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終焉
シメジメとしたサザナミが胸を打つ
音は聴こえない
其の先も見えない
ただ波の小々波が砂浜を滑る様を見えるだけ
振り向けば
静寂が包む寒々とした薄い空色の世界だ
人が居ない完成された
まさしく完璧な世界
それは美しくも切り取られた一枚画のよう
波に削られた岬
鳥が舞うことが無い淡墨のような空
色が剥げ落ちていく
原初に帰り行く戻る道
消えていくのだ 何もかもが
だがそれでいい
風がない 既にきえている
静かだ あまりにも静か過ぎる
僕の足跡さえも波にさらわれていく
だが其れで良いのだ
消えてなくなればよい
さあ 終わりを始めよう