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翼
たまに夢想する
この世界は卵の中ではないかと
卵中で輪廻を繰り返す魂の欠片
魂が育つまで 翔び立てる翼を得るまで 殻は割れない
そして、いつかその時が来たら飛びたっていくのだ
割れた世界の殻を置いて
罪禍を抱えこんだ僕らを殻に残したまま
見送る僕らを一瞥することなく、銀河の空へと旅に出るのだ
概念、利権、権力、寄生、仕組みを利用して彼らを縛りあげていた鎖を壊して
汚泥に塗れた飛び立てぬ僕らを残して…
やがて、乾いた風に吹かれ数千年たてば、その痕跡すらなくなり浄化されるであろう何も無かったかのように