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雨の降らない常秋の世界
こんな夢を見た
丘を歩くと、屋根がなく、家具で区切られたスペースに住んでいるご近所さんがいた
近きを通り過ぎて、家具に囲まれた通路を下って行った本棚に囲まれた机のある穴のようなスペースが私の部屋だ
この世界は、家に付きものの屋根とか壁がない
言わば、天地が家であるから、屋根や壁がないのだ
なるほど
世界じたいが室内だから、ゴミや塵は落ちておらず、家具が並びて雑然とした印象ながら、綺麗で清潔な
のは、そのせいかもしれない
そう思えば、隣り近所も、知らない間柄ながら、同じ家に住む、より近い存在に思えてくる
知らない人なのに、笑顔で挨拶を交わした
空を見上げれば、どんよりとして薄暗い
いや、明る過ぎないだけで暗くはない
風はなく、寒くはない
空気は澱んでないが、清冽ではない
変化がないのだ いつまでもこのままな気がする
もしかしたら、天国や地獄は、こんな世界かもしれない