6/989
雪兎
雪の降る街を
雪の降る街を
Russellしながら突き進む。
吐く息だけが暖かく、ゴーグルが曇り前が見えにくい。
いつから始めたのか、いつ終わるのか分からない。
闇の中、吹雪しか見えない。
既に感覚は、失われた。
いつだって指示は、突撃、前へ、前へ。
多重な作戦、同時進行、終わらない、増え続ける。
資金はない、人はいない、装備はない、自前の食糧も尽きる。
定時は無い、無い、無い。果てないmission。
我の前に道は無く、後ろにも続くものはない。
なんてこった
吹雪の音に混じって、猿の笑い声が聞こえる。
緑色の猿だ
猿は動かない、猿は聞かない、いつでも笑うだけで。
聞いてはいけない
無視してもいけない
冷静に、冷徹に、対処するのだよ
相手をすれば、穢れるだろ、疲労するだろ
だから、呼吸を整えるんだ
4秒吸って、ゆっくりと20秒息を吐くんだ、下腹が暖かくなるまで、全身の血液と筋肉に酸素を貯めるのだ
いつでも脱兎の如く動けるように