第二話 ある朝の話①
読んでくださりありがとうございます。
『ねぇ賢兎。このまま悪いことしちゃう?』
それはまだ俺たちが高校生だった時の夏の記憶。
お互いの親がどういうわけか夫婦旅行でいなくなった時の出来事。
今となっては若気の至りとしか思えないような咲の言動に
『俺は―――』
◇◇◇
あんなことがあった翌朝。
俺はいつもどおり朝五時きっかりに目を覚ました。
冬が近くなっているこの頃はまだまだ外は暗い。
しかしおかしい?
さっきから身体が何かに押さえつけられているような?
「んん〜」
「・・・・・・・・・・・・」
言葉が出なかった。
スマホの近くにあったメガネをかけるとそこには咲がいた。
どうやら俺は咲の抱きまくらにされていたらしい。
確かに昨日帰ったはずだよな?
俺は確かに送った。絶対に送った。
といっても隣の部屋だけどな。
「んん〜」
グリグリ。グリグリ。
咲は顔を俺の胸板に押し付けてくる。
それと一緒にナニがとは言わないが二つの大きなものが俺の腹あたりで暴れ出す。
これやっべ。まじでやべぇ。本当にやばい。これ以上はやばいやばいやばい!まじで助けて!
俺はこれ以上は身の危険を感じて必死に咲を引き剥がしにかかる。
しかしなんて腕力だ。一向に抜け出せる気配がない。
「こんの・・・ゴリラ女めぇ!」
そうこう暴れていると、さらにこいつ力を強めてきやがった!
さらに腹部の感触が強くなってくる。
そして俺の中の何かがプチりといってしまった。
〜賢兎脳内〜
あっ。もうこれは抵抗してもダメなんじゃね?
ていうかむしろ受け入れた方がよくね?
こいつもこんな顔してるし。
咲の顔はアホ面だった。(※今の賢兎には心を許しているように見えています)
これはOKということなのでは?
我慢するくらいならいっそこのまま・・・
我らが桃源郷へ―――!(※今の賢兎は咲のせいでバカになっています)
〜賢兎現実〜
脳内で解き放たれた賢兎の腕が咲に迫っていく。
さぁ桃源郷はもう目の前に―――
そして突然ピタリと止まった。
「・・・酒くさっ」
賢兎は自分がしていることが一気に馬鹿らしくなった。
そして腕の中の咲の顔を見ると完全にアホ面だった。(※今の賢兎は冷静です)
その後、普通に賢兎は起きていった。
咲に手を出そうとしたことは一生墓まで持っていくと誓った賢兎だった。
「咲に言ったら、絶対一生からかわれるからな」
◇◇◇
咲は誰もいない部屋で一度目が覚めた。
「あれ?さっきまで賢兎の部屋だったような?」
酔っぱらいの頭ではそこまでが限界だった。
服が寝間着になっていることから一度帰ってきたことはわかった。
「まだ夜も遅いしぃ〜もう一回寝よぉ〜」
そう言うと咲は歩き出す。
酔っぱらいの頭はよくわからなかった。
玄関にたどり着いた咲は、慣れた手付きで二つ束ねられた鍵を取り出す。
一つは自分の部屋のものでもう一つは賢兎の部屋のものだ。
そうすると寝ぼけと酔いが混ざった頭で自分の部屋から出た。
そして隣の部屋まで行くとこれまた躊躇なく鍵を開ける。
ちなみに今は深夜の二時だ。
「・・・ただいま〜」
一応静かに入るとそのまま直行で賢兎の自室へ。
「えっへっへっ。こんなに可愛く寝ちゃって〜お姉さんが襲っちゃうぞ〜。ぷぷ。明日賢兎どういう顔してるかなぁ?」
ゴソゴソ。
「うぃ〜あったけ〜」
そのまま咲は二度寝に入った。
これが昨日の夜の裏側であった。
やはり最後まで酔っぱらいの頭はわからない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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魔法使いの夜やり終わりました。
いやー神でした。
青子ぉおぉおぉおぉぉぉぉぉおおおおおお!