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月天
思惟は自由だ
時空間の制約にも縛られない
想像で過去にも未来でも、何処の場所でも羽を伸ばせる
ついでに足も延ばせる
だから現実の景色がながれても、時が飛んだとしても平気
雨の夜は、海の底を歩いているかのよう
ここは、暗くて寒い…
夏を思い浮かべる
そう…あの頃は良かった
皆んながいた 楽しかった…
今はひとり
雨が降っている
暗くて闇色の天空からドンドンドンドン降ってくる
果てなく後から後から、降り続く
電車に乗れば、乗り換えの手前で終点デス
ここで、終わりです お終い…おりなければならない
鉛を飲み込んだような気分で身体が重い
帰るんだ…帰れるんだ
足を引き摺るように心が擦れて流れ落ちていく
カラだ、既に中身はカラカラだ
最低最悪の集い
歩けずとも しゃがみ込み 倒れ伏したとしても
果て無い雨の闇夜の先に
燦々と煌めくような明るい満月をみるのだ
吼えろ
月に向かって、吼えるべし




