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ラウンド2・後半:戦場を支配する閃き〜奇策と機動〜

(スタジオ内。ハンニバル殿の語る奇襲と機動力、諸葛亮殿の語る心理戦。奇策の魅力が語られた一方で、あすかは別の側面にも光を当てる)


あすか:「敵の物理的な隙、心理的な隙を突く…奇策の威力、恐るべしですね。しかし、諸葛亮殿。(諸葛亮に視線を向ける)先ほどの『空城の計』、もし敵将・司馬懿しばいが罠を疑わず城内に入っていたら、どうなっていたのでしょうか?奇策には、常に大きなリスクも伴うのではないでしょうか?」


諸葛亮:「(静かに頷き)仰る通りにございます。奇策は、いわば諸刃の剣。成功すれば大きな戦果をもたらしますが、一度ひとたび見破られれば、味方の壊滅を招きかねませぬ。故に、用いるには、敵の性格、状況、そして天の時までも見極める、深い洞察と、万が一の際の備えが必要不可欠。そして何より…」


(諸葛亮、少し声を潜める)

諸葛亮:「大義に基づかぬ奇策、人を欺き陥れることのみを目的とした策は、たとえ一時的に成功したとしても、必ずや人心を失い、天の怒りを招きましょう。策を用いる者の『心』が問われるのでございます」


あすか:「策を用いる者の『心』…なるほど。奇策には倫理的な側面も伴うのですね。カエサル殿は、この奇策のリスクと、その使い方について、どのようにお考えですか?」


カエサル:「(腕を組み、自信ありげに)リスクは当然ある。だからこそ、奇策だけに頼るのは愚か者のすることだ。重要なのは、奇策をも活かすことのできる『総合力』だよ。私の戦いを例に挙げようか。アレシアの戦いだ」


(あすか、クロノスを操作。壁面にアレシアの戦いの状況を示す図が表示される。籠城するガリア軍と、それを包囲するローマ軍、さらにその外側に布陣するガリアの援軍。そして、それらを隔てるローマ軍の二重の包囲網)


カエサル:「見ろ。内にはウェルキンゲトリクス率いる精鋭、外からはガリア全土から集まった数十万の援軍。まさに絶体絶命の状況だ。敵は当然、内外からの挟撃という『奇策』で我々を破ろうとした」


あすか:「うわぁ…これは、どう見てもローマ軍が不利ですね…!」


カエサル:「だろう?だが、私はこれを予期していた。だからこそ、この堅固な二重の包囲網を築かせたのだ。内向きの防壁で籠城軍を抑え、外向きの防壁で援軍の攻撃を防ぐ。まさに『正攻法』の極みだ。そして、我がローマ軍団の規律、訓練、そして何より優れた工兵技術があったからこそ、この巨大な土木工事を短期間で完成させ、内外両面の敵の猛攻に耐え、最終的に勝利を収めることができたのだ」


(カエサル、図を指しながら力説する)

カエサル:「奇策はスパイスのようなものだ。それ自体は有効だが、料理の味を決めるのは、しっかりとした素材と調理技術、つまり『正攻法』の力だ。状況に応じて奇策も用いるが、基本となるのは周到な準備と揺るぎない組織力。それがあって初めて、奇策も真価を発揮する」


あすか:「なるほど!奇策を破るための、あるいは奇策を成功させるための『正攻法』、そして総合力…!深いですね…!孫武殿は、この奇策と正攻法の関係について、どのようにお考えでしょうか?」


孫武:「(カエサルの言葉に静かに頷き)…およそ戦いは、せいを以て合い、を以て勝つ。故に善く奇を出す者は、きわまり無きこと天地の如く、きざること江河こうがの如し」


あすか:「正を以て合い、奇を以て勝つ…?それはどういう意味でしょうか?」


孫武:「正兵せいへいとは、敵と堂々と対峙する部隊。奇兵きへいとは、敵の意表を突く動きをする部隊。この二つは、互いに補い合い、変化を生み出す源となる。奇は正を生み、正は奇を生む。循環してはじまり無きが如し。どちらか一方に偏るのではなく、状況に応じて奇と正を自在に使い分け、敵の虚を突くところに、勝利があるのだ」


あすか:「奇と正は対立するものではなく、互いを生み出し、循環するもの…!まさに、カエサル殿のお話にも通じますね」


ハンニバル:「(少し口元を歪め)…理論としては、その通りかもしれん。奇と正の使い分け、準備の重要性も認めよう。だがな、(指を鳴らし)戦場の好機は一瞬だ。どれほど周到に準備し、奇正の変化を理解していても、その『一瞬』を捉え、躊躇なく決断し、行動に移せるか。その速さと大胆さこそが、実戦では何よりも重要だ。机上の計算だけでは、勝利の女神は微笑まんぞ」


(ハンニバルの言葉に、カエサルも諸葛亮も、そして孫武も、それぞれの表情で何かを考えている様子)


あすか:「(興奮冷めやらぬ様子で)ありがとうございます!ハンニバル殿の指摘する『速さと大胆さ』…これもまた、奇策を成功させる、あるいは戦場で勝利するための重要な要素ですね!」


(あすか、クロノスに表示されたラウンド2のキーワード「奇策」「機動力」「心理戦」「リスク」「総合力」「奇正相生」「速断」などを指し示す)


あすか:「いやはや、ラウンド2、凄まじい議論でした!敵の意表を突く『奇策』。その源泉には、大胆な発想、機動力、心理掌握がありました。しかし、奇策は諸刃の剣であり、周到な準備や組織力といった『正攻法』、そして奇と正を自在に使い分ける『柔軟性』があってこそ真価を発揮する。そして、その全てを実行に移すための『速さと決断力』も不可欠…。戦略とは、本当に多様な要素が複雑に絡み合っているのですね!」


あすか:「しかし、どれほど優れた作戦も、それを考え、実行する『人』がいなければ始まりません。そして、その人々を動かし、国全体を勝利へと導くためには、また別の力が必要になるのではないでしょうか?」


(あすか、意味深な表情で対談者たちを見渡す)

あすか:「次のラウンドでは、いよいよ『国を動かす知謀』、すなわち政治や外交、そして人心掌握といった、より大きなスケールの『策略』について、皆様のお話を伺いたいと思います!」

(次ラウンドへの期待感を高める、ややシリアスなBGMが流れ始める)

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― 新着の感想 ―
 あ~あ、やっぱりハンニバルが浮いてる。  天才と馬鹿は紙一重。この人は馬謖に近いのか……。
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