レベル7
体調が芳しくないと、普段の何気ない動作さえ一苦労
この気持ちは、現在進行形の同類でないと分からない
だって私も普段は気にしてないもの
外出するとなると、本来ならばギブアップしたいくらい出たくはない…出来得るならば
しかし、行かねばならぬ
幸い熱はない
体質的に微熱でも、歩けないほどに消耗するから
旅行なみに段取りを、シュミレーションしてから、気合いを込めて玄関扉を開ける
…雨だ
しかも、ザアザア降ってやがります
…
大丈夫、想定内、そんな気はしてた
まずは病院から先にいく、その後、所用を済ませば、買い物に行ける
スプーンリレー並みの平常心で傘を広げ、雨に打たれた
…
…
…買い物まで、済ませた、帰ることができる
今日は、おでん
寒いから、そう決めた、簡単だし
暗闇の雨降りの中、傘を右手に差し、買い物袋を左手に持ち、自宅方向に舵をきる
自宅に辿り着けば、ミッションコンプリートです
途中、踏切りに差し掛かる
赤い光りが点滅し、黄黒のシマシマバーが下がる
ああ、この踏切りは、夕方以降だと中々開かない時がある
…身体に力が入らない
雨に濡れたアンパン状態…愛と勇気だけが友達だ
…倒れて横になれたら、どんなに楽であろうか
踏切りの信号機の→が赤く光っている
電車がガタンガタン鳴らして通り過ぎていく
…
今度は、←が赤く光りだした
そんな気は、してました…大丈夫、慣れている
電車がガタンガタン鳴らして通り過ぎていく
…
次は、←と→が同時に、赤く光り始めた
最悪なときほどに、最悪は寄ってくるもの
経験が私の精神を強くする
タイミング悪い、運が悪い、体調が悪い
全て通常通りだ
何ほどのこともない…
電車がガタンガタン鳴らして、左右から通り過ぎていく
電車の窓から漏れた明かりが辺りを照らす
この世の中とは、泣いても祈っても状況は変わらないし助けなど来ることはない
自分が持てるカードで勝負するしかない
窮地に陥っても自分でなんとかするしかない
ああ…お腹痛いです…平常心です
気が、遠くなる…百億の昼と千億の夜が通り過ぎた気がした…
…
更に、電車は、もう一回通り過ぎた。
足を前に進める
無念無想、ツラい現実から眼を背け、我慢する
身体から、精神を離脱させるのだ
シズシズと、前へ足を進めるのは肉体に任せる
自動運転です
その間、私の意識は、一時的に解脱した仙人の心持ちとなっています
こうして私は自宅に無事に辿り着いた
山とは、乗り越えるためにあるのだと、畳の上で倒れながら、そう思う