オープニング
(暗転した空間に、激しい戦闘シーン、緻密な作戦図、歴史上の人物の肖像画などが次々と映し出される。緊迫感のあるBGM)
ナレーション(重厚な声):歴史は勝者によって紡がれる。だがその陰には、常に卓越した知謀があった。ある者は、兵法の理を説き、戦わずして勝つ道を求めた。ある者は、類まれなる機知で、強大な敵を翻弄した。ある者は、不屈の闘志で、不可能とされる道を切り開いた。そしてある者は、軍略と政治を操り、巨大な帝国を築き上げた。
(BGMが静まり、問いかけるように)
ナレーション:もし、彼らが…時代と国境を超え、その知恵をぶつけ合ったなら…?歴史を変えた「策略」の真髄が、今、明らかになる。
(番組タイトルロゴが大きく表示される)
【スタジオ】
(明るい照明に切り替わる。未来的なデザインと古代の意匠が融合したスタジオ。壁面には電子的な光で描かれた世界地図や歴史的建造物のシルエットが浮かび上がる。中央の床には番組ロゴ。コの字型に配置された重厚なテーブルには、まだ誰も座っていない)
(スタジオ中央に、軽やかな足取りで司会のあすかが登場。手には半透明のタブレット「クロノス」を持っている。可憐な笑顔でカメラに向かう)
あすか:「皆さん、こんばんは!時空を超えた知の祭典、『歴史バトルロワイヤル』へようこそ!物語の声を聞く案内人、わたくし、あすかがご案内します!」
(あすか、クロノスを操作する。タブレットから柔らかな光が放たれ、スタジオの壁面に映像が投影される)
あすか:「さて、今宵のテーマは…『策略・作戦』。ただ力でねじ伏せるだけじゃない。時には相手の心を読み、時には時代の流れを創り出し、時には不可能を可能にする…そんな、深遠なる知恵の世界です。クロノス、ちょっと見せてくれる?」
(クロノスが反応し、壁面に「孫子の兵法」の一節、チェス盤のイメージ、複雑な回路図のようなグラフィックなどが次々と表示される)
あすか:「うーん、考えるだけでワクワクしますね!そして今夜は、このテーマを語り合うのに、これ以上ない方々をお呼びしています。まさに、歴史に名を刻む『策略』の巨人たち!さあ、クロノス、時空の扉を開いて!」
(あすかがクロノスを高く掲げると、スタジオ奥の空間が歪み、眩い光と共に円形の『スターゲート』が出現する。ゲートの中心が渦を巻き始める。壮大な効果音)
あすか:「(期待に満ちた声で)まずはこの方!その教えは二千五百年を超え、今なお輝きを失わない!兵法の祖、伝説の軍師!孫武!」
(スターゲートから、厳かな雰囲気を纏った孫武が登場。古代中国の簡素だが品のある衣装。静かに周囲を見渡し、ゆっくりと歩を進める。厳かなBGM。あすかに一礼し、指定された席(向かって左端)に着く。その佇まいは、まさに賢者)
あすか:「続いて!劉備玄徳の三顧の礼に応え、その生涯を蜀に捧げた稀代の軍師!天下三分の計を描いた臥龍!諸葛亮孔明!」
(スターゲートから、白い羽扇を手にした諸葛亮が登場。知的な雰囲気を漂わせる道士風の衣装。落ち着いた様子であすかに礼をし、孫武の隣の席に着く。その表情は穏やかだが、瞳の奥には深い思慮がうかがえる。知的なBGM)
あすか:「そして!地中海世界を震撼させ、ローマ最大の敵として恐れられた不屈の闘将!アルプスを越え、カンナエで奇跡を起こした戦術の魔術師!ハンニバル・バルカ!」
(スターゲートから、歴戦の傷跡を思わせる武具を身に着けたハンニバルが登場。鋭い眼光でスタジオ全体を見据え、短い会釈の後、指定された席(向かって右側、カエサルの隣)に着く。その全身から発せられる闘志は、場の空気を引き締める。勇壮なBGM)
あすか:「最後はこの英雄!『来た、見た、勝った』!ガリアを征し、ローマを掌握した比類なき指導者にして戦略家!ユリウス・カエサル!」
(スターゲートから、堂々たる風格のカエサルが登場。深紅のマントを翻し、自信に満ちた笑みを浮かべている。観衆(ネット視聴者)を意識するように手を軽く振り、あすかにウィンクを送ってから、ハンニバルの隣の席に着く。その存在感は圧倒的。華やかなBGM)
(全員が着席。スタジオには、時空を超えて集った英雄たちの、静かな、しかし強烈なオーラが満ちる。孫武は目を閉じ瞑想するように、諸葛亮は羽扇で軽く口元を隠し、ハンニバルはカエサルを横目で窺い、カエサルは余裕の表情で他のメンバーを見渡している)
あすか:「(感嘆のため息をつき)…はぁ。時空を超えた奇跡の顔合わせ、この場にいられるだけで光栄です!皆様、ようこそ『歴史バトルロワイヤル』へ!」
(あすか、一呼吸置いて、穏やかながらも真剣な眼差しで対談者たちに向き直る)
あすか:「さて、今宵のテーマは『策略・作戦』。皆様のような歴史の巨人にとって、それはどのような意味を持つものなのでしょうか。まずは皆様に、その第一声をお伺いしたいと思います。あなたにとって『策略』とは、一言で表すなら何でしょうか?…では、孫武殿からお願いできますでしょうか」
孫武:「(ゆっくりと目を開き、静かに口を開く)……『計』なり。廟堂にて算し、戦う前に勝敗を知る道筋。それこそが、策略の要諦と知る」
あすか:「(頷きながら)『計』…戦う前の計算、準備こそが要諦、と。ありがとうございます。…では、諸葛亮殿、いかがでしょうか」
諸葛亮:「(羽扇をゆっくりと動かしながら)亮、愚考いたしますに、策略とは『道』を切り開き、民を安んずるための『術』にございます。大義なくして、真の策略は成り立ちませぬ。天の時、地の利、そして人の和。これらを見極め、用いることこそ肝要かと」
あすか:「『道』を開き、『民』を安んずるための『術』…そして大義。深いお言葉です。…続きまして、ハンニバル殿。あなたにとって策略とは?」
ハンニバル:「(他の二人とは対照的に、短く、力強く)……勝利だ。いかにして敵を打ち破り、目的を達するか。そのための最善の方法を見つけ出し、実行する。それ以外に意味はない」
あすか:「(少し圧倒されつつ)勝利…そのための最善の方法。シンプルにして力強いお言葉、ありがとうございます。…では最後に、カエサル殿、お願いします」
カエサル:「(テーブルに肘をつき、余裕の笑みで)フン、策略かね?それは実に面白い問いだ。(他のメンバーを見渡し)孫武殿の言う『計』も、孔明殿の言う『道』も、ハンニバル殿の言う『勝利への方法』も、一面では真実だろう。だが、私に言わせれば、策略とは、目的を達成するための最も効果的な『手段』、そしてそれを断行する指導者の『意志』そのものだよ。時には大胆に、時には緻密に、そして常に、人々を魅了することを忘れずにね」
(カエサル、自信たっぷりに言い切る)
あすか:「『手段』であり、指導者の『意志』…そして人々を魅了する。さすがカエサル殿、ありがとうございます!」
(あすか、クロノスに視線を落とし、再び顔を上げる)
あすか:「『計』、『道』、『勝利』、『意志』…皆様の第一声だけで、すでに議論が白熱しそうな予感がしますね!さあ、ここから、この偉大なる知性たちが、どのように『策略・作戦』の世界を解き明かしてくれるのでしょうか?最初のラウンドでは、まず『策略の源流』、その基本原則に迫っていきたいと思います!皆様、どうぞよろしくお願いいたします!」
(対談者たちが互いに視線を交わす。静かな闘志がスタジオに満ちる。次のラウンドへの期待感を煽るBGMが流れ始める)