#平和
テレビのニュースが流れる。
「日本政府が新たな高効率エネルギー源の発見を発表してから十数ヶ月、いくつかの国は日本のエネルギー源を求め、日本との衝突を繰り返してきました。」
映像には、巨大な発電施設や研究室、そして艦隊や軍用車両の映像が交互に映る。
「このエネルギー源を利用した新たな産業や軍事技術の革新が期待されています。」
女性アナウンサーの声が部屋に響き、画面の光が窓の雨粒を際立たせる。
「……父さん、なんで日本はいい物を見つけたのに他の国から攻撃されてるの?」
父親はリモコンでテレビの音量を下げながらソファに腰掛けた。
「なんでだろうな、いつの時代も新しい物を手にした奴は妬まれるもんさ。」
そう言うとコーヒーを一口飲む。
「お前だって友達が新しいおもちゃを手に入れたらいたら羨ましいだろ?
たまにそのおもちゃを無理矢理、奪おうとする奴もいる。結局、子供同士の喧嘩と変わらないのかも知れないな。」
悲しそうな顔をしながらそう言った。
「リク、、平和ってのはなんだと思う?」
「、、、戦争が無い世界の事?」
少年の声には戸惑いと怖さが混じっていた。
父親はゆっくり息を吸ってから低い声で答えた。
「平和ってのはな、人によって違うんだよ。」
少年は首を傾げる。
「ある人にとっての平和は、戦争が起きない世界かもしれない。
でも別の誰かにとっては、強く支配されていることが平和だったりする。
結局、どの立場で世界を見るかで、平和の意味は変わるんだ」
「じゃあ全員が平和になる世界はあり得ないの?」
少年は手をぎゅっと握った。
父親は肯定も否定もせず、ただ頷く。
「父さんにとっての平和って何なの?」
少年は父親の顔を見ながら聞く。
「ただ、お前や、俺の大切な人が幸せに生きていく事が俺にとっての平和さ。」
そう言って少年の頭をくしゃくしゃにし、しばらくそのまま2人は静かに座っていた。
ドンドンドン、ドンドンドン




