ひだる神
溶岩のような血潮が吹き出してヨロヨロと歩いている怪物
泣いている 奇妙な声が聴こえてくるのだ
虫の息だ
わけのわからない念仏を唱えて、それがまともだと主張する
狂っている もう治ることはない
昔は立派だったのに、今は見る影もない
概念という名の嘘に中身を食い尽くされたのだ
泣き言や繰り言ばかりで、実がない
口ばかりで愚痴ばかり、這いずることすら出来ず
無理無理いいながら、同じ所を回っている
病気の末期症状だ 病んでいる…
空虚で中身が虚ろな、外面が爛れ腐れ落ちている
ヨロヨロと歩き回り、忌避され、嫌われている
悲しげなボエーという鳴き声が木霊する
聴くに堪えない
なんて、哀れで可哀想な生き物であるか…
球体で、動いているから生きているには違いない
この妖しの名は、卑垂る、虚ろし、空虚玉とも言われている
いったい何のために生きているのか?
死に掛けなのは間違いない
昔は、真っ当な生き物だったのであろうか?
中身があり表面も腐っておらずに瑞々しかったらとしたら?
想像した所で気がついた
地球だ…地球に似ている
やがて、忌々しげな、声は途絶えた
もしかしたら、救けを呼んでいたのかもしれない