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Red Blue~灼碧の瞳~  作者: 麦畑葉月
始まりの刻-。
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第一部 第一話 とある空間にて①

ここでは、まだ主人公でないんですいませんが、あしからず(;・∀・)・・・。

とある空間があった。

そこでは、真っ暗な暗闇が広がっており、その中で一か所だけぼんやりと光りが当たる場所がある。

その場所には、チェステーブルが置かれており、その前に置かれた椅子には一人の真っ白なローブで身を包んだ、真っ黒で長くウェーブのかかった髪を持つ男が腰かけていた。

男は、普通のチェスの駒とは一風変わった駒を手でいじくりながら、ため息を吐いた。

男は憂鬱な面持ちであった。

その理由は、自分の目の前に二人の男女が座っているからであり、またその二人が沈黙を続けているからだっだ。

その二人のうち、男は山高帽をかぶっており、ジェントルマン風の恰好をしていて端正な顔立ちをしていた。

その男に関しては良いのだが、山高帽をかぶった男の隣に腰かけている、真っ赤なワインドレスに金髪のロングの髪をなびかせている女の方は、この男は苦手としていたのだった。

それはもう見ているだけで、イライラを感じてしまうくらいに苦手であった。

「それで???お二人様。ついに始まる物語の門出に何の用なのかな?ただ見に来たのか・・・?それとも、邪魔でもしに来たのかな?」

男は二人が沈黙し続けている事に我慢できなくなり、そう切り出した。

すると、女がホっとしたように息を吐くと、せきを切ったかのように話し始めた。

「あぁ良かった。もう喋っての良いのかしら?良いのね。ありがとう。

さっきのあなた、すっごくイライラしてたようだから、ず~っと我慢していたのよね。これでも我慢してた方なのよ?いつもの私にしては、黙っていた方でしょ?だって、いつもの私だったら、1分も沈黙を守り続けるとか無理だったわね!!!多分、実行しようって考えただけで、ゲボが出そう。あ、今のは失言ね。失敬~。それにしても、やっと始めるのかしらね?この物語の第2章を!!!!」

その声には、艶やかで妖艶な響きがあった。

普通の男なら彼女に話しかけられるだけでも、どうにかなってしまうというくらいの声であった。

しかし、二人の男はやや“特殊”であるがために気にしなかった上に、女は興奮しているせいなのだろうか、無駄に長い話を弾丸のようにしたので、その声にはその魅力は半分以下になっていたのだった。

と言うよりも、その魅力は全くなかったと言ってもいいのかもしれない。

女がそんな声で、話し続けているのを黙って男は耳を傾けて聞いていたが、最後の言葉に顔を盛大にしかめた。

それに女は気づき、弾丸のように言葉を放つのをパタっとやめると、ジっと男を見つめて様子を見てから尋ねた。

「ねぇ。私の言った言葉に気にさわる言葉でも混じっていたかしら?もしそうなら、正直に言ってほしいのだけれど・・・。

私、こういう喋り方の人だから。あなたに口をはさむ事を許せなかったし、止まる事が出来なかったのよ。この口が全て悪いんだわ。本当に私の口って罪な口ね・・・。

人を苛立たせる事も出来るし、誘惑する事も出来る。あぁ、私って罪な女。」

「あぁ・・・。そうだな。君は、本当に苛立たせるという事実に関しては、認めようではないか。

しかし、君が罪な女であるという事実はあまり認めたくは無いがね。だいたい、君が罪な女である事など、私には、関係がないのだよ。

関係があるのはだね、君が言ってしまった、第2章って所にだね・・・。

私からすると、それは序章であり、第1章では無い。さらに言わせてもらうと、私はそれを序章にするつもりも無いのだよ。それはただの下準備なのだよ。

今から始まる物語・・・。それが、序章だ。そこは、間違えないでほしいのだ。」

女は男の見せたこだわりに目をパチクリさせて、その後、アホらしいとばかりに盛大なため息を吐いた。

「相変わらずあんたって、こだわりが多いわね。だから、あんたは童貞なのよ。あ、違った。童貞じゃなかったわね。確か2000年前以上前に童貞は卒業してたわね。あぁ、これもまた違うわね。あんた一回死んで復活しているから、復活してからは童貞だったわね。失敬失敬。まぁ、とりあえず・・・。あんたは、そんなんだから童貞なのよ!!!言いたいのはそれだけ。」

女が話し始めてからも沈黙を守っていた隣の男は、女の繰り出す「童貞」発言が次々と出る度に、こらえきれずに、ククッと笑った。

その一方、無駄なくらいに「童貞」呼ばわりされた男は、どうでも良いとばかりにその間、駒をいじっていた。

そして、女を冷酷な瞳でキっと睨み、見下すような表情を女に見せつけた。

「言いたいのはそれだけかな?私がそんな事をした理由は君にも分かっているとばかり思っていたのだけどね・・・。とある女との童貞喪失の行為を帳消しにしたかったからなんだよ。そのために裏切り者を出したのだからね。それは、どうして起こってしまったのか・・・。知らない君ではあるまい??マリアよ。」

男のその言葉に、グっと息を詰まらせたマリアと呼ばれた女は、瞳をうるませるとワっと泣き出して、その場からスウっと姿を消したのだった。


☆★☆★☆


マリアが大粒の涙を床に撒き散らし泣きながら消えてしまうのを見送ると、男は、フンと鼻を膨らませた。

「あの女狐め。話しているだけでイライラさせてくれるな。まぁ、この私に対して、ここまでの影響力を持つ女もアレと母上くらいなのだろうがな・・・。そうは思わないかな?ユダ殿?」

男が、冷たさを感じさせる声で言うと、目の前に座っているユダと呼ばれる男に話をふった。

話をふられたユダは、クスクスと忍び笑いをもらした。

「そうですな。あの女は、あなたを唯一揺さぶれる女の一人でありましょうな。私は、あの女を会話するのは苦手ですな。あの女は魅力の塊だ。我慢出来るだけであって、あの女の前では我慢したくなくなるものですしな。

そして、母上様ですかな・・・。あのお方には、私は本当に頭が上がりませんよ。何とか言ってくれませんかね。あのお方に“あの事”を許してもらえるように・・・」

ユダが嘆願の声を上げてそう言うと、男は馬鹿にするように、また愉快そうにフっと笑う。

「何の事かな。ユダ殿?私には、言っている事の意味が皆目見当がつかないな。」

「何の事ですと!?冗談は止めていただきたい!」

ユダは驚いた顔をした後、怒ったような顔になった。実は口元に蓄えられている口髭もピクピクと動いている。

「あのお方には、あなたしか口を出せませんよ!!!父上様の方は、私には身分がお高い人すぎて頼む事も出来ない!!!あなたにしか、頼めないのです!!!!

あぁ・・・。あの方に、私は何回殺された事やら・・・。」

「殺された?それは、おかしいな。我が母上は人を殺せない者であるというのに。」

男が愉快そうにそう言うと、ユダにとってそれは、愉快な事ではないようで、体をブルっと震わせて、キッと男を睨みつけた。

「冗談じゃない!!それよりも、あなたもあなたでしょう!!!!

あの女には手も足も出ないでしょうが!!!!あなたが出せるのは口だけでありましょう!!!!

あの方は、あなたの・・・!!!」

ユダがそこまで言うと、突然彼は、しゃべるのをやめた。

男から漂う只ならぬ妖気を感じたからであった。

本来、この男からは漂ってはいけない物が漂っている事に、ユダは自分が話してしまいかけた事の事の重大さに恐怖し、自分を落ち着かせようと、ゴクリと唾をのみこんだ。

しかし、まだユダは気が収まらず、話を再開させた。自分の身の危険を顧みずに・・・。

「あれは、あなたにとって、とても恐ろしい者と思われますが?キリスト教の神の子イエスの妻とも言われ、また娼婦と下げずまれた女・・・。マグダラのマリア・・・。あなたは、あれに手を出す事はおろか何をする事も出来ない。なぜなら、誓約を立てているからであろう!!!!」

男は、ユダの言った事を辛抱強く待ってから、フっと自嘲する笑みを浮かべると、妖気を自らの意思で納めると、自分を抑えるための事もあってか、ユダの前にコップを出してお茶を注いだ。

「すまないユダ殿。私は、あの女にはどうにも揺さぶられてしまう・・・。あの女の話が出るだけで、私の何かが変わっていくのがわかるのだ。ユダ殿。汝は、知らないだろうが・・・。あの女は、私の秘密をすべて持っている。それだけの関係であったからな・・・。」

ほとんどすべてを話したユダは、彼の話を落ち着いて聞いていると、なぜだか笑みがこぼれた。

しかし、それと同時にこれからの事に恐ろしい事が待っているかもしれないという恐怖感を感じた。

「なるほどなるほど。大変ですな・・・。私には、見守る事しかできませんが・・・。まぁ、頑張ってくだされ・・・。」

男は、照れくさそうに頭をかくと、腕を上空に向けて、指をパチンと鳴らした。

そして、男は気が狂ったのように、この空間に響き渡るほどの大声で笑った。

ユダはいきなりの事に、よく分からず首をかしげた。

男は、ひとしきり笑い終えると言った。「いやいや、すまなかった。」

「まさか、あの女が噂をしていたら、また来るとは思っていなかったのだ。本当に笑わせてくれおる。」

ユダはようやく、彼がなぜ笑ったのかを察した。

しかし、それもやはりユダには恐怖を感じるものであった。

「なるほど・・・。噂をしていたら、現れたのですな。マリア殿が・・・。」

「あぁ・・・。」

ユダはここまで話して、そして、男が頷くのを見て、ようやく自分が感じている恐怖の理由がわかった。

この男が、妖気を発するはずで無いのに、妖気を発した理由が、マリアという存在のせいである事を理解したからであった。

それは、この男がマリアと出会えば出会うほどに、いけない方向に進んでいってしまう事を示している。

これから始まる物語にも、大きな支障をきたしてしまう事が彼の目には明らかであった。

しかし、彼には男にそれを言う勇気は無かった。

言ってしまったが最後、彼はさらにいけない方向に変わっていくと思えたからだった。

ユダは、慎重に言葉を選びながら、話を変える事にした。

「そうですか。そして、あの女を結界で締め出したのですね。たった今。」

男は、ただただニヤニヤと笑いながら頷いた。

「締め出したという事は、ここに来てほしくはないという事ですな。っていう事は、そろそろ始まるのでしょうな。物語が・・・。」

男は、その途端に顔を真面目な表情に戻すと、頷いた。

「もう始まる・・・。だから、もう行ってくれないかな?

始まりは、一人で見たいのだ・・・。

全ての始まりの惨劇はな・・・。」

ユダは、彼の考えている事を理解すると、素直に頷くと、彼はその場から一瞬で姿を消した。

男は、この暗い空間にポツンと一人になると、フっとまた自嘲気味に笑った。

そして、また指をパチンと鳴らした。

すると、彼の前に画面が現れ、何処か森に囲まれた村の映像が現れた。

地球の何処かと思われるが、それは地図上の何処にも存在する事自体がありえない物であった。

男は、チェス机の一番端の黒の部分を押すと、そこからテレビのリモコンのようなものが現れた。

「さてと、そろそろ始めようか・・・。この物語で、私の運命を左右するような、とても大事なのが産まれる。そして、同時に邪魔な者も生まれるが・・・。」

そう言って、男は忌々しそうに顔をゆがませた。

男は、リモコンを画像に向けて掲げて、ボタンを押すと、映像が今度はその村をさらにズームして、村の中の一つの家屋が現れた。

その家屋の部屋の中で寝ている少年を見て、男は憎々しげにその少年を見つめた。

そして、少年を見ながら、「灼碧の瞳を持つ・・・。救世主―メシア―が・・・。」とポツリと呟いた。

そして、映像はさらにズームされて、その寝ている少年の寝顔がアップで映し出された。


Red Blue~灼碧の瞳~Ⅰ 瞳・覚醒―。 始動―。

今回は、主人公は出ませんが、次の更新から出ますので、読んでくださった方はお楽しみにしてください( ー`дー´)キリッ

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