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お互い様
具合が悪くなる度に思うことがある
電車の座席に切実に座りたいと思う時ほど、座ることはできない
何故なら、弱っているので席取り競争に負けてしまうから
かくして、具合の悪い人ほど立ち、健康な人ほど座っている構図が現れる
これは、当事者である具合悪い人には、如何ともし難い事態で、状況を打開できるのは健康な人でしかない
その人の能力、実力云々ではなく、立ち位置によって可能不可能が、世の中にはある
災害に見舞われたら、社会基盤を失った被災者には、ほぼ何もできない
枠外からの救けが必要で、災害とは無関係の人がアクションを起こさなければならない
同じ社会、同じ世界にいる以上、無関係はありえない
これを平易な言葉にすれば、お互い様となる
互いに補完しあう…保険の仕組みに似ているかもしれない
対処療法では解決しない問題解決の糸口は、対面ではなく、一見して無関係な一番遠い場所にある
物語では、大抵の場合そうだから
…などと考えてたら、奇跡的に座れた