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陽炎の国
静かな電車の軋む声をきく
そとを見れば灯りが霞んでボヤけて
頭が倒れた気がした
今日は座席に座るひとはすくない のだ のだ
ぐえグオご
足腰が悲鳴をあげているサイレントで
身体は動くけど痺れている
まるで痺れエイのように席にゆるりと座るのだ
陽炎のように疲労が立ち昇る
ああ ここは陽炎の国だ
儚く揺らめいて、今にも消えてしまいそうだ…
或いはそれは私かもしれない
半眼で、虚ろに宙をみている座った動かぬ銅像のように
永年雨風に吹かれ、経年劣化してボロボロと溢れ落ちていく定めなのだ…
儚い
何十年、何億年たとうとも
終わってみれば、皆儚いものだ
始まりがあるということは、当然終わりもある
産まれた時から、終わりに向かいスタートをきっている
いつかはゴールに辿り着く
現実は常に厳しい
だから、倒れても倒れても、歯をくいしばり、泥中を這いずり回り、進むのだ 朝となり夜となり、そして又朝となり陽がくれたとしても
比べれば車中で寝れるなど幸せの極み
もうすぐ家に辿り着く