表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗闇に沈む陽  作者: sakura
902/1018

レベル7

体調が芳しくないと、普段の何気ない動作さえ一苦労

この気持ちは、現在進行形の同類でないと分からない

だって私も普段は気にしてないもの


外出するとなると、本来ならばギブアップしたいくらい出たくはない…出来得るならば

しかし、行かねばならぬ


幸い熱はない

体質的に微熱でも、歩けないほどに消耗するから

旅行なみに段取りを、シュミレーションしてから、気合いを込めて玄関扉を開ける


…雨だ

しかも、ザアザア降ってやがります

大丈夫、想定内、そんな気はしてた

まずは病院から先にいく、その後、所用を済ませば、買い物に行ける

スプーンリレー並みの平常心で傘を広げ、雨に打たれた




…買い物まで、済ませた、帰ることができる

今日は、おでん

寒いから、そう決めた、簡単だし

暗闇の雨降りの中、傘を右手に差し、買い物袋を左手に持ち、自宅方向に舵をきる


自宅に辿り着けば、ミッションコンプリートです


途中、踏切りに差し掛かる

赤い光りが点滅し、黄黒のシマシマバーが下がる


ああ、この踏切りは、夕方以降だと中々開かない時がある

…身体に力が入らない

雨に濡れたアンパン状態…愛と勇気だけが友達だ

…倒れて横になれたら、どんなに楽であろうか

踏切りの信号機の→が赤く光っている

電車がガタンガタン鳴らして通り過ぎていく

今度は、←が赤く光りだした

そんな気は、してました…大丈夫、慣れている

電車がガタンガタン鳴らして通り過ぎていく

次は、←と→が同時に、赤く光り始めた

最悪なときほどに、最悪は寄ってくるもの

経験が私の精神を強くする

タイミング悪い、運が悪い、体調が悪い

全て通常通りだ

何ほどのこともない…


電車がガタンガタン鳴らして、左右から通り過ぎていく

電車の窓から漏れた明かりが辺りを照らす


この世の中とは、泣いても祈っても状況は変わらないし助けなど来ることはない

自分が持てるカードで勝負するしかない

窮地に陥っても自分でなんとかするしかない

ああ…お腹痛いです…平常心です

気が、遠くなる…百億の昼と千億の夜が通り過ぎた気がした…



更に、電車は、もう一回通り過ぎた。




足を前に進める

無念無想、ツラい現実から眼を背け、我慢する

身体から、精神を離脱させるのだ

シズシズと、前へ足を進めるのは肉体に任せる

自動運転です


その間、私の意識は、一時的に解脱した仙人の心持ちとなっています


こうして私は自宅に無事に辿り着いた


山とは、乗り越えるためにあるのだと、畳の上で倒れながら、そう思う



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ