体は助かっても、心が助かる事があるのかしら?この私、御子の心が・・・・・。」
彼女はそう呟くと、スウっと暗闇に溶けて行った。いったい彼女がどうしてこの場にやって来たのかは、後々分かる事となる-。
☆★☆★☆
7月23日。
司は、今日から夏休みであるという事実を噛みしめていた。これで御霊に会えると思うと、心の底から希望の光が輝いてきているように感じた。安心感で胸がいっぱいになる。
この村のアチコチで殺人は続いているらしい。これまでにすでに、30人程死んでいるらしい。司が知らなかった人物も死んでいると聞いていた。自分がいつか殺されるのかもしれない。そんな恐怖から逃げる事が出来る日が出来るのだろうか。もし来た時は、自分が死んでいる日であると司は感じた。しかし、弟と妹だけでもどうにかして、逃がしてやりたかった。あの御霊にも弱点があるのはずだと司が思っていると、ふとある事実に気づいた。
御霊が家族とこの村に来ていたという事だ。家族は、どんな人物なのか?司は、それを知っている気が何故か心の中でしていたが、何故かは分からない上に、その家族の顔を思い浮かべる事は無かった。気になってはいたが、そればかりを考えていても仕方が無いので、それについて考える事を止めた。
そして、新しい事に目を向けた。この村の不振な点についてであった。この村の人達は、この村で起こっている事柄には気づいていない。それ所か、その事柄の要因に自ら近づいていた。どうしてなのであろうか。まさか、村ぐるみで俺たちを・・・。そんな事を考えてみたが、ありえない事なので、その考えを司は一蹴した。
司は、それと同時に机の上に転がっている最悪な物体の塊を忌々しげに見つめた。そこには、夏休みの山が築き上げられていた。見ているだけで、怒りが込み上げてくる。これを片付けないといけない。そう思っていると吐き気が込み上げてくるのだが、やらないといけないのだから仕方が無い。
「えぇ~と」
そう言って司は、宿題をザっと見回した。
「おぉ~~~~~~~いぞぉぉぉ。多すぎだああああああああああああ」
司は、あまりにもの宿題の多さに叫んでしまった。ついつい、その後溜息を吐いてしまう。
「こんなに多いとは・・・まずは・・・。ぇ・・・」
司は、その中にあった一番手元の近くにあった宿題表の一番上を見て、驚きで目が点になった。そこには、小説を書けと書かれていた。しかし、勿論こんな変な宿題をする訳が無い。
「小説を書くって・・・。変な宿題だなぁ。誰の仕業だ・・・。」
この変てこな宿題について頭を悩ませている司の部屋に誰かが侵入してきた。そして、クスクスと笑いながら司の背後にソロリソロリと近づいて来るのだった。
ここで、ちょっと変わった新キャラの登場です(;・∀・)
この子は、死ぬほど重要なキャラなので、ちょいちょい出てくると思います。
後、司君。この宿題にも意味があったりしますので、その理由とか考えてくれたら面白いかも・・・面白くないかも・・・しれません(;´Д`)