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異世界
廃墟を貫いて伸びる樹木
苔むした傾いた建物に蔓が巻き付く
見渡す限り似たようなアンバイ
…が、空は変わらずに青い
陽光差す車窓の景色は、ゆっくりと流れていく
ガタガタとウルサイ電車は、それでも動いていた
乗客は少ない
元々移動する必要もなければ道理であるから
乗っているのは、商人と冒険者、あと旅人ぐらいなもの
…
眠い…読書してたら、夜が明けていた
働かなければ、生活出来ないし、嫌々ながら自宅を出た
太陽が眩しい
車窓の景色が、チカチカと入れ替わる
幻視だろうか…高層ビルと廃墟が、どちらがどちらで、本物はどっち?