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山谷行路
山嶺の白銀の頂きを仰ぎ見る
如何ばかりか
蒼天に白銀が映えて美しきは、吐息となり、降りてきた風を吸い込む
清々烈々の空の気は、冷たく蒼白い
それが我の中で混じり合い燃焼するのだ
喧々諤々、意気喧囂
鉄の車輪が廻るかのように身体の中で火花が爆ぜる
一歩一歩踏み締めていく
空から見れば一匹の蟻の如くにゆらり揺ら揺ら…
空に刺さる頂きを睥睨注視する
岩山や荒野を歩きて風に吹かれる
しばし休憩
水を飲み顔を濡らし、足をさする
頂きは変わらない
太陽は中天をさす
来た道を振り返れば絶景のパラダイス
我は来た、そして我は行く
笑いが込み上げる腹で笑うが声には出ない
これで良い、我はこれで良いから
一人で旅立つ、真白へ続く道を