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第十話 波乱の年末年始②

すみません。日常が忙しく投稿が遅れました。

読んでいただきありがとうございます。



 「それで?話しを聞こうじゃないか。咲さん」


 「ヒュっヒュ〜〜〜」


 「(ジィ〜)」


 「ヒュっヒュヒュ〜〜」


 「(ジィ〜)」


 「・・・・・ごめんなさい」



 今、俺の目の前には惨状が広がっていた。


 お菓子の袋に、ペットボトル。そして脱ぎ捨てられた服に俺の漫画たち。


 すべてが投げ出されていた。


 普段はキレイなはずの俺の自室は見る陰もなかった。


 正座をして俺に説教されている咲は子犬のように縮こまっている。


 そんな目で見ても許さないからな?


 だからそんなつぶらな瞳で俺を見ないでっ!


 俺は咲から視線を離すと、惨状が広がる自室へと目を移す。


 改めて見ると・・・うん。ひどいな。


 とりあえず片付けるか。


 咲の方へまた振り向くと、こちらの視線に気づいた咲も立ち上がった。


 どうやら考えていることがわかったらしい。


 さすが幼馴染。


 俺が散らかっているものを片付けようと漫画に手を伸ばした瞬間。


 

 「おっ兄ちゃんっ!飲み物持ってきたよぉ〜・・・・は?」


 「おお。ありがとう・・・ん?どうした琴葉?」


 

 琴葉が笑顔を見せたのは一瞬。今は目のハイライトが消えている。


 ユラリユラリと俺の部屋に入ってくる琴葉。


 そしてベッドの前まで来ると・・・・・一気にベッドへダイブした。


 おっおおおおおおおおおいいいいいいいいいいいい!



 「なっ何してんだ!?琴葉」


 「スーハースーハー、くそやっぱり」


 「・・・やっぱり?」


 「あの女のニオイがしやがる!」


 「は?」


 「ふぇ?」



 琴葉はグルルと歯を見せながら咲のことを睨んでいる。


 というかやっぱりってどこから咲のニオイに気づいたのやら。


 スーハースーハー!


 俺はジット咲を見つめる。


 咲は珍しく顔を赤くして乙女モードだった。


 スーハースーハースーハー!


 俺の視線で居心地が悪いのか、身体をモジモジとさせている。


 俺は思わずそんな咲の姿に胸が高鳴ってきて―――


 スーハースーハースーハースーハー!



 「おおおおおおいいいいいい!もうニオイを嗅ぐのはやめろぉぉぉおおぉぉおおおぉぉお!」


 「お兄ちゃんのニオイ!お兄ちゃんのニオイ!」


 「はっはなせ!今すぐ俺の枕をはなせ!」


 「あのクソ女のニオイはするけど、やっぱり長年使い込んでいるから奥からお兄ちゃんのニオイが」


 「ちょっと!今クソ女って言った!?」


 「いいからはなせ!琴葉!」



 結局、部屋の片付けは明日にお預けになった。



 ◇◇◇



 あの騒動があった後。


 咲は俺の家で晩飯を食べると満足したようで今日は帰るらしい。


 両親も喜んでたし・・・まあいいか。


 俺は玄関まで咲を見送りに来ている。


 そして靴を履きながら咲が言った。



 「ああ。そういえば言うの忘れてたわ」


 「ん?どうした咲?」


 「お母さんが賢兎に久しぶりに会いたいって」


 「・・・・・・行かなきゃダメか?」


 「あと、お父さんも」


 「俺は行かないぞ!」


 「んーでもさ、いま来ないとあっちの家まで来るかもよ?」


 「それはっ・・・・嫌だな」


 「そうでしょ?」


 「うん。明日行くよ」


 「りょ〜かい〜。それじゃあまた明日」


 「ああ。また明日」



 咲が出ていくのを見届けると俺はその場に崩れ落ちた。


 ああ。明日はあの魔境へ行くのか・・・


 俺は明日の自分を想像して、半ば諦めた。





 

ついに次話は魔境・咲の実家へ!

更新は不定期になるかもしれません。できるだけ書いていきたいと思います。

今後の参考とモチベーションのためにも評価とブクマのほうお願いします。


新作短編投稿しました!

『神様でもいいから彼女が欲しいと願ったら、女神様が本当に降臨した』

https://ncode.syosetu.com/n8964ia/

二千文字くらいの短編なので、興味がある方は是非読んでください!


それではまた。次のお話で。

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