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俺が通う高校は人外魔境だった  作者: はるゆめ


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ep.70 ダウン

 昭和のいつか。どこかにある街。季節は冬。

 

 風邪をひいて学校を休んでいる俺。

 熱が四十度もあり、まともに動けない。

 家中探して以前病院からもらった薬を飲んで凌いで、ひたすら布団にこもる。


 昨日両親から連絡があった。

 もう向こうで家を借りて転職した父親。

 俺が高校を卒業したらこっちに来いという。

 いきなりか。


 大学。

 この前の進路相談でも担任に叱られたばかりなので、三年生になる前に志望大学と学科ぐらいは決めておかないとまずいだろうな。


 そんなことを考えながら朦朧としていたら、玄関チャイムが鳴ったので、這うように玄関へ出ると山本由紀子だった。


「先生からプリントを届けるように言われたので」

「あぁごめん」 

「具合はどうですか?」 

「熱がまだあるから。すまんが風邪うつしたらまずいんで、話はやめとこう」


 腕を掴まれる。


「山本さん?」

「今一人暮らしなんですよね? お世話させてください」


 なんだこの子。おかしいのか。


「そんなことしてもらう間柄じゃないから」


 熱でだるくて仕方ないから、このやり取りだけでも辛い。


「そんなこと言わずに……きゃっ!」


 さらに近寄ろうとした山本由紀子が何かに弾かれ、後ずさった。感電したみたいな反応。


「あーびっくりした。これじゃ入れませんね。じゃお大事に」


 苦笑いを浮かべつつ山本由紀子は去っていく。

 今のバリアは瑛子が張ったのか。


「お兄ちゃん、風邪でしょう? 病院には行かないの?」 


 入れ替わりに瑛子が現れる。


「ん、あー、昔から風邪で医者に診てもらったことないんだ。寝てりゃ治るから」

「すごく辛そうだけど」

「熱が四十度ぐらいあるから」

「病院行こうよ」

「動くのもきついんだ。寝てる方がいい」

「もう。何か欲しいものある?」

「食欲ないから何もない。瑛子に風邪うつすわけにもいかないから。なに三日も寝てたら治るから」

「無理してない?」

「してない。小学校の頃から風邪にはこうやってきたんだ。さっきクラスの子が弾かれたぞ。バリアか何か?」

「結界よ。お兄ちゃんが拒むものは弾くようにしてる」

「そりゃいいな。新聞の勧誘も訪問販売も弾くってわ……け……だ……」


 ここから記憶がない。


 自分のベッドで目を覚ます。

 あ?

 額に冷たいタオルがのっていて、部屋が綺麗に片付いている。なんだこりゃ。


 ドアを通り抜けて童女が入ってきた。

 俺を見てにこりと笑うとお辞儀する。

 どことなく瑛子に似てるこの子は、御守り代わりに俺のそばにいる神使だ。


「君が片付けてくれたの?」


 頷く神使。

 姿を見せるなんてあの時以来じゃないか。

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