表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗闇に沈む陽  作者: sakura
615/1026

地球会議

おはよう 地球の諸君


絶えることの無い争いと、周りに悪影響を醸している自称霊長類たる生き物について、存続条件をクリアするかどうか問いたい

あるやなしか?


そんな神を模した深緑の大巨人の議長の声で、問題が定義された


会議は紛糾した


殆どのものが人類絶滅に賛成票を入れていたが、頑なに存続を主張し一歩も引かなかった種族がいたからだ


それはネッコである

そしてイッヌであった

普段仲が悪い二種族の共闘である

反対したのは、餌や家を提供して世話人してくれたヒト種を滅亡されては困るという恣意的な理由であった


なんて利己的な…


それでも他の意識体が喧々轟々と人類絶滅を言い立てる中、ネッコ種は、一歩も引かずしてニャンと首を縦に振らなかった

(チュールン美味いニャ…)

イッヌ種も、ワンワン吠えたてた

(チュールン美味いワン…)


ネッコが賢しげな口調で、のたまう

「確かにヒト種は最低最悪だニャ、最早救いようがないニャ、傲慢で小狡く反省なし、他種を見下し悦にいる、自他を貶めたがるその人格の更生は絶望的…しかし、もし最底辺のヒト種を切り捨てたら、次なる底辺はどの種かニャ?」

ネッコの言葉に、会議上に募ったダニ種やノミ種らがギクッとする

ネッコの演説は続く

「玉ねぎの皮の様に、外側から皮をめくり捨てていったら最後まで残るのは…?」


 ネッコの冷たい睥睨するような視線を受けたハエ種やカ種らがどよめいた

 これらの種は、ダニ種やノミ種と近い位置にいる

 ネッコの疑問を呈した演説の終わりに、イッヌの恫喝めいた遠吠えが、会議場に響き渡った

 …

 深淵たる智慧を持つと言われるネッコ種と、揺るぎない義を秘めた純粋たる覚悟を持つと言われるイッヌ種の拒否権発動により、ヒト種の人類滅亡は回避された


 そして、ヒト種は、今期も経過観察措置となってしまった…


 ああ…なんてことだ

 スギ花粉や異常気象の警告にも動じないヒト種に、なんて甘い判断を…甘過ぎる

 これは、もはや贔屓にひとしいと思う


 だが、いつまでも、こんな甘い措置が続くと思うなよ





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ